電子光虫について
1.電子光虫とは何か
シャイニング・ビクトリーズで登場した光属性・昆虫族のモンスターカード群。 シリーズ全体の特徴として表示形式に関連する効果を持っており、特に守備表示や守備力を参照する効果が多い。
詳細な特徴として
メインデッキの電子光虫は全てエクシーズ召喚(以下エクシーズはX)の素材とする場合は昆虫族Xモンスターの素材にしか使用出来ない
メインデッキの電子光虫はX召喚の素材として使用された場合にXモンスターに追加の効果を付与する
電子光虫Xモンスターはランクの低い昆虫族Xモンスターに重ねてX召喚を行う事が出来る
といった点があげられる。
昆虫族Xモンスターに素材としたモンスターの効果を付与し、Xモンスターが元々持つ効果と合わせて戦うビートダウンデッキ
それが電子光虫である。
2.電子光虫の紹介
電子光虫の詳細な効果は遊戯王ニューロンか下記の公式カードサーチリンク、非公式にはなるが遊戯王カードwikiを参照してもらうのが手っ取り早い。
電子光虫をこれから使おうと思っている諸氏は実物のカードや遊戯王マスターデュエルなどを手元に用意してもらい確認しながら記事を読んで頂くとより理解が深まると思う。
https://yugioh-wiki.net/index.php?%C5%C5%BB%D2%B8%F7%C3%EE
メインデッキの電子光虫は3パターンに分類出来る。
攻撃表示から守備表示になった時に効果が誘発するモンスター
攻撃表示モンスターを守備表示に変更して自身の効果を起動するモンスター
レジストライダー
1にはセンチビット、LEDバグが該当し
2にはウェブソルダー、コクーンデンサが該当する。
3については重要なためテキストを下記する。
電子光虫-レジストライダー
効果モンスター
星3/光属性/昆虫族/攻1000/守1000
このカードをX召喚の素材とする場合、昆虫族モンスターのX召喚にしか使用できない。
(1):自分が昆虫族・レベル3モンスターの召喚に成功した時に発動できる。
このカードを手札から特殊召喚する。
その後、このカードとそのモンスターのレベルを5または7にできる。
(2):このカードが手札から特殊召喚に成功した場合に発動できる。
自分フィールドの昆虫族モンスター1体を選んで表示形式を変更する。
(3):フィールドのこのカードを素材としてX召喚したモンスターは以下の効果を得る。
●このカードの攻撃力・守備力は1000アップする。
電子光虫が召喚(※特殊召喚は含まない)した時に自身を特殊召喚する
召喚された電子光虫とレジストライダー自身のレベルを5か7に変更する
手札から特殊召喚された場合にフィールドの電子光虫の表示形式を変更する
(テキスト上は2つにまとめられているが)
これら3つの効果を併せ持ち他の電子光虫を強力にサポートするのがレジストライダーである。
電子光虫Xモンスターはランク3、ランク5、ランク7にそれぞれ一体ずつ存在する。
電子光虫-スカラジエータ
エクシーズ・効果モンスター
ランク3/光属性/昆虫族/攻1800/守1400
昆虫族・光属性レベル3モンスター×2体以上
(1):1ターンに1度、このカードのX素材を2つ取り除き、
相手フィールドのモンスター1体を対象として発動できる。
そのモンスターの表示形式を変更し、その効果をターン終了時まで無効にする。
この効果は相手ターンでも発動できる。
(2):1ターンに1度、このカードが戦闘で相手モンスターを破壊し墓地へ送った時に発動できる。
破壊したそのモンスターをこのカードの下に重ねてX素材とする。
電子光虫-コアベージ
エクシーズ・効果モンスター
ランク5/光属性/昆虫族/攻2200/守1800
昆虫族・光属性レベル5モンスター×2体以上
このカードは自分フィールドのランク3・4の昆虫族XモンスターからX素材を2つ取り除き、
そのXモンスターの上に重ねてX召喚する事もできる。
(1):1ターンに1度、このカードのX素材を1つ取り除き、
相手フィールドの守備表示モンスター1体を対象として発動できる。
そのモンスターを持ち主のデッキに戻す。
(2):1ターンに1度、フィールドのモンスターの表示形式が変更された場合に発動できる。
自分の墓地の昆虫族モンスター1体を選び、このカードの下に重ねてX素材とする。
電子光虫-ライノセバス
エクシーズ・効果モンスター
ランク7/光属性/昆虫族/攻2600/守2200
