TechPlayのチームビルディング講演のご紹介
はじめに
こんにちは!DevOps and Agile Coachingで開発者をしている岡村です。今回は3/2(木)にTechPlayで講演した「【チームの生産性向上に効く】目的の可視化と共有からはじめるチームビルディング~デザインシンキング・スクラムの事例~」の内容のごく一部を紹介します。
この登壇は、アバナードでデザインシンキングのワークショップを推進している奥村、スクラムマスターとして活躍されている多治見と共に登壇しました。
イベントの初めに参加者からの期待を聞いたところ「良い仕事ができるチームにしたい」「4月から新しいチームなので何かヒントを得たい」など意見があり、これらの解決のヒントになるチームビルディングの事例を紹介しました。
講演は終了していますが、イベントページはこちらです。
https://techplay.jp/event/888055
アバナードで実施しているデザインシンキングについて
デザインシンキングは発散と収束を繰り返すプロセスになっており、発散(共感)→収束(問題定義)→発散(創造)→収束(プロトタイプ、テスト)のように行います。
このプロセスをMuralというオンラインホワイトボードを使用して実施します。(オンラインコラボレーションツールであれば、他のツールでも可能です)
一例として、2時間のワークショップでは以下のスケジュールで進めます。
アイスブレイク(20分)→取り組むべき問いを定義する(5分)→現状を理解する(35分)→休憩(5分)→アイディアを発散させる・優先順位をつける(40分)→まとめ(15分)
この際にファシリテーターは「正しい発言・間違った発言・くだらない発言はない」「口より手を動かす」「細部にこだわらず、まずはやってみる」など、参加者の発言を促すお願いをワークショップで参加者にお願いします。
現状を理解する部分でよく利用される、ローズ・ソーン・バットを紹介します。こちらは
Rose:ポジティブなこと、やり続けたいこと
Thorn:ネガティブなこと、止めるべきこと
Bud:良いと思うアイディア、何か発見/可能性がありそうなもの/こと
をチームで共有し、現状の課題などを洗い出すメソッドです。
このようなワークショップを実施すると「いろいろな人の話を聞ける」「自分が思っていたことは皆も思っていた」など、仲間意識と高めたり、共通認識をチームで持つことにもつながります。
ちなみに、他の記事で「MURALのお役立ちリソース機能 3つ」も紹介しています。
https://note.com/digitalinnovator/n/nf8c9cb656175
スクラム案件におけるチームビルディングセッション
インセプションデッキにチームビルディングの要素を加えた、ワークショップ型のキックオフをチーム全員で実施した例を紹介します。
インセプションデッキとは、プロジェクトの全体像をメンバーに認識するために作成するドキュメントで、プロジェクトに関わるWhyとHowをチーム全員で整理するものです。
このインセプションデッキにみんなが気持ちよく仕事をするためにというポイントにフォーカスした要素をプラスし、意見を出しやすいようにLS(リベレイティングストラクチャー)の概念を追加しました。LS(リベレイティングストラクチャー)とはフラットな関係で話し合うための仕掛け、ツールのことです。インセプションデッキに取り入れたのは、以下の3つです。
ドラッガー風エクササイズ
N/5投票法
1-2-4-all
これに加え、アイスブレイク(自己紹介と性格診断)、チームのグランドルール(チームメンバーがどのようなことを嫌だと思うのかを知り、どのようなチームでありたいかを認識あわせし、働きやすい環境をつくる)を追加しました。心理的安全性の確保には「自分の発言が受け入れられている、正直に話してもこのチームは大丈夫」と思ってもらうことが重要です。
このように、インセプションデッキに
LS(リベレイティングストラクチャー)
アイスブレイク(自己紹介と性格診断)
チームのグランドルール作成
を追加することで、チーム発足時により良いスタートを切りやすくなります。
会議活性化に合わせて、LS(リベレイティングストラクチャー)についても過去の記事で触れているので紹介しておきます。
https://note.com/digitalinnovator/n/nb044525ea1e4
開発現場発信のチームビルディング
上記2つの要素の一部を取り入れ、現場発信でもできる1時間のチームビルディングについて紹介しました。Muralとドラッカー風エクササイズを使った1時間程度でできるチームビルディングです。
ドラッカー風エクササイズとはチームビルディングの手法の1つで、期待値をすり合わせるためのメソッドで、以下の質問をチームメンバーと共有して、相互理解をしていきます。
自分は何が得意なのか?
自分はどういうふうに仕事をするか?
自分が大切に思う価値は?
チームメンバーは自分にどんな成果を期待していると思うか?
Muralには「1 Min Profile」というテンプレートがあり、それを下記の質問に変更します。6名での実施の場合、タイムスケジュールは以下の通りです。
説明(5分)
各メンバーの記入(12分)
各自回答&認識合わせ(24分)※6人×4分
このチームビルディングはメンバーを相互理解にフォーカスしていますが、シンプルな質問と1時間という短い時間でできるため、比較的始めやすいツールになっています。
さいごに
これからの4月に新しい組織、新しい会社でのチーム発足時する人も多いと思われます。これらを取り入れてみるのはいかがでしょうか?
* Mural(製品名) は、米国 LUMA Institute の米国及びその他の国における登録商標または商標です。
* リベレーティングストラクチャーの手法は、クリエイティブ・コモンズライセンスと著作者の帰属を明らかにして、活用が可能です。
Keith McCandless & Henri Lipmanowicz
www.liberatingstructures.com
* その他、記載されている会社名、製品名は、各社の登録商標または商標です。