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VRChatクリエイターエコノミー売上の会計処理(デジタルリージョンの場合)

はじめに

株式会社デジタルリージョンは、おかげさまで今年10月で第3期を終え、4年目を迎えることができました。ありがとうございます!

今期は、VRChat内での初の常設型商用店舗「喫茶はたご」の営業を開始し、また東京タワー内のeSportsパーク『RED° TOKYO TOWER』にて「ゴーストきゃぷちゃー」の提供を始めるなど、新しい挑戦が続く一年でした。
そして現在は決算処理の真っ只中です。

その中で、VRChat内での売上計算も行っているのですが、実際にやってみるとVRChatクリエイターエコノミーでの売上計算は、やはりなかなか手間のかかるものでした。
こちらは国内でもあまり例がないものだと思うので、今後、決算作業されるみなさんの参考になるよう、こちらの記事にしました。

特に、個人事業主の方々は12月決算に向けてこれから同じように売上計算を行うタイミングだと思いますので、少しでも参考になれば幸いです。ただ、これはあくまでの弊社の例なので最終的な判断は、必ず税理士さんにご相談ください。

VRChatクリエイターエコノミーでの収益を日本円で受け取るまでの流れ

売上を計上するに当たって、まずはVRChatクリエイターエコノミーでの収益を日本円で受け取るまでの流れの確認です。
VRChatクリエイターエコノミーでは、ユーザーから収益を得て、日本円として手元に受け取るまでには以下のステップが必要になります。

1. サービス利用者からの支払いをVRChat Creditsで受け取る(※複数月のサブスクリプションは月ごとに反映)
2. Tilia経由でドル建てでPayPalに出金
3. PayPalで日本円に換金し日本の銀行口座に出金する

サービス利用者からの支払いとVRChat Creditsでの受領

クリエイターエコノミーでのサービスやコンテンツ提供に対し、ユーザーが支払いを行うと、その金額は「VRChat Credits」という仮想通貨としてクリエイターのアカウントに加算されます。
ただし、複数月分のサブスクリプションが購入された場合、すべてが即座に反映されるわけではないことに注意が必要です。支払いは1か月ごとに分割されてアカウントに反映されます。たとえば、3か月分のサブスクリプションであれば、初月に1か月分が加算され、その後も毎月同額が加算される形になります。(わたしは、この仕様が理解できておらず売り上げの数値が合わないと思い、決算前にVRChat担当者に問い合わせをしました💦)

VRChat Creditsの最低出金額とTiliaを通じたPayPalへの出金

VRChatで得たCreditsは、30,000 VRChat Credits以上でないと出金手続きができません。また、日本円への最終換金にはドル建て出金が必要となり、「Tilia」を通してPayPalに出金します。出金には手数料がかかるため、実際に受け取れる金額はその分だけ少なくなります。

最低出金額:出金には30,000 VRChat Creditsが必要です。Creditsがこの金額に達するまで出金手続きは行えません
出金手数料:TiliaからPayPalへの出金には手数料がかかります。たとえば、30000 VRChat Credits(=150ドル)での出金の際には、2.25ドルの手数料となります

PayPalから日本円に換金して出金

次に、PayPalにドルで入金された金額を日本円に換金し、日本の銀行口座に出金します。PayPalでは為替手数料が発生し、適用される為替レートによって最終的に受け取る日本円が変動します。

VRChat Creditsの売上の計上

ここまで見てきたお金の流れを踏まえ、税理士と相談し、弊社では以下のように売り上げを日本円ベースで計上することにしました。

1. VRChat Creditsでの売上を日ごとに記録(ただし、複数月の売上については自分のアカウントにVRChat Creditsでの入金があったタイミングをVRChat社から売上として計上)
2. 金融機関のサイトから売上があった人のドル円レートの仲値(TTM)を取得し、VRChat Credits→ドル→円での計算を行い、その日の円ベースでの売上額として計上

サービス利用者からの支払いとVRChat社からの日ごとのアカウントへの入金、購入されたサブスクリプションと月数については、それぞれ、クリエイターエコノミーセラー向けの「Storefront」からデータが取得可能です。
そのため、毎日売り上げを記録していなくとも定期的にデータのダウンロードをしておけば、そこからまとめて帳簿をつけることができます。

また、上記の計算の中には、TiliaやPaypalからの出金時の手数料が含まれないため、手元に入る額は、その分だけ小さくなりますが、それらはお金を動かさない限りは発生しないため、特に計上していません。

また、会計上は毎日円の売上に変換していますが、VRChat Creditsは実質的なドル建て資産なので、日本円にする際にはその時のレートで計算して、差額を計上することになるのかなと思っています。

確実な収益管理のために

VRChatクリエイターエコノミーでの収益は、慣れるまでは手間がかかるものの、段階を理解することで円ベースで売上として計上することができます。

本記事で紹介した内容は当社での事例に基づくものですので、具体的な会計処理や税務申告については、必ず専門の税理士にご相談いただくことをお勧めします。

こちらの記事がみなさんの一助となりましたら幸いです。

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