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AWS re:Invent 2024 参加レポート ~初めての海外カンファレンスで得た気づきと成長~
どうも、デジタルキューブグループ 広報のタカバシです。
当グループは創業以来、技術コミュニティとの関わりを大切にしてきました。特にグループ企業のヘプタゴンは、Amazon Web Services (AWS) コミュニティや技術イベントの参加を奨励しており、業務以外の場でもエンジニアの成長機会提供を行っています。
その一環として、プロフェッショナルレベルの AWS 認定資格を保持する社員には、AWS のフラッグシップカンファレンス「AWS re:Invent」への参加機会を提供しており、2024年12月に行われた「AWS re:Invent 2024」には、同年2月に入社したクラウドエンジニアの三浦景也さんが参加しました。
今回は、そんな三浦景也さんの re:Invent 参加体験をお届けします。ミニトマト農家からエンジニアへと転身し、入社後わずか10ヶ月で海外イベント参加となった三浦さんは、初めての海外渡航という大きなチャレンジを経て、どのような経験を得たのか。その体験をお聞きしました。
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三浦 景也(みうら けいや)
青森県出身。2024年2月に株式会社ヘプタゴンへ入社。
社内での役割はクラウドエンジニア。開発もできるインフラエンジニアになることが目標。
保有する AWS 認定の数は8個。AWS 認定全冠目指して日々勉強中。
趣味はフットサル。ポジションはミッドフィルダー。昔の学友とチームを組んで大会へ出場することも。
好きな言葉は「不正解は無意味を意味しない ( チ。-地球の運動について- より)」
re:Invent 参加までの道のり
—— re:Invent への参加が決まった経緯を教えてください。
実は入社時の面接の際に、立花社長から『re:Invent に行けるよ』とお話をいただきました。ただし、社内ルールとして AWS 認定試験のプロフェッショナル資格保持が条件とのこと。私は入社前から取得していたため参加できることになりました。2月の入社時点で12月の re:Invent が決まっていたので、かなり楽しみにしていました。
—— 初めての海外渡航ということで、準備は大変だったのではないですか?
正直、最初は入国審査への不安が大きかったですね。英語ができないので、入国審査で引っかかるのではないかと(笑)。よく聞かれる『What's the purpose of your visit?(訪問目的は?)』や『Where are you staying?(宿泊先はどこ?)』といった質問の練習をしたり、ホテルの予約証や帰りの航空券の印刷を用意したり。
でも、実際はハワイ経由だったからか、問題ありませんでした。3、4個質問されましたが、1つしか答えられなかったにもかかわらず、ニコニコしているだけで通してもらえて(笑)。『入国さえできてしまえば何とかなる』と思っていましたが、その不安は杞憂に終わりました。
—— 初めてのアメリカはどうでしたか?
まずハワイに7時間ほど立ち寄りました。空港に着いてすぐに海水浴に行くという強行スケジュールでしたが(笑)、日本語も通じるし、日本人観光客も多かったので、海外に来た!という実感はそれほどありませんでした。
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そこからラスベガスへ向かい、宿泊先の The Venetian Resort Las Vegas に到着しました。このホテルがまた驚きの連続で。外観も内装も豪華なのはもちろん、ホテル内に人工の空や運河まであるんです。まさにラスベガスならではの非現実的な空間でした。
街全体の印象でいうと、とにかくすべてが大きくて、建物が輝いていて。ダウンタウンに位置するフリーモント通りにも連れて行ってもらったのですが、天井全体が液晶スクリーンになっているところがあって、その規模感に衝撃を受けました。立花さんに連れていってもらったレストランではステーキを食べたのですが、サイズ感も味も素晴らしかったです。
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ラスベガスは眠らない街という印象が強いですね。事前にイメージしていたアメリカ、想像していたラスベガスに非常に近い印象でした。実は時差ボケで毎日3、4時間しか眠れませんでしたが、イベントの高揚感で乗り切れました。
世界最大のクラウドカンファレンスの熱気
—— 実際に re:Invent に参加してみた印象はいかがでしたか?
会場の規模感も想像を超えていました。複数の会場があり、移動だけでも1日2万歩以上歩くほど。しかも、会場間の移動は徒歩で行けるところもあれば、バスでの移動が必要な場所もあります。これは予想外でした。セッションの予約時には移動時間を考慮しないと、せっかく予約したセッションに参加できない可能性もありますね。
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まず最初に行ったのは、参加者バッジと SWAG(Stuff We All Get:みんなが貰えるノベルティグッズ)の受け取りです。事前に AWS 認定資格を re:Invent のサイトと連携しておくと、バッジに"✔"マークが印刷され、ベネチアン会場の認定者ラウンジに入れるようになります。SWAGとしてボトルとパーカーをいただきました。会場内には給水スポットが多数設置されているので、このボトルは本当に重宝しました。
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—— 基調講演(キーノート)はいかがでしたか?
新サービスやアップデートが目の前で発表される瞬間の興奮は忘れられません。オンラインでも見られる内容ですが、会場の一体感や熱量は現地でしか味わえないものでした。朝早くから大勢の人が並んでいて、入れない場合はサテライト会場に案内されるほどの人気です。また、英語が不安な方向けに翻訳機の貸し出しもあるので、言語の心配なく楽しめます。
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特に印象的だったのは、Dr. Werner Vogels による『Simplexity』の概念についての講演でした。『システムが複雑になるのは避けられないが、シンプルさを保つことが重要だ』という内容で、自転車の例を使って分かりやすく説明されていました。実は会場では完全には理解できなかったのですが、後から re:cap などの資料を見直すことで、その本質的な意味が分かってきて。こういった学びの深さも、現地参加の醍醐味だと感じました。
—— 印象に残ったセッションはありますか?