昆虫族・光属性レベル7モンスター×2体以上
このカードは自分フィールドのランク5・6の昆虫族XモンスターからX素材を2つ取り除き、
そのXモンスターの上に重ねてX召喚する事もできる。
(1):このカードが守備表示モンスターを攻撃した場合、
その守備力を攻撃力が超えた分だけ戦闘ダメージを与える。
(2):1ターンに1度、このカードのX素材を1つ取り除いて発動できる。
相手フィールドの守備力が一番高いモンスターを破壊する。
この効果は相手ターンでも発動できる。
レジストライダーの効果を用いて他の電子光虫のレベルを変更し、これら三種類のXモンスターを容易にフィールドに呼び出すことが出来るのである。
3.相性の良いカード
レベル3のカードや昆虫族関連のカードが相性が良い。
ここで紹介するには長くなりすぎるため、気になる方は下記の遊戯王カードwikiのリンクからデッキ紹介を確認してもらいたい。
抜粋して紹介するならばレジストライダーと似た役割を担うことが出来る「夢蝉スイミンミン」や電子光虫の展開に必要な召喚権を増やしてくれる「騎甲虫アームド・ホーン」そしてデッキからレベル3昆虫族を一気に2体展開することが出来る「分裂するプラナリア」といったカードは特に役に立ってくれるだろう。分裂するプラナリアはやや入手困難だが・・・また「No.3 地獄蝉王ローカスト・キング」や「No.28 タイタニック・モス」といったXモンスターが戦術の幅を広げてくれる。
最後に
電子光虫は強力なテーマやデッキに比べれば出来ることは少ない。
しかし、出来ることが少ないということは覚えるべきことが少ないという利点でもある。
無料でダウンロードできスマホで気軽にプレイできる「遊戯王マスターデュエル」のソロモードでも使用可能な電子光虫。
ぜひ初心者の人にこそ使ってもらい遊戯王の楽しみ方を学ぶ一歩としてもらいたい。
4.戦うために
ここから本題に入る。
興味のない方はこのnoteを閉じて頂き、youtubeでも見たほうが有意義な時間を過ごせるかと思う。
現代遊戯王に詳しい方や既存の電子光虫使いにはいうまでもないことであるが、改めて宣言しておこう。
電子光虫は弱い
遊戯王はカードが出た時期を数年ごとに分けて〇期(〇は数字が入る)と呼び表す。ちなみに執筆時点では12期である。
電子光虫の登場は9期。
爆発的なアドバンテージを生み出し毎ターンEXデッキからノーコストで複数体のモンスターを呼び出せるペンデュラム召喚の登場を始め、環境の高速化が大きく進んだ時期となる。
そんな中、電子光虫は9期最弱という不名誉を争うデッキの一つであった。
最強を決定する議論は熱く交わされる事も多かろうが最弱を決める争い等というものは精々酒席での話のタネとなるくらいで声を大にしてする話でもないためここで深く論じる事はしない。
筆者を含む各テーマの愛好家が傷つくだけである。電子光虫と同じパック出身であり同じく9期最弱の不名誉の座を争う一角であるアモルファージのみ現在に至るまで直接的な強化がない上にルール変更の煽りとテーマ自体が元々抱えていた弱点が悪い方向にかみ合い登場当初より弱体化している。あまりにも不憫。
では電子光虫のどのような部分が弱いのか。挙げればキリがないが目立つ弱点を挙げていく。
・条件の厳しい二枚初動かつサーチも難しく、召喚権を使用する
現行の電子光虫において実戦に耐えうる展開方法は「レジストライダー+センチビット」の組み合わせのみとなる。
そしてレジストライダーの特殊召喚の条件からセンチビットは召喚しなければならない。
展開ルートはもちろんこれだけではないが、結局は要求枚数が増えるだけで最低枚数かつ有用な展開方法は「レジストライダー+センチビット」の組み合わせのみと言ってしまって構わないだろう。
・継戦能力が低い
手札を補充する条件が厳しく(LEDバグのサーチとX素材効果で相手モンスターを戦闘破壊した時に1ドロー)、墓地で発動する効果やカードを回収・再展開する手段が無いのですぐに息切れする。
・耐性が無い
無い。
元々耐性を持ってるカードも無ければ耐性を付与するカードも無い。
身代わり系のカードも無い。
サンダーボルト一枚で盤面が崩壊する。
・リンクモンスターが倒せない
なぜ守備表示にならない。
なれ、守備表示に。
とはいえ古いテーマや近年の強化がなされていないカテゴリであれば多かれ少なかれ似たような弱点は抱えていることだろう。
ではその弱い電子光虫で、弱いテーマどうやって戦うのか?
