左投げ左打ちは絶滅危惧種か?
今迄メジャーでプレイした日本人野手は右投げ左打ちの選手が圧倒的に多い。イチローさん、松井秀喜さん、岩村明憲さん、川崎宗則さん、青木宣親選手、福留孝介選手、大谷翔平選手など。昨年2020年に来た秋山選手と筒香選手もそうですね。
右投げ右打ちの野手も新庄さん、田口さん、井口さんなどがいましたが数は右投げ左打ちの野手の方が圧倒的に多い。
そして左投げ左打ちの野手はここまでゼロ。そうです、ゼロなのです。
ご存知の通り左投げ左打ちの野手はそもそも絶対数が圧倒的に少ない。現在日本で活躍している打者のほとんどが右投げ左打ちか右投げ右打ちの選手。これって不思議じゃないですか? 全人口の約一割が左利きと言われているので、もう少し左利きの野手がいても良さそうなもんです。
左利き野手が少ない理由
左利きの野手が少ない理由として野球は守備位置に関しては左投げだと一塁手と外野手以外のポジションは不利になるからだと言われています。ただし投手としては貴重で現に左投手の数はNPBだと確実に全体の一割以上いる。そう考えると投手をやらない左利きの選手は一塁手か外野手のポジションを右利きの選手と競った結果、プロになる左利きの野手が少なくなったと考えることが出来るかと思います。
また最近の傾向として嘗ては大多数であった左投げの一塁手が減ってきている。以前は左投げの選手のほうが送球に有利なため左投げの選手を一塁手にすることが多かったようですが、実際に一塁手の選手が送球する機会は少ないことから最近は左投げの選手を優遇することはなくなりました。その結果メジャーでは左投げの一塁手は2019年シーズンは30球団中3選手のみでした。日本でも同じ傾向にあると思われます。
もう一つ最近の傾向として内外野を守れるユーティリティープレーヤーが重宝されるようになっており、これは左投げの野手には圧倒的に不利となっています。同じくらいの打撃成績なら使い勝手の良いユーティリティープレーヤーをロースターに入れるのは戦略上当然です。そう考えると左投げ左打ちの野手が生き残るためには圧倒的な打撃成績を残すしかありません。
もともと左利きの選手が右投げに転向するケースがどれくらいあるかは分かりませんが、それ程多くはないのではないでしょうか。巨人の坂本選手は本来左利きですが右投げのお兄さんのグローブを使ったために右投げになったそうですが、これは稀なケースでしょう。
左打者の特長
打つ方に関しては左打ちには幾つか有利になる点があると言われています。一番は左打ちの方がバッターボックスから一塁に近いので内野安打になる確率が上がるということ。そして一般的に左打者は右投げの投手と相性が良い。それ以外に日本の場合、古くは王貞治さん、少し前はイチローさん、最近では大谷翔平選手や柳田悠岐選手などの左打ちのスター選手に憧れて左打ちになった、もしくは親が左打ちにさせたケースが多いのではないでしょうか。
右投げ左打ちの選手の特長として利き手が前になるのでバットコントロールは上手いが、押しが弱いので長打が出ないと言われています。松井秀樹さんや大谷翔平選手には当てはまらない気がしますが、まあ一般論だとそうなるのでしょう。大谷選手の場合モンスター級のパワーで飛ばしますが確かに右中間に引っ張ったホームランは少ないです。ちなみにMLBで歴代本塁打数トップ20のうち右投げ左打ちの選手は2人だけであとは全員右投げ右打ちか左投げ左打ちの選手でした。
メジャーの有名左バッター
最近メジャーで活躍している左バッターで言うとコーディ・ベリンジャー、ジュアン・ソト、アンソニー・リゾ、ジョック・ピーダーソン、チャーリー・ブラックモン、トレント・グリシャムは左投げ左打ちの選手です。
クリスチャン・イェリッチ、フレディー・フリーマン、ブライス・ハーパー、ジョーイ・ギャロは右投げ左打ち。
過去の有名左バッターだとバリー・ボンズ、ベイブ・ルース、ケン・グリフィーJr.は左投げ左打ち、タイ・コブ、テッド・ウィリアムスは右投げ左打ち。
利き手には両利きの人というのが実は結構いて右投げ左打ちの人の中には両利きの人が多いのかもしれないという可能性もありますが、調べることが難しいので今回はその可能性はなしで話を進めます。
MLBとNPBの現状
2020年シーズンにメジャーリーグで投げた全ての投手の数は右投手が541人で左投手が195人。割合にすると右投74%左投26%。2019年もほぼ同じ割合でした。日本のプロ野球では2019年データで右投71.1%左投28.9%。
打者はメジャーの2020年シーズンで右打ち60%左打ち40%(両打ちは集計出来ず)。日本は2019年データで右打ち53.9%左打ち42.2%両打ち3.9%となっています。
メジャーの2019年のシーズンで250打席以上の左投げ左打ちの選手は34人 (31%)、右投げ左打ちの選手は75人 (69%)。左投げ左打ちの選手が思った以上に多いです。
NPBでの割合は右投げ左打ちの選手が160人(80%)、左投げ左打ちの選手が24人(12%)、右投げ両打ちの選手が17人(8%)となっています。
これらのデータから日本において左投げ左打ちの野手はほぼ絶滅危惧種にあると言えます。
藤原恭大選手について
この何年か日本人野手のメジャーでの苦戦が続いています。近い将来にメジャーに挑戦すると噂されている鈴木誠也選手や吉田正尚選手には是非とも頑張って欲しいと思います。150キロ以上の速球に対しての打率は鈴木誠也選手が(.355)、吉田正尚選手が(.321)と2人とも強いので十分対応出来るのではないでしょうか。個人的に最も期待している村上宗隆選手は150キロ以上の速球の打率は.206と低いですがホームランは5本打っています。村上選手はまだまだ伸び盛りの選手なので今後150キロ以上の速球にも対応してくるのではと思います。
その次の世代で最も期待しているのがロッテの藤原恭大選手です。まだ藤原選手が高校生の時の記事にスイングスピードが既に柳田選手並みというデータがありましたが将来的な伸びしろは無限大の選手です。とにかく打撃フォームが美しい。そして俊足をいかした守備と強肩も素晴らしい。昨年暮れにメジャーを目指した日ハムの西川選手も似たタイプの選手ですが肩が弱いのがネックだったように思われます。藤原選手はこれからバッターとして成長していけばメジャーへの道が開けるのではと期待しています。そしてご存知の通り藤原選手は左投げ左打ちの選手。藤原選手が日本人初の左投げ左打ちのメジャー選手になることを期待してこの拙文を締めさせていただきます。最後までお読みいただきありがとうございました。