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初期テリーマンが好きという話

最近、キン肉マンを再読し始めている。
大学生のころ、古典を勉強しないとな、ということで、TSUTAYAのレンタルコミックで文庫版を一気に借りて読破したので、それ以来。

最近のキン肉マンの展開は熱いと聞いていたし、追いかけたいとは思っていた。ただ、歯抜け状態で本棚に並ぶのは許さないマンなので、ジャンプコミックスで1巻から集めないといけないわけで…

そういうわけで、手を出すのをためらっていた。でも、久しぶりに大きな本屋に行って、80冊ズラッと並んでいるカッコイイ表紙を見てると、買いたくなって買っちゃいました。


これから本棚がキン肉マンで埋まっていくと思うと、少し憂鬱である…
全然入れる場所ないけどどうしよう…


初期テリーマンのダーティなカッコよさ

初期キン肉マンって、全然プロレスしないんです。怪獣をズッコケヒーローのキン肉マンが倒すという、完全ギャグ漫画。
かなり読んでいて辛い部分なんだけども、その中で唯一好きな話がある。


それが、テリーマンの初登場した話。
タイトルは『アメリカからきた男 の巻』

テリーマンと言えば、全然正義じゃないことも多い正義超人たちの間で、一番心優しく、熱い、キン肉マンの相棒的存在。
そんな彼の初登場シーンは、全然キャラが違う。


アメリカから来た人気のヒーローということで、強くてかっこいいテリーマンは、日本各地でも引っ張りだこ。ニンニク臭くてブサイクなキン肉マンとは大違い。

当然、みんなはテリーマンに怪獣退治を依頼する。ただ、テリーマンはタダでは怪獣退治を行わない。ビジネスとして怪獣退治をする。

コミックス第1巻 p102より

「タダで命を守ってくれる物ずきがいますか」
良い台詞である。この辺は開拓して、殺し殺されをしながら、国を大きくしてきたアメリカ代表って感じがする。


世間的な人気を得たテリーマンは、多額のお金を得て、日本専属のスーパーヒーローに。キン肉マンはお払い箱となる。
キン肉マンにさっさと日本を出るように告げるテリーマンだが、そこに怪獣が現れる。

近所の子供がテリーマンのところに現れて、「父ちゃんをたすけて!」と懇願するわけだが…
そんな少年にも金を要求し、なけなしの貯金箱を崩した少年を足蹴にする。



コミックス1巻 p107より


まごうことなき、クズである。


キン肉マンはこの後、テリーマンをぶん殴り、小銭をかき集め、少年に渡す。そして、少年と共に父親を助けに行く。
テリーマンは
「まて、お前は国外追放者だ いけば防衛軍の攻撃を受けるのだぞ!」とキン肉マンに忠告する。

それに対してのキン肉マンのイカス返し。
「大和魂が守ってくれるさ!」


そうして怪獣と戦うキン肉マンを見て、政府から多額の金を受けて獲得した専属スーパーヒーローバッチをちぎり捨て、怪獣と戦いに行く。

コミックス第一巻 p110


セリフの少なさがオシャレ

凄く好きな話だ。シンプルなストーリーだけど、カッコよさが詰まっている。

ダーティで、クールなテリーマンも、クズだけど、これはこれでカッコいい。超人オリンピックとか始まると、普通にいいヤツに様変わりするけど…
日本とは文化の違う、アメリカらしさがよく出ていて好きなのだ。


何より、セリフが少ないのがオシャレ。
このテリーマンが戦いに行く前も、タラタラ喋らせるわけでもなく、戦うキン肉マンの音を背後に、暗い顔をするテリーマンのカットが1ページ続く。
黙って背中と顔で語るわけである。

キン肉マンの一言も良い。いや、よく分からんセリフではある。
「大和魂が守ってくれるさ!」って、いきなり出てきた大和魂ってワードだし、何の根拠もない。

でも、心が熱くなるセリフだと思う。ゆでたまご先生のセンスがこのころから光っている。


初期は読むのは辛いけど、超人オリンピック編からは神漫画になるキン肉マン。
熱くて泥臭い、友情パワーの世界が大好きな人はぜひ。


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