それを考えなければならない。
解決すべき短所の優先順位
どの程度のデメリット・コスト・縛りを受け入れられるか
電子光虫いらなくない?問題は大丈夫か
解決すべき短所の優先順位は今回は
条件の厳しい二枚初動かつサーチも難しく、召喚権を使用する
継戦能力が低い
耐性が無い
リンクモンスターが倒せない
としておく。ではどうやって解決するか。
昆虫族であることを活かした解決方法はないか。
昆虫族をサーチする昆虫族はバリエーション豊富だが、実用性が高いのは「共振虫」「ゴキポール」「応戦するG」あたりだろうか。サーチカードがゴキブリばっかりしかしこのいずれの対応範囲にも電子光虫は入らないのだ。
一方で汎用的な昆虫族を採用することで2.と3.の問題は容易に解決できる。
上記したゴキポールと応戦するGは相互にサーチが可能で手札を補充しやすく、またそれ以外のサーチ対応範囲に相手への妨害を行うことが出来るカードが存在する。一番有名なところでは応戦するGは「増殖するG」をサーチできるのだ。また共振虫ならばフィールドの昆虫に強力な耐性を付与する「究極変異態・インセクト女王」を容易にサーチできる。
昆虫族にはまだまだ強力なカードがある。どんどん投入していこう。
…
……
………
電子光虫がデッキに入ってると邪魔だな・・・
とならないためにも重要なところに絞って採用するべきだ。
1と2の短所を優先して電子光虫においてコンパクトに採用するならば「ゴキポール」と「分裂するプラナリア」の2枚だろう。「孵化」でレベル3のモンスター全般をプラナリアに変換可能というのも捨てがたい。また展開の補助とシンクロ召喚のギミックを取り込むために「トランシケーダ」を1枚だけ入れておくというのも良い。プラナリアを3枚、孵化かゴキポールを2,3枚、トランシケーダを1枚。
合計6,7枚程度なら電子光虫を追い出すことなく、弱点の補強が出来るのではないだろうか。
「サーチも難しく」この部分を解決する手立てが遊戯王には存在する。
「スモール・ワールド」、少し工夫すればあらゆるモンスターをデッキからサーチできる魔法のようなカード。
電子光虫に採用出来るだろうか?
実際のところやや厳しいものがある。たった一枚の手札コストが電子光虫には重たいのだ。手札を使い切った次のターンにこのカードを引いて使うことが出来ないというパターンも多く発生するだろう。
一枚のカードから展開を始められるテーマや手札補充能力に長けたテーマならばこのカードを上手く使うことが出来るだろうが、そのどちらも持たない電子光虫にはハイリスク・ミドルリターンのカードとなり、安定性に欠ける。
「強欲で貪欲な壺」はどうだろうか。
デッキ10枚を裏側で除外という重たいコストを支払って2枚ドローするカードである。
これも厳しい。展開ルートに必要なカードをすべて三枚投入するデッキであれば問題ないだろうが、電子光虫にその余裕はない。複数枚引いた場合に初動になれないカードや、展開の結果が貧弱な盤面となるパターンが多すぎるからだ。特にウェブソルダーが曲者で展開の安定とルートの多さを考慮するならば投入は必須なのだが、ウェブソルダーのみを複数枚引いた場合にXモンスター1体を出してターンエンドということになってしまう。自然と1枚の採用となりがちだ。この1枚をコストで除外することになれば展開力が大きく落ちる。こちらもハイリスク・ミドルリターンのカードといって良いだろう。
「陰の光」というカードもある。魔法のようなカード。
フィールドの闇属性モンスターを対象にし元々の種族・レベルが同じ光属性モンスターをデッキから呼び出すことが出来る。電子光虫に対応するモンスターは「デビルツムリ」や「ベビー・スパイダー」、テーマでいえば甲虫装機の一部カードなどが対象となる。しかも陰の光は墓地から除外することで光・闇属性モンスターを召喚することが出来る。レジストライダーとセンチビットを手札にそろえるために召喚権を使っても本来の電子光虫の動きを阻害しない。このカードの効果を使ったターンは戦闘することが出来ないが先攻1ターン目ならばデメリットは無いも同然となる。単体では扱いにくい闇属性レベル3昆虫族を採用する必要があるが、レジストライダーのレベル変動効果と組み合わせることで「カオス・アンヘル-混沌の双翼-」を最低限フィールドに供給することが出来る。耐性の無いXモンスター1体よりは次の自分のターンが回ってくる可能性も高いだろう。事故率は若干上がるが、スモールワールドや強欲で貪欲な壺と比較するとリスクとリターンが釣り合っているといえるかもしれない。
他のテーマと組み合わせるのはどうだろうか?
