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週末ヒロインからの卒業

※ももクロの話ではないですごめんなさい。

結婚する前、彼とは遠距離恋愛だった。

会えるのは多くて2週間に一度。
毎日のようにLINEのビデオ通話をしていたが、それでも駅で彼の生身の姿を見つけると、胸の辺りがじゅわぁっとしたのを覚えている。
彼のほうも嬉しそうに早歩きで寄ってきて、素早く私の荷物と手を取り、照れ隠しするように前を向いてすたすたと車に連れて行ってくれた。

付き合って数年経っているというのに、会うときはいつもそんな風に初々しい反応をしてくれたし、帰り際には本当に寂しいのか、テンションだだ下がりで口数が少なくなってしまうほどだった。

週末にしか会えない彼女。
そう、私は彼の〈週末ヒロイン〉だったのだ。(怒られそうなので強調しておくが、もちろん彼限定だ。)

そして私たちは幸せの絶頂を迎える。結婚だ。
これからは毎日一緒にいられる。
正直なところ、そんな単純なことが一番嬉しかった。

しかしそれは、私が彼の〈週末ヒロイン〉を卒業し、〈平日同居人〉になることを意味していたのだ。

実際どうだろう。週末になると自転車やらなんやら、私が一緒に興じられない趣味を満喫するためいそいそと出掛けていく。あんなに嬉しそうにデートしてくれた彼の影はもはやもうどこにもない。
特別冷たくされているわけではない。相変わらず彼は優しい。
しかし確実に彼の中で私のポジションが変わっている。彼女から妻へ、昇格したのだと思っていたが、正直なところこれは降格だったのかもしれない。

たぶん元から仏のような慈愛の精神で私と一緒にいる彼は、日常的に私を見守れる環境になったことで安心し、週末くらいはね…と羽を伸ばしに行くのだろう。
もちろん一緒に出掛けてくれる週末もあるし、彼の 行動は客観的に見れば全く許容範囲内である。
むしろこんなことを言い出している私のほうが、面倒くさいソクバッキーなのだ。(ソクバッキーって単語、死語すぎると思うけど気にしない。)

こんなことを書いていると、タッキーが主演したドラマ「ストロベリー・オンザ・ショートケーキ」の最終回の最後のシーンを思い出す。
タッキーが、深キョン演じる義理の妹と結ばれ、同居しているのにわざわざ待ち合わせ場所を決めて集合するのだ。

そのくらいしないとダメなのか。
同居しながら週末ヒロイン感を醸し出すには、そのくらいの努力が必要なのか。

「旦那さんが勝手に遊びに行っちゃうなら、ゆきちゃんも好きなことすればいいじゃない」とはよく言われるのだが、私の一番の趣味は彼と一緒にいることなので、他に何をしていても〈代替品〉になってしまう。
テニスしたいけど雨降ってるな…仕方ない、映画でも観に行くか…ほんとはテニスしたいけど…仕方ないよね、うん…テニス……みたいなことなのだ。(ちなみにテニスは高校の体育の授業でやったきりだし、映画は年に1、2回しか観に行かない。何でこの例えにしたんだろう。)

とにかく、同居している以上週末ヒロイン感を取り戻すのは恐らく無理だろう。ということは、私のほうが変わっていくしかない。

とりあえず…とりあえず、note更新するか。

そうして現在に至るわけなのであった。

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