アフロビートを広めるために望まないコラボを依頼!? Fireboy DML & Ed Sheeran - Peru Remix (2021)
アフロビートといえばこの人、昨年リリース「Essence」がヒットし、Justin Bieber(ジャスティン・ビーバー)を迎えた同リミックスが、全米R&B/Hip Hopチャートで3位を記録したWizkid(ウィズキッド)。
これまでにもナイジェリアの音楽シーンを牽引してきたウィズキッドですが、この曲で北米のシーンに進出することに成功。
この結果に改めてジャスティン・ビーバーの存在感の大きさを認識した人も多いのではないでしょうか。
今回ご紹介するFireboy DML(ファイヤーボーイ・DML)もウィズキッド同様、ナイジェリア出身で、現在Ed Sheeran(エド・シーラン)とのヒットシングル「Peru Remix」(2021)がR&B/Hip Hopチャートでじわじわと上位に入ってきています。
ここでは、そんな謎に包まれたファイヤーボーイ・DMLとこの曲について解説します。
レーベル : Island Records, Empire Distribution
リリース日 : 2021年12月24日
名前 : Fireboy DML & Ed Sheeran
本名 : Fireboy DML / Adedamola Adefolahan
Ed Sheeran / Edward Christopher Sheeran
年齢 : Fireboy DML 26歳 Ed Sheeran 31歳
出身地 : Fireboy DML / ナイジェリア、オグン州
Ed Sheeran / イギリス、ハリファクス
Fireboy DML & Ed Sheeran - Peru Remix (2021)
ファイヤーボーイ・DMLとは
オグン州アベオクタで育ったファイヤーボーイ・DMLは、地元の教会の聖歌隊に所属し、大学入学後は英語を専攻する傍ら音楽に興味を持つようになります。
2018年にレコードレーベルの創設者でもあるOlamideによってYBNL Nationと契約。余談ですが、Olamideはナイジェリアの音楽シーンを長年牽引し、数々の賞を受賞しているラッパーです。
ファイヤーボーイ・DMLは、同レーベルのコンピレーションアルバム「YBNL Mafia Family」に参加し、2019年にはこの作品から「Jealous」がシングル化され、YouTubeでは1800万再生を記録しています。
Fireboy DML - Jealous (2018)
その後もシングルをリリースし、2019年にはアルバム「Laughter, Tears & Goosebumps」をドロップ。発売から3日でSpotifyで600万回ストリーミングされ、ファンの中でも特に人気を集めた「VIBRATION」(2019)はYouTubeで3000万再生されるヒットとなりました。
FIREBOY DML - VIBRATION (2019)
2020年には、セカンドアルバム「Apollo」をリリースし、カリフォルニア州イングルウッド出身のラッパーD Smoke(D・スモーク)がゲスト参加。この抜擢には、USの音楽シーンを意識している様子も伺えます。
Fireboy DML & D Smoke - Champion (2020)
またアメリカの人気番組「The Tonight Show Starring Jimmy Fallon」でも、この曲と「VIBRATION」を披露しています。
エド・シーランとの出会い
2021年7月、シングル「Peru」をリリースし、全英アフロビーツ・シングルチャートで1位を獲得。その後、イギリスのウェブメディアSB.TVの創設者であるJamal Edwards(ジャマール・エドワーズ)を通じて、エド・シーランに同曲のリミックスを依頼したようです。
これについてエド・シーランは、次のように明かしています。
これに対し、ファイヤーボーイ・DMLは喜びつつも、エド・シーランはいなくてもよかったと明かしています。
アフロビート業界の発展のために、自分のエゴを捨てて参加してもらったと明かしています。
また、エド・シーランは同曲のリミックスで、西アフリカ、特にナイジェリア南西部の数百万人が話す言語であるヨルバ語をリリックに使っており、これはシーンへのリスペクトを示す彼なりのやり方なのかもしれません。
しかしながら、このコラボレーションの橋渡しをしたジャマール・エドワーズは、2022年2月に心臓発作で31歳の若さでこの世を去りました。イギリスのチャールズ皇太子はTwitterで「彼は多くの人にインスピレーションを与えた」と声明を発表しています。
英語力が今後の業界の成長の鍵に?
アフロビーツやアフリカの音楽シーンが徐々に世界へ進出する中、彼のYBNL Nationは2020年にEmpire Distributionと配給・出版契約を結びました。
これまでナイジェリアのラップスターであったWizkid、Burna Boy、Davidoがヨルバ語で楽曲を発表する中、英語をマスターしているファイヤーボーイ・DMLは、この契約によって彼のキャリアを後押しする非常に大きな存在であると言われています。
終わりに
ファイヤーボーイ・DMLは、業界の先人たちを尊敬していることを明かし、今後サードアルバムとツアーのリリースがあることを示唆しました。
また今作は21 Savage、Blxstが参加したリミックスも発表されており、アフロビートを広めるために精力的に活動する彼の今後の活躍に期待したいですね。
Fireboy DML, 21 Savage & Blxst - Peru Remix (2022)
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