アポトーシス　-堕-

動くこともできなくて　声すら上げられない僕たちは
誰にも気付かれないまま命を捨てていく
ほら　あの人はこんなことをしているのに
ほら　あの人は命を無駄にしなかったのに
「あの人」には恵まれていた機会
苦しみから立ち上がった成功者
みんながなれるなら　この世界に自殺なんて言葉存在しない
何故僕は生まれたの？　何のために生かされているの？
生きづらいとか関係ない　誰も助けてなんかくれないんだ
だから僕らは独りで構わない
さぁ　組み込まれたDNAを読み解いて
今　タイミングを見計らって　切り裂け　僕を

瞬きすら出来なくて　息をするのもやっとの僕たちは
誰にも気付かれないまま分裂を繰り返す
ほら　あの人はあんなことをしたのに
ほら　あの人は命を全うしたのに
「あの人」には巡ってきた機会
哀しみを乗り越えた勝者
みんながなれるならこの世に負け犬なんて言葉存在しない
何故僕は生きているの？　何のために生を受けたの？
生きづらいこの世の中　誰も自分しか見えていないから
そんな中で僕ら孤独に
そうさ　時間の流れに身を任せて
今　差し込んだ光も拒絶して　堕ちろ　深くまで

何をどう足掻いても変わらないよ
なのにどうしてまだ「この先」を望む？
理由なき欲望　その心に宿して　自分を殺し続ける
それはずっと前に求めた救い　それは今にも残る古い傷跡
癒えるどころか何度も疼き　体を蝕んでいくけれど

何故僕は生まれたの？　何のために生かされているの？
生きづらいこの世の中　誰も自分しか見えていないから
どれだけ苦しくとも　そんな中で僕ら孤独に
細胞は自死を繰り返してもなお　傷は癒えないから
さぁ　刻まれた記憶を焼き消して
今　恐怖すらわからないまま　飛べ　自由へ