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野外活動用パンツとの別れと出会い

野外で泥にまみれて活動するときは、2000年頃に買ったマムートの山用パンツを、ずっと履いていた。

ずっと履いていたといっても、メンズでオーバーサイズだったので、買った当初はぶかぶか過ぎる上にロールアップが必要でほとんど履いていなかった。

それから何年か(あるいは十何年か)経って、太ったためか、着たい服が変わったからか、理由ははっきりとは覚えていないのだが、ベルトを絞れば履けると思えるようになった。

それからは主に野外活動のときに履くようになった。ロールアップのところに落ち葉とかがたまるのがいやだなと思ったけど、そのまま履いていた。

そして、2021年に自問自答ファッション講座を受講したのち、なんで不満に思いながらロールアップでパンツを履いているんだろう?と思うようになり、裾上げをした。購入後20年以上経ってからの裾上げである。

昨夏、2023年の夏は、すっかり制服化が進んだ結果、デイリーに使いたいと思えるパンツがこのパンツと黒のジャージパンツだけになっていた。

真夏のジャージは暑すぎてつらかったため、毎日このパンツを履いて過ごしていた。

お尻が平たく横に広がって見えることにちょっと不満を感じつつも(自分のお尻が垂れているというだけでなく、メンズパンツであることが理由だと思いたい)、このパンツを履いて、ビルケンシュトックのマヤリを履いて、白のリネンシャツを着てちょっとだらしない感じでいるのが、とても自分らしく、好きだった。

このように、デッドストック化したのちに20年の時を経てヘビロテ一軍パンツに昇格するという、数奇な運命を辿ったパンツ。

アウトドアウェアは丈夫だね、などと思いながら今春も履き始めたのだが、このたび、なんとざっくりと裂けてしまった。トップ画像がその裂けてしまった様子である(生々しさを軽減するために写真を少し加工しています)。

ある日このパンツを履いて車に乗り降りするとき、太ももの裏がひやっとするなと思ったのだが、帰宅したらお尻の下から膝の後ろにかけてざっくりと裂けていた。

朝、慌ただしく子を登園させたあとが、年に数回しか許されていない在宅勤務の日だったのは幸いだった。保育園で誰かに下着を目撃されていないことを祈りたい。

さて、やぶれた瞬間、まずい、と思った。

私はこのパンツに変わるものが欲しくて、何年も後継を探し、買ってはしっくりこず手放すということを繰り返していたのである。つまりこのとても古いパンツを残して新しく買った方を手放していたのだ。これまで何年探しても見つからなかった後継パンツが、すぐ見つかるとは思えなかった。

しかし、野良着パンツは最低1本は持っていないと仕事と生活に支障が出る。

試着を繰り返してぴったりくる一本を見つける時間はあまりないが、妥協もしたくない。とりあえず近所のモールから試着チャレンジだ、とパンツが破れた日に、ショッピングモールに向かった。

まずはユニクロにいく。まあ、わるくはない、と思えるパンツがあった。わるくもないが特別よくもない。2サイズ試して、買うなら小さい方かなとあてをつけて店を出た。

次に某アウトドアウェアの店に向かった。最初に選んだパンツがいまいちだったのだが、代わりに店員さんがもってきてくれたパンツが、まさに愛用品に近い理想の色で、形も長年の愛用品に似ていた。

サイズ違いも持ってきてもらって、SサイズとMサイズを比較する。メンズなのでSサイズでもややオーバーサイズなのだが、Mサイズのワイド感が気に入ったので、ひとしきり迷ったあと、Mサイズをお迎えすることにした。

購入してからすぐにウエストを手縫いで縫い詰めた。

やはりおしりは平たく横に広がって見えてしまうのだが、野良着パンツはバックスタイルの美しさよりも機能性(動きやすく、乾きやすく、手荒に扱っても問題なく、汚れ上等!と汚れることを厭わない服であること)が重要なので、バックスタイルには目を瞑ることにした。

購入後、野外活動するときは常にこのパンツを履いている。20年越しに買ったパンツは涼感素材で虫除け効果もあるらしい。ハイテク素材にアップデート。裾も絞れて虫の侵入も防げて素晴らしい。

気に入りすぎて、同じものをもう一本買いそうだけど、まずはこの1本を愛用することにした。

長年、後継を探しても見つからなかったのに、いよいよ着られないとなったらぱっと見つかるものなんだなと思った。

20年以上も付き合ってくれた裂けたパンツに深く感謝しつつ、これからは新たな相棒と野外活動を満喫していこうと思う。

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