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【ニコニコ】ネット文化の図書館になってほしい

ニコニコ動画の良さってなんだろうか。
自分のニコニコに対する思い出なら、この記事で散々語ってきた。大好きだった動画がいっぱいある、素敵な出会いの場だった。

でもそれって、昔のニコニコ動画の話。正直、最近は全然見てません。
動画サイトとしても、配信サイトとしても、YoutubeやTwitchなど、様々な動画・配信サイトに比較すると…


そんなニコニコの、今でもある良さってなんだろうか。
自分は、優れた検索性とニコニコ大百科に支えられた、ネット文化のアーカイブとして役割だと思う。

数日単位で流行り廃りが生まれ、ホモもエロも何でもありなカオスなインターネット世界。それを体系立てて記録できるのはこのサイトだけかもしれない。


インターネットのアーカイブのなさ

米沢嘉博先生をご存知だろうか。もうすでに亡くられているが、コミケの設立などにも関わった、サブカル文化の立役者。
彼の凄さは、漫画を文化として評価しただけではなく、文化として成立させるための「保存」をしてきたことだろう。

彼の功績をたたえ、明治大学は御茶ノ水の一等地に漫画専門の図書館を建てている。廃刊になったコミックスなどはもちろん、雑誌まで、漫画に関するあらゆるものは良質な状態で保存されている。

何より、この図書館の凄いところは、同人誌まで閲覧できるところ。
実は、コミケにて刊行されているすべての同人誌は、この図書館と連携してある倉庫に収録されている。

コミケでは、サークルで本を出す際に、見本誌というものを運営に提出しなくてはいけない。目的としては、定められた規制(エッチなところにモザイク等入れるルール)を守っているかどうか確認するためのもの。
実は、そこで収集されたすべての本は1箇所に倉庫に収集されている。

この図書館では、その提供を受けて、同人誌の見本誌の提供も行っている。


何をつらつらと書いているかというと、漫画にはこうした「アーカイブ」として適切に保存され、「文化」として後年評価できる体制が整っている。

でも、インターネットの文化はこれが出来ていない。
物理的なモノが存在していないというのもあるが、何がどのような経緯で、どういう流行り方をしたのか、どう表現されていたのか、体系立てて記録している媒体は少ない。

アニメやゲームとか、Vtuberとか、光を浴びるようなキレイなコンテンツだけでなく、淫夢や創価MADみたいな、暗くて汚いコンテンツを記録するものは少ない。


TwitterやYoutubeにはない検索性・網羅性

最近のネット文化の火付け役は、TwitterやYoutubeであることが多い。
より最近だと、Tiktokとかもか。

でも、こうしたサイトって検索性が非常に悪い。
勢いのあるコンテンツ、「現在」人気なコンテンツはすぐに表示されるが、「過去」のものを検索して探し出すのは非常に骨が折れる。

Youtubeもフィルタとかで工夫すれば探せなくないが、圧倒的にニコニコ動画のほうが優秀だ。

  • 「評価」などのパラメータが明確ではない

  • 1列で表示され、全体感が把握しづらい

  • 時期指定で絞り込みはできても、並び替えはできない

などなど、細かなYoutubeの検索性の問題は多くあるが…


何より、検索性や網羅性としてニコニコ動画が優秀なのが、自由なタグ編集できることだと思う。
Youtubeにもあるにはあるが、投稿者以外は設定ができない。一方でニコ動では、視聴者も編集することができる。

これによって、その当時のジャンル分けではなく、後から振り返って視聴者がその時の価値観でタグをつけることができるし、そのタグにあるものは全件しっかりと表示される。
もちろん、自由さがある分、タグ荒らしみたいな存在もでることはあるが。

この機能・仕組みは、個人的には非常に良いシステムだと思う。
オープンソースの精神というか、みんなで作り上げる、というインターネット初期の文化の名残というか。

とにかく、タグと明確に数値化されたパラメータでの並び替えにより、他のサイトにはない検索性・網羅性はニコニコの強みだと思う。


ニコニコ大百科というネット文化のWikipedia

個人的にニコニコ動画や生放送を見ることはかなり少なくなった。
そんな自分でもたまにアクセスするのが、ニコニコ大百科というサイト。

より自由で、インターネット文化に特化したWikipediaと言うべきだろうか。
特に出典とかなくても記事は作成できるし、掲示板なんかもあったりする。

実はこのサービスは2ch創設者のひろゆきが作ってたりする(今は関与してないけど)。
ひろゆきは嫌いだけど、このサービスを立ち上げたのは偉い。


このサイトの何が凄いかと言うと、体系的に、ネット文化の歴史を記録していることだ。このネットミームは、このサイトや掲示板が発祥で、元ネタはこれで…というのがキチンと記載されている。
しょーもないものから、本格的なものまで、何でもありなところが良い。
しかも、Wikipediaと違って文章や内容が固くなく、ユーザーの創意工夫が見れるのがまた面白い。

この大百科の記事の多くが先述した動画のタグに紐づいている。
これを合わせて見れば、当時流行ったコンテンツを、体系的に整理された文字情報でも、実物としての動画も、なんなら当時の勢いをコメントで把握することすらも可能だ。


自分もこのサイトには非常にお世話になった。
オタクとしての教養の大部分をここで得た気がする。掲示板でコンテンツに対する意見を聞けたのも良かったし、関連記事なんかの紹介で芋づる式に色んな作品に出会えた。


絶やしてはいけないネット文化の図書館

もう、ニコニコはネット文化の最前線ではないかもしれない。
かつてネット文化を作っていったクリエイターは、プロになったりYoutuberになっていった。最近、ニコニコ出身でネット業界を騒がすようなクリエイターはあまり聞かない。

でも、古き良きな「みんなで作り上げる」という自治の精神は継続しているし、何より、漫画における米沢嘉博記念図書館のような、インターネット文化の図書館になってほしいと個人的には思っている。

歴史を愛する者としては、非常に重要な役割だと思う。ビジネスとしてやっていけるかは分からないけど…
まぁそこも、天下の角川さんという巨大資本に巻き取られたので、どうにかなるのではないでしょうか!


もちろん、ニコニコ動画がインターネットの最前線に立っている姿をまた見てみたい。
でも、それを今すぐ実現するのは難しいし、そこを無理に頑張って今のニコニコの良さを無くさないでほしいとは思う。

古参も新参も、みんなが楽しく語れる、素敵なインターネット図書館。
それはそれでカッコイイのではないだろうか。

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