私は英語が苦手なので、ただ話を聞くよりも実践的な方が学びが多いだろうと考えて、セッションを聴講するのではなく、手を動かせるハンズオン形式のワークショップに積極的に参加しました。英語が不安な方にもお勧めです。手順書が用意されているので、自分のペースで進められますし。
その中でも印象的だったのは、病院での患者の細胞分析に AI を活用するワークショップでした。実際にシステムを触りながら、医療分野での AI 活用の可能性を体感できました。生成 AI をはじめとする最新技術が実用段階に入っていることを実感しました。
グローバルなコミュニケーションの経験
—— 英語でのコミュニケーションは大変だったのではないですか?
最初の2日間は話しかけられても、すぐに立花さんに助けを求めていました(笑)。でも、後半になると、翻訳アプリを使いながらでも会話するのが楽しくなってきて。台湾のエンジニアとは日本語と英語を交えながら、AWS との出会いについても話ができました。
—— 日本からの参加者との交流もあったそうですね。
毎晩どこかでパーティーが開催されていて、そこで多くの日本人エンジニアと知り合えました。他社の同世代のエンジニアと名刺交換をして、お酒を飲みながら交流できました。とても刺激になりましたし、モチベーションにも繋がりました。
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今後に活かしたい経験
—— この経験を通じて、ご自身の中で変化したことはありますか?
『言葉が完全に通じなくても、人とつながることは楽しい』という実感が大きな収穫でした。最初は不安でしたが、勇気を持って一歩踏み出すことで世界が広がるということを身をもって経験できました。
ただ、英語力の不足は痛感しましたね。セッションの内容をより深く理解したり, より多くのエンジニアと交流したりするためには、英語力が必要不可欠だと実感しました。また、海外イベントならではの教訓として、時差ボケ対策や体調管理の重要性も学びました。実は最終日に体調を崩して寝込んでしまい、予定していたセッションに参加できなかったんです。常備薬の準備は必須ですね。
—— 次回、参加する機会があればどんなことにチャレンジしたいですか?
今回、『Game Day』というトラブルシューティングのワークショップに参加したのですが、たまたまチームのメンバー全員が日本人でした。次回は海外のエンジニアとチームを組んでチャレンジしてみたいですね。そのためにも、英語力と AWS の知識をさらに深めていきたいと思います。
—— ご自身のようなエンジニアが re:Invent に参加する意義は、どこにあると思いましたか?
世界最大規模のクラウドイベントで、最新技術に触れ、世界中のエンジニアと交流できる機会は何物にも代えがたい経験だと思います。日本のイベントでも最新技術に触れることはできますが、世界中から集まるエンジニアの熱量や、その場の空気感は現地でしか体験できません。
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特に印象的だったのは、AWS という共通言語があることで、国籍を問わずコミュニケーションできることです。普段は海外のエンジニアと関わる機会が少ない私たちですが、同じ AWS を扱うエンジニアとして、技術的な会話を通じて距離を縮められました。これは若手エンジニアにとって、グローバルな視野を広げる大きなきっかけになると思います。
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また、同世代の日本人エンジニアとの出会いも貴重でした。普段は競合となる企業のエンジニアとも、 re:Invent という場では気さくに交流ができ、互いの経験や知見を共有し合えます。こうした横のつながりは、帰国後も継続する貴重な財産になりました。
若手のうちにこうした経験ができることは、その後のキャリアにも大きな影響を与えると感じています。世界標準の技術レベルを肌で感じ、グローバルなコミュニティの一員としての自覚が芽生えることは、技術者としての成長に大きく寄与すると確信しています。
—— 最後に、この経験をどのように活かしていきたいですか?
まず、JAWS-UG(日本 AWS ユーザーグループ)などの国内コミュニティでも積極的にコミュニケーションを取っていきたいと思います。re:Invent で感じた『知り合いを作っておくことの大切さ』を実践していきたいですね。また、学んだ内容は記事を書いてアウトプットし、知識の定着を図っていきます。
今回の経験を総合的に評価すると、10点満点中8点くらいですね。やり残したことはありますが、初めての海外カンファレンスとしては充実した経験になりました。この経験を糧に、さらなる成長を目指していきたいと思います。
今回ご紹介した三浦さんの re:Invent 参加は、ヘプタゴンの人材育成への取り組みの一例です。ヘプタゴンでは、社員の成長機会の創出を重視しており、AWS プロフェッショナル認定資格保持者への re:Invent 参加支援もその一環です。
三浦さんのように、入社から間もない若手エンジニアにグローバルな技術カンファレンスへの参加機会を提供することで、技術力の向上はもちろん、世界標準の技術動向の把握や、国内外のエンジニアとのネットワーク構築を促進しています。
また、ヘプタゴンは「東北にクラウドネイティブな世界を創る」というミッションを掲げています。
社員が世界最大規模のクラウドカンファレンスで得た知見が、東北の企業のデジタル化推進や地域の技術革新に活かされる日が早く来ることを願っています。
それでは、また。