スヌープが古巣デス・ロウを買収してオーナーに!Snoop Dogg - BODR (2022)
これまでに18枚のアルバムをリリースし、14枚のシングルが全米チャートのトップ10にランクインするという輝かしい記録を持つSnoop Dogg(スヌープ・ドッグ)。
アルバムはアメリカで2300万枚以上、全世界で3500万枚以上売れ、ラップ界の大御所の1人となりました。
スヌープ・ドッグは、自身の曲のタイトルを「Gin & Juice」とするほどのジン愛好家でもあり、自身のジンブランド「INDOGGO」を立ち上げ、2022年には料理本の発売を予定しています。
そんな彼がニューアルバム「BODR」(2022)をドロップ。
アルバムタイトルの「BODR」は「Bacc on Death Row」の頭文字をとったもので、古巣Death Row Records(デス・ロウ・レコーズ)から26年ぶりに新作のリリースになりました。
ここでは、デス・ロウ・レコーズ復活のストーリーを振り返ります。
レーベル : Death Row Records
リリース日 : 2022年2月11日
名前 : Snoop Dogg
本名 : Snoop Dogg / Calvin Cordozar Broadus Jr.
年齢 : Snoop Dogg 50歳
出身地 : Snoop Dogg カリフォルニア州ロングビーチ
Death Row Recordsの破産とその後
デス・ロウ・レコーズは1992年にDr. Dre(ドクター・ドレー)、Suge Knight(シュグ・ナイト)、D.O.C.、Dick Griffey(ディック・グリフィー)により設立されたレーベルです。
ドクター・ドレーの「The Chronic」スヌープ・ドッグの「Doggystyle」2Pac(2パック)の「All Eyez on Me」など、西海岸のアーティストによるマルチプラチナムのヒップホップアルバムをリリースし、一躍注目を浴びるレーベルとなりました。また最盛期には年間1億ドル以上の収益を上げたと言われています。
しかし90年代後半、スターアーティスト2パックの死、シュグ・ナイトの投獄、ドクター・ドレーの脱退により、レーベルは衰退し始めます。
スヌープは同レーベルから2枚のアルバムをリリースし、いずれも全米チャートで1位を獲得しましたが、Master P(マスター・P)率いるNo Limit Records(ノー・リミット・レコーズ)に移籍するため、レーベルを離れることになりました。
スヌープ・ドッグは、デス・ロウからの脱退について、「あそこには何もない」と語っています。
あそこには何もない。
レーベルのオーナーSuge Knight(シュグ・ナイト)が刑務所に入り、Dr. Dre(ドクター・ドレー)は去り、2Pac(トゥパック)も死んだ。
俺が死ぬか、刑務所に入るか、何もなくなるかのどっちかだってことだ。
デス・ロウは前述したラッパー陣のヒットを連発し、経済的には恵まれていましたが、アーティストや関係者による訴訟や暴力沙汰が多々ある、悪名高いレーベルとしても知られていました。
スヌープもそのゴタゴタに巻き込まれた1人で、脱退後もシュグ・ナイトとは確執が続いていました。これをきっかけに人気ラッパーが次々とレーベルを離れ、ついには2006年に破産を申請しました。
その後、レーベルは2009年にWIDEawake Entertainmentに1800万ドルで競売にかけられましたが、2012年にWIDEawakeのオーナーが破産し、Entertainment Oneがデス・ロウのカタログの権利を購入。2019年に玩具会社のHasbroが40億ドルでEntertainment Onを買収するも、2021年に売却され、Blackstone Groupがデス・ロウの権利を購入しています。
Death Row Recordsの復活
スヌープは、当時のオーナーであった eOne Music に デス・ロウの買収希望を打診したものの断られたこと、その後 Blackstone が eOne から事業を買収する契約を結ぶ前に、入札の機会が得られず落胆したことを明かしました。そして彼の夢はレーベルのCEOになることだったとも話しています。
俺はDeath Row RecordsのCEOになり、基本的に商品を引き継ぎ、彼らの音楽を再リリースし、ドキュメンタリーを制作し、場合によっては俺のライフストーリーも作りたかったよ。
レーベルはオーナーを転々としながら存続していましたが、2022年、スヌープはそのチャンスに賭けることを決意します。Blackstoneの子会社であるMNRK Music Groupからデス・ロウを買収。彼はレーベルの音楽権の一部も取得するようで、これについてこれについてスヌープは次のように語っています。
俺は、象徴的で文化的に重要なデス・ロウ・レコーズのブランドを手に入れる機会を得たことに感激し、感謝している。
俺のキャリアの初期に、そして創設メンバーの1人として所属していたレーベルのオーナーになることは、とても良い気分だよ。
これは俺にとって非常に意味のある瞬間だよ。
BlackstoneとMNRK、そして特にDavid Kestnbaumのチームのみんなには個人的に感謝したいと思ってるよ。
デス・ロウ・レコーズの次の章を築けることを楽しみにしているぜ。
Blackstoneのシニア・マネージャー・ディレクターであるDavid Kestnbaumは、次のように話しています。
David Kestnbaum
私たちBlackstoneは、エンターテインメントへの投資において、アーティストやクリエイターのコミュニティを強力にサポートしているんだ。
デス・ロウ・レコーズブランドを、スヌープ・ドッグのような伝説的人物の手に取り戻すことができ、私たちはとても嬉しく思っているよ。
彼のリーダーシップとビジョンのもと、ブランドが前進するこれからの数年間、彼の成功を祈っているよ。
またMNRK Music Groupの、社長兼CEOであるChris Taylorは、次のように述べています。
Chris Taylor
スヌープは明らかに、デス・ロウの次の30年をリードする経営者です。MNRKは過去10年間、この伝説的なブランドを監督することを光栄に思っており、2021年に受賞した30周年記念マーケティングキャンペーンを通じて、何百万人もの新しいファンに紹介できることを楽しみにしています 。
終わりに
スヌープは2021年にDef Jam Recordsのエグゼクティブ・クリエイティブ・コンサルタントに就任し、レーベルのコンピレーションアルバムを発表して話題になりました。
コンピレーションアルバムについての記事はこちら。
このDef Jamでの動きにも驚かせられましたが、更なるデス・ロウ買収やニューアルバムのリリースなど、話題作りの上手さには度肝を抜かれます。
ニューアルバム「BODR」にはThe Game、Nate Doggといった西海岸のキーマンからNas、Wiz Khalifa、T.I.、DaBabyなど中堅・ベテランまでがフィーチャーされた豪華な内容となっています。
26年振りの古巣からリリースとなった今作を、この機会にチェックしてみてはいかがでしょうか。
冒頭で触れた「INDOGGO」についての記事はこちら。
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