『Dignity』との出会い
二人の出会い、そして『Dignity』との出会い
<Yoshie> 春美さんとの出会いは、お互いに海外生活なのに、ある年たまたま行った関西で出会った。何かご縁がある方なんだろうなって、この企画にはそんなバックグラウンドがあったね。
<Harumi> そう、確か数年前だったと思うけど、その時の懇親会で目の前に座って。不思議なんだけど前から知っているような感覚があったのを覚えています。
<Yoshie> その時の自分には想像はできなかったけど、なんかあるんだろうなって感覚は私の中にもありました。その後なんですよね、『Dignity』の本に出会うのは。
これもいくつかの偶然が重なって、それも頂いた素晴らしいご縁なのですが、それで私のところに「翻訳してください」ってきたのです。最初はタイトル自体が素晴らしく私にできるのだろうかとそんなことを思いました。
それでまずは「読ませてください」ってお答えしたのです。
<Harumi> 最初は英語で『Dignity』を読まれたということですが、初めて読まれてどんなことを感じられたのですか?
<Yoshie> そうですね、まず『Dignity』、自分の中でこの言葉へのリンクは出来てなく身近なものではなかったのですが、なんとなく惹かれているものはありましたね。なので読ませて頂き、納得できる気持ちになったら、そう思っていたのですね。
そして読み始めたら、どんどん涙がでてくるのですね。もう魂のレベルでこれに反応しているというような。
「これは私にとってご縁の深いもの」だと思った。
読みながら記憶を遡って自分がこれまで色々と体験したりしたこと、その時の感情などフラッシュバックのように蘇ってくるんですよね。もちろん、本の中に書かれていることのエピソードは自分とは違うのですが、あの時に思った気持ちはこれだったんだと言語化できる。それがバシバシとまるでシンクロするように出てくる。
それでやりたいと思った。当時は実は忙しかったのですが、それでもやりたい、何を置いてもやりたいとそう思いましたね。
それで「是非やらせてください」ってお返事をしたのです。
<Harumi> そして、日本では今年の3月に出版された。
私はね、時を同じくして「シン・ニホン 」という安宅和人さんの著書で、今の日本の現状と日本再生に向けて、どう私たちは生きていくかを問いかけられているような本を読み始めていたのね。
3月というのは、Covid-19が世界中で騒ぎ出されてきて、どうなってしまうのだろうって、先が全く見えない入り口のところでこの二つの本に出会い、私にはなんとタイムリーなのだろうって思ったの。
『Dignity』音声対談の誕生
<Yoshie> 私がこの企画を春美さんにお声をかけたのですが、先ほどの二つの本との出会いを聞いていたし、『Dignity』に対しての春美さんの思いがあるというのも聞いていたので。
春美さんとは普段、互いの近況や物事への見解を話している中で、これまでの経験は異なってはいても、ふっと深い話になることがあって。そのような会話って誰とでも起きるものではないし、去年試しに対談を録音するという面白い展開になり、そうした点がつながりましたね。
この本は、これからの時代にとても大切なものを提示してくださっているから、翻訳して終わり、読んで終わりではなく、一人でも多くの方に届けたい。『Dignity』を身近に感じて欲しい、シェアできたらいいし、知って実践して欲しいという願いがどんどん溢れてきました。
「尊厳というものが何なのか?」、「自分にとって何なのか?」、「どう実践していけばいいのか?」など日常で自分ごととして受けとめていけたら、それがこれからの社会の基盤になっていくような、そうなったら素晴らしいことだろうなって思っています。
その一つのあり方として、二人で話すことでの、化学反応して出てくる深いものもあるので、シェアできたら。その中で聞いてくださる方達の中でも『Dignity』が育まれていくことになればいいなと思っています。
<Harumi> そうですね。テーマとしては難しいなと思いながらも自分の体験談なら話せる。よしえさんとの対話で自分を思い出すことが出来たら、それも嬉しい。
なぜかね、子どもながらに感じていた社会の理不尽さや、それが自分の中で消化できずにもやもやと煙のようにうごめく時があるときに「いつか世の中はひっくり返る」って聞こえてくることがあったのね。
それがずっと自分の中にあって......。
それでね、5、6年前から数日単位で生活の場が変わるようなちょっと不思議なライフスタイルをしてたのね。必然的に社会から少し離れた所にいて、その分ぐーっと自分の内側に入り込む時間になって、逆に見えてきたものがあったの。
それで、去年日本に戻り再び生活をし始めてみると、海外に行く前に感じていた社会の空気感が未だにあって、あれ?なんか何も変わってないのかなって。そんな矢先にパンデミックでしょう。
これまでの定義がものすごいスピードで変わりはじめ、なんかまるで洗濯機の中に放り込まれたような。そのスピンの中で微かに希望を持ち始めるのだけど、同時に焦りも感じ始めた。
この新しい未来を語る前に「人間とは何か?」、「人としてどう生きるか?」みたいな根本的な問いをみんなで持ち合わせないとと思う。
話が飛ぶけど、私がインタビュー活動で「生き方」を伝えてきたいと思ったのも、そういったことを残しておきたいという裏テーマがあって。
「人間とは何か」、「どう生きるのか」ということを、益々問われていくのだろうと思います。
この本を手に取ってくださる皆さんへのメッセージ
<Harumi> 本当によしえさんがこの素晴らしい本を手がけて下さって、本当に「ありがとう」とお伝えしたい。翻訳もまた、よしえさんの世界観がなくては出来ないものであると思うから。恐らく沢山の方が心救われたと思うのですね。そこで最後に、この記事を読むのが先でまだ『Dignity』の本に出会ってない方へ、よしえさんからメッセージをお願いできますか?
<Yoshie> 「尊厳」という言葉にどんなイメージを持っているか?私自身もそうだったのですが、「人権宣言」のような場で語られる決まり事のような、かけはれたもののように思えたりするのですが、でも本を読むことによって、どんどんと自分ごとに落とし込まれていく。
実は、非常に身近で人間には欠かせないもの。
ただそれが今までは繋がっていなかったもので、それが無意識で過ごされてしまっている悲しいくらいの事実があるのですが、時の隔たりを経ての今。なので、遠い世界のことではなくてもっと自分自身が関与し、実践し、育てていくものだって体験していただければ嬉しいです。
正直ちょっと難しく書かれているところもあるのですが、そのエッセンスを読んでいくと、驚くほど自分に密接に重なり合うような体験もあるかと思いますので、そんな素敵な発見にワクワクしながら冒険していくような、「Dignity、自分と出会うジャーニー」を楽しんでいただければと思います。
また、私たちの対談を聴いてくださっているリスナーの方たちにとっても、「尊厳」について、私たちとこの本を読み進めながら一緒に考えて頂き、日常の中で「尊厳」に出会ったり親しんでいかれる中で、ご自身の実体験を通して、この人間にとって欠かせない存在であるDignityの境地を、深めたり育んでいって頂ける何かのきっかけとして頂けたら幸いです。
ありがとうございます。 Yoshie&Harumi
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