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ゼロから作る!Meditの簡単CADで作成するトライインデンチャー!任意の歯列データを義歯に使用できます (2025 1/8下顎作成方法を更新しました!)

今回は、旧義歯のない状態でフルデンチャーを製作しないといけない場合に、
アルジネートやシリコン印象材ではなく、口腔内スキャンを最終印象として
初回のトライインデンチャーを製作する方法を紹介します。

トライインデンチャーは、プリントする材料により患者さんに持ち帰ってもらえる
テンポラリーのプリントデンチャーです。
バイトに不安がある場合などに下顎をフラットテーブルにしてお渡しも可能です。

今回は上顎歯列は人工歯が並んだ状態、
下顎はフラットテーブルのトライイン
旧義歯なしの粘膜スキャンから作製する方法を解説します。


2024年12月公開時には、上顎総義歯トライインデンチャーの作成内容のみになります。
このような↓データを作成できます。

上顎総義歯トライインデンチャー。
審美面を考慮すれば最終補綴として用いることもできる。

使用ソフトはMedit SplintsMedit Design、Model Builder。
できる限りCAD操作を複雑でないように配慮してみました。

とりあえずのトライインが作成できれば、
咬座印象を取ってアナログで技工士さんへ発注するもよし、
トライインでバイトなどを再確認の上、咬座印象するもよし。
下のようなすでに共有させていただいている方法をもとにして
最終義歯をCADで作製しても良いと思います。

↑プリントデンチャーとして一般的な人工歯と床を2色レジンで出力、結合する方法を紹介しています。
トライインデンチャーで咬座印象した場合にはフレンジや
顎堤から人工歯への移行形態も最終義歯に活かせます。

↑審美に考慮した、バイトがずれず技工が楽な「ベニアデンチャー」
モノリシックの方が技工はさらに楽で、技工操作ではバイトがずれません。

↑対合が天然歯の場合や、かなり審美に気を遣う場合など
人工歯をクラウン形態として、義歯床にクラウンをかぶせる形で製作する
「クラウンデンチャー」


また、小型のパーシャルデンチャーの作成方法はこちらから
(バイトが安定する1〜3歯はこの方法でOKと思います)

内容が重なるところもあるかもしれませんので、上記記事を参考にしていただけますと嬉しいです。
よろしくお願いします。


・・・・・・・注意・・・・・・・・

本記事は歯科医師、歯科技工士の知識と技術向上のために記載しています。
一般の方へ向けた内容ではありません。
一部、実際の症例写真や動画を含みます。
歯科医師、歯科技工士以外の方はこの先を閲覧しないようお願いいたします。


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ゼロから義歯作成を行う際に必要なもの

口腔内スキャンを最終印象と考えた場合、
義歯完成に至るまでに様々なものが必要になります。

  • 義歯製作に必要な範囲までしっかり取れた口腔内スキャン

  • 初回バイトスキャンするためのセントリックトレーかそれに準じたもの

  • 精密咬合採得するための咬合床かコピーデンチャー

基本的には口腔内スキャンデータで義歯を作るならミリングかプリンターの
設備や材料があり、トライインはデジタルデンチャーとするのが基本です。

もし最後は通法でトライイン義歯を完成させるのであれば
スキャンデータを最終印象にするために、どのようなものでも良いので
プリンターやレジンでも良いので顎堤スキャンで作製した模型を作成し、
模型をアルジネート印象→石膏模型製作→咬合床かコピーデンチャーを適合させて
技工士さんにアナログで製作してもらう。という回り道が必要です。

また、スキャンでの義歯製作の流れであった方が良いものは以下の通りです。

  • 特殊な口角鉤

  • 咬合平面板一体型のセントリックトレー

  • フェイススキャン


印象(スキャン)、簡易バイト
→排列試適・精密咬合採得(トライイン義歯をセット)
→最終義歯セット
という流れになるのが基本です。

もしどうしても希望なら
印象(スキャン)→最終義歯セット
も可能ですが、出来れば先にトライインを製作し仮義歯として使用しておくか、
フラットテーブルの治療義歯とすることをお勧めします。
非常に卓越したセントリックトレーの咬合採得の技術があれば問題ないのかもしれませんが・・・

あるいはパーシャルデンチャー症例であればDSS(Denture Shaped Splint)を
利用すればプロビジョナルデンチャーとして装置を入れて、
咬合関係を削りながらバイトの模索を行うことも可能です。
(今回の内容には含みません)

また、患者さんが待機してくれるのであれば、プリンターの速度に依存しますが
即日トライインデンチャー完成まで持っていくことも可能です。

チェアサイド①顎堤スキャン

スキャン方法や、スキャンパス、使用器具はこちらの記事をご参照ください。

この記事については、粘膜スキャンデータとバイトが取れたのち、
トライインデンチャーを製作するCAD技工操作に焦点を当てます。

咬合平面、すなわち上顎歯列を排列すべき平面はすでに咬合採得により
取得できたものとして進めさせて頂きます。

今回はこのデータを例にして解説します。
上下顎の粘膜データが取得され、
上下顎間関係が記録されています。
咬合床などを用いて、この状態を採得しておいてから
今回のCAD内容に進みます。
咬合平面と前歯排列位置まで
咬合床で決定しているものと仮定します。

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無料公開はこちらまでとなります。
必要なCAD操作は 3D歯科 のブログに文章で多くを記載しています。
Medit DesignやMedit Splintsなどの動画での操作も確認したい先生は
解説画像、動画付きの有料noteを公開しておりますので、
購読いただけると嬉しいです。

今回の内容は旧義歯のない場合のCAD技工についてです。
チェアサイドでのスキャン、咬座印象については、
先述の3Dコピーデンチャーについての記事を見ていただければ幸いです。

10,000文字を超える長文と、Medit Designの多数の動画を含みます。
かなりシンプルなCAD操作にし、エラーが起きないようにデザインしていますが
マスターするまで少々時間がかかるかもしれません。
ですが一度わかってしまえば上、下顎ともにトライインデンチャーを
無料ソフトのみで0から作成できるようになるはずです。


<2024年12月31日まで無料公開中です!>
2025年1月末まで5,000円にて公開いたします。
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