ローカル局のネットコンテンツへの取り組みからみる経営改善視点
「テレビかネットか、悩んでる場合じゃない」“水曜どうでしょう”の地方局が同時配信に挑む理由|BUSINESS INSIDER https://www.businessinsider.jp/post-209227 @BIJapanさんから
いつだったか「水曜どうでしょう」のプロデューサーだか、ディレクターだかの話を聞いたことがある。
北海道というエリア限定の放送でマネタイズを考えると、どれだけ番組提供スポンサーやスポットを入れても実はたかが知れている。どういうことかというと、広告費はエリアの世帯数と視聴率に相関するので、ローカルでどれだけ視聴率を競っても世帯数という限界があるから。
でもDVDとかのパッケージコンテンツにすると、一定のファン層が購入してくれるので、マネタイズの幅が広がる。そうすると、制作予算もそこにつけることができるので、より良いコンテンツを作る事ができる。
みたいな話だったと覚えている。「実際に、広告費の売り上げよりもDVDの販売売り上げの方が多いんですよ」みたいなことまで言っていたような気がするが、その辺は定かではない。ただ、放送局、特に人口減少が地域の課題となっているローカルなTV局であれば人口減=広告売上の減少に繋がって行きやすいので、TV局だからと言ってアグラを描いているわけにはいかないというのはよくわかるし、放送=広告収入によるマネタイズ以外のビジネスモデルを模索していく必要がある。
一般に、どうやって売上を上げていくかを考える場合、売上を因数分解して、それそれぞれの要素をどうやって上げていくのか(あるいは下げていくのか)という視点で施策を考える事がある。
一般企業の場合には、こんな感じ。売上を上げていくには、商品単価を上げるか、顧客数を増やすか、顧客あたりの買ってもらう量を増やすかのどれかになる。
■売上の因数分解(一般企業の場合)
売上=商品単価X販売数=商品単価X(顧客数X一回あたりの購入数)
TV局の広告収入だと、(まぁかなり大雑把だけど)「広告スペースの価値は、どのくらいの人が見てくれるのか」という仕手に立つとするなら一つの例として以下のような因数分解を考える事ができる。
■売上の因数分解(TV局の広告収入の場合)
広告収入=広告主数X広告量X広告スペースの価値
=広告主数X広告量X(視聴世帯数X視聴率)
ただし、ここでローカル局としての悩みが出てくる。つまりは、
・広告主数の悩み:広告主を増やすと言っても、エリアが限定されているのでそんなに開拓できない。
・広告スペース量の悩み:放送可能な枠は定められているので簡単には増やせない。
・視聴世帯数の悩み:視聴可能な世帯数もエリアではほぼ決まっているし、地方では人口の減少が悩みですらある。
・視聴率の悩み:NHKの紅白みたいな視聴率お化け番組はそもそもそんな簡単にできないし、TV 業界全体の視聴率低下傾向も悩みである。
と言った、四面楚歌的な状況である。
ではどうすれば良いのか。
そこで目をつけたのが「視聴世帯を増やす」というポイント。つまり「ローカルでの放映以外のところでもコンテンツを見られるようにする」という視点であり、その結果としてDVDの販売やネットコンテンツ化という施策が出てくるのではないだろうか。異領域への転換というか、ピポットというか、これもイノベーションの一つであるとみることもできるんじゃないかな。
その意味でも、ローカル局の生き残り施策の一つとして、エリア→聴取可能人口の拡大というのは正攻法だし、ケーススタディーとして成功して欲しいなぁと思う。
聞いてみたいこと、相談は匿名で遠慮せずこちらへ。
いただいた内容は、noteの記事として答えていきます。
→https://peing.net/ja/osamu_tamura?event=0