アメリカの高校野球とリトルリーグにおける球数制限のお話
こんにちは。アメリカで子供がリトルリーグで野球をしてます。私自身は野球経験はほとんどありませんが子供と一緒にリトルリーグに携わることにより知り得た情報・知識をシェアさせていただきます。
アメリカの球数制限ルール
まずは最近日本で話題の高校野球の球数制限から。アメリカの高校野球での球数制限は州によってルールが多少違いますが一日の上限が105から110で上限を投げた場合の登板間隔は中3日となっています。このルールだと週に投げられる上限は210~220で日本の週500とは大きく差があります。
ではリトルリーグはどうなっているかというと球数制限は以下のように決められています。
年齢 最高球数/日
8 50
9-10 75
11-12 85
13-14 95
そして球数による登板間隔の規制が以下になります。
球数 登板間隔
20以下 0
21-35 中1日
36-50 中2日
51-65 中3日
66 中4日
これ以外にも12才以下のリーグでは一度ピッチャーをして他のポジションに移った後に再度ピッチャーに戻ることは出来ないというルールもあります。
ある程度大きいトーナメントではトーナメントサイドから派遣された記録員が球数を記録してチームと審判に伝え、小さいトーナメントでは各チームのコーチが記録します。ほとんどの人が携帯に入れたPitch Xというアプリを使っています。球場によっては電光掲示板にピッチカウントが表示されるところもあります。
ピッチャーの数を増やすには
日本でも議論になっていましたが球数制限をするとピッチャーの数を増やさないといけないという問題が生じます。こちらではそれにどう対処しているかというと、あくまでうちの子のチームの場合ですがチームにいる13人全員がピッチングの練習をします。実際にメインでトーナメントで投げるのは5~6人ですが、それ以外の選手も練習試合(スクリミッジ)や大差がついた試合、緊急事態などで投げることがあります。特に練習試合などは公式試合で投げる機会が少ない選手に1イニングずつ投げさせて経験を積ませ、試合で投げることが出来るかテストします。早い段階でポジションを固定せずに継続的にピッチャーの練習をさせることで前まではだめだった選手が急にピッチャーとして成長することはよくあります。チームとしてピッチャーの数が多くて困ることはないので、全員に練習を課して試合で投げることが出来るように育成するのはリトルリーグでの強いチーム作りにとても重要です。
ちなみに毎年8月に開催されるリトルリーグのワールドシリーズで昨年2019年に優勝したチームをチェックしたところロースター13人中6人がピッチャーとして登板していました。
ハイスクールのバーシティチームでも状況は同じようでNHSI National High Schoolトーナメントをこの3年間連覇したOrange Lutheran High Schoolのロースターを見ると半数以上の選手がピッチャーと他のポジションの兼任選手として登録されています。
これでお分かりのようにアメリカではピッチャーを含めいろいろなポジションをやらせながら選手を育成するのが基本方針だということです。マイク・トラウト、アーロン・ジャッジ、コーディ・ベリンジャーも高校時代はピッチャーの経験があります。
日本では去年少年軟式野球のマクドナルド・トーナメントで1日の球数上限を70球にしたことが話題になりましたが、大会で優勝した多賀少年野球クラブの辻監督は以前からひとりに過度な負担がかからない投手の育成と起用を心掛けてきたそうで、このトーナメントでは全6試合を計7人の継投で戦ったそうです。これはアメリカリトルリーグのやり方に近いように感じます。今後は日本でもこのような選手育成が主流になってくるかもしれません。