遊戯王においては「出張」と言ってテーマギミックを拝借して弱点を補うというのはよくある話である。
ランク3を扱うなら外せない「SRベイゴマックス+SRタケトンボーグ」
表示形式変更効果を持ったXモンスターで電子光虫をサポートできる「ゴブリンライダー」
デッキは圧迫するが応用の効く「P.U.N.K.」
レベル3をサポートするケルビーニから展開しやすい「勇者」
…
……
………
デッキからすべての電子光虫が抜けてしまった・・・
とならないためにも、どれを採用するのかをよく考えなければならない。ギミックに必要な枚数にもよるが電子光虫に出張させられるのは2ギミック程度だろう。昆虫族の汎用的なサポートを捨てて3ギミック採用というのもありかもしれない。
それ以上は電子光虫の動きをするための邪魔になったり、出張したカード同士が邪魔になったりしてしまう。
突然だがこのカードを見てもらいたい。
アセット・マウンティス
効果モンスター
星7/光属性/昆虫族/攻2300/守2000
このカード名の(1)(2)(3)の効果はそれぞれ1ターンに1度しか使用できない。
(1):相手フィールドにレベル6以下のモンスターが存在する場合に発動できる。
このカードを手札から特殊召喚する。
(2):自分の手札が相手より多い場合に発動できる。
フィールドの全てのモンスターの表示形式を変更する。
フィールドの他の昆虫族モンスターの属性・レベルはこのカードと同じになる。
このターン、自分は昆虫族モンスターしか特殊召喚できない。
(3):このカードが破壊された場合に発動できる。
デッキからレベル8以上の昆虫族モンスター1体を手札に加える。
光属性レベル7昆虫族というステータス、レベル変更効果、表示形式変更効果、手札補充効果・・・
一見すると「電子光虫をサポートするカード」という印象を受けることだろう。
電子光虫使いの方々やここまでのnoteを読み電子光虫を理解しようとしている一部の決闘者ならば気が付くかもしれないが、このアセットマウンティス。電子光虫のサポートにはならないのである。
何故か?
(1):相手フィールドにレベル6以下のモンスターが存在する場合に発動できる。
この条件を満たすことはかなり難しい。
強力なモンスターの多くはレベル6を超えることが多く、またXモンスターや電子光虫が苦手とするリンクモンスターはレベルを持たないためこの条件には関わらない。レベル6以下のモンスターがフィールドに存在しているのなら致命的な制圧がなされている場合が多いだろう。
(2):自分の手札が相手より多い場合に発動できる。
こちらの条件も厳しい。電子光虫はただでさえ手札が足りないのである。
現代遊戯王においてはフィールドに強力なモンスターを並べ立ててなお手札は3~4枚確保しているというデッキも多く存在している。それに対して相手の妨害を潜り抜けマウンティスとセンチビットあたりをフィールドに出して手札の枚数が相手を超えた状態を作るというのはかなり難しい。
(3):このカードが破壊された場合に発動できる。
デッキからレベル8以上の昆虫族モンスター1体を手札に加える。
電子光虫を直接サポートできる効果ではない。
文句ばかりになってしまったが、電子光虫以外の昆虫族デッキであれば手札の枚数を維持しながらこのカードをフィールドに呼び込むことも不可能ではない。
そういったデッキにライノセバスを出張させる場合には有用なカードとなるだろう。
・改めて最後に
マウンティスのようなあからさまに意識して作られたカードであっても採用に高いハードルがある電子光虫。
短所が複雑に絡み合いデッキ構築も一筋縄ではいかない。
スモールワールドはコストを捻出できるのならばぜひ採用したいし、構築段階で工夫すれば強欲で貪欲な壺を採用しつつ展開ルートを潰さず、手札事故も発生しにくいように出来るかもしれない。
言い忘れていたが筆者が電子光虫を愛する最大の理由は
ウェブソルダーのX素材時効果で守備力0守備表示にしたモンスターをセンチビットの効果を付与したライノセバスで連続貫通攻撃を叩き込む快感
を味わいたいからである。リンクモンスター許すまじ良いところばかりに見える陰の光も後攻ではこの機会を失う可能性のあるカードとなってしまうのだ。
書きたいことが多すぎて纏まりの無い文章になってしまったが、最後まで読んで頂いた事を感謝する。
以上