物語 -ヴィラン-
「いつまでも幸せに暮らしましたとさ」なんて結末 ありはしない
全て無くしたこの世界で 最後に何を手にしているのだろう
虐げられる毎日の中で 見失ったのは僕自身
守るべきものもわからなくなって 自分で自分を傷付けた
関わりたくない 見られたくない
聞かれたくない 気付かれたくない
否定の言葉ばかり並べては壁を作り
殻に籠って耳を塞いだ
「いつまでも幸せに暮らしましたとさ」なんて結末 ありはしない
ハッピーエンドの物語を破り捨て 思い出を真っ黒に塗りつぶす
かろうじて残っていた感情も だんだん風化して
研ぎ澄まされた感覚に目だけが異様にぎらつく
鏡に映った姿は悪役そのもので
やっぱりハッピーエンドなんてない
起承転結は主人公に 脇役、悪役はただの構成員
誰しもみんな 自分という物語の主人公さ
平和な奴らの決まり文句
カースト上位な奴らの絵になる日常
そんな輝きを見ないで済むよう壁を作り
殻に籠って目を瞑った
「いつまでも幸せに暮らしましたとさ」なんて結末 ありはしない
ハッピーエンドの物語はいつも悪役を成敗して終わり
悪いことの定義もままならないまま
主人公に害を成すもの全てが 気に入らないもの全てが
息を止めるよう求められ 地を這って生を乞う
鏡に映る僕の姿は人だったであろうモノで
これがハッピーエンドだというならば
主人公こそが悪役なのだろう
反乱を起こすとき 僕の物語にも起承転結を
さあ乗っ取るのだ ハッピーな結末を
「いつまでも幸せに暮らしましたとさ」なんて結末 ありはしない
それでも強さを演じ 奪われたように奪っていく
かろうじて残っていた感情が だんだん鮮明になっていく
研ぎ澄まされた感覚に色や香りが混ざりだす
鏡に映った姿はカースト上位には程遠いけど
束の間であろうと作り出そう ありえない結末を
同じような物が溢れる毎日で 作り出す唯一無二の作品を
ほら最後には「幸せに暮らしましたとさ」を