「ディグディガ」元ネタ紹介:17.5話
これは、漫画「ディグインザディガー」17.5話公開に際して、原作の栄免建設と漫画担当の駒澤が淡々と元ネタ紹介をしていくコーナーです。
前半:栄免建設(原作)
◆Megajam Records - Classic Freestyle / Miami Bass Part II Megamix
Megajam RecordsからリリースされたMegamixが2作収録された作品。
Megajam Recordsについて調べたのですがあまり情報が出てこず、Discogsを見る限り様々なMegamixをリリースしているレーベルのようだ。本作にはマイアミベースの代表曲の一つであるTag Team – Whoomp! (There It Is)や、後述の2Live Crewの楽曲なども収録。Megamix、それもマイアミベースとなかなか見ないレコードで気になり購入し、今回の題材にしました。
◆So So Def Bass All Stars vol.1
マイアミベースを代表するコンピレーションアルバム。
アメリカ南部のヒップホップを支えた《So So Def Recordings》からリリースされた、マイアミ/アトランタベースの作品で最も有名なコンピ。なお後述のLil Jonも制作に関わっている。収録曲のGhost Town DJs - My Booはカヴァー(サンプリング)や、2016年ごろインターネットミーム的にも大流行したため、聞いたことある方も多いはず。
サンプリングで有名な曲の一つとしてはCiara - Body Partyなど。
また他の楽曲で言うと個人的にはPlaya Poncho And LA Sno - Whatz Up, Whatz UpがのちのCrunkなどのスタイルにも通じるパーティーチューンでお気に入り。
今回はマイアミベース回ということが決まったのでまずこの作品と思い表紙に選びました。
◆2 Live Crew
ルーサー・キャンベルを中心に結成されたHiphopグループ。
マイアミベースを代表するグループ。今回マイアミベースに関しては音的な方向で取り上げたが、やはり有名なのは下品な歌詞であろう。あまりにも卑猥な歌詞で彼らの作品はなんと猥褻物という扱いになり、販売が規制され販売した店員が検挙されるまであった。
また有名曲をサンプリングして下品な歌詞を載せた楽曲も多数あり、Roy Orbison - Oh, Pretty Womanをサンプリングした楽曲や、Bruce Springsteen - Born in the U.S.A.をサンプリングし、米国で猥褻物として販売を規制されたことを歌った『Banned In The U.S.A.』などユニークかつ表現の自由を訴えた楽曲がある。
◆PSY - New Face
韓国のアーティスト、PSYが2017年に発表した楽曲。
PSYは韓国出身のアーティストでユニークなキャラも世界的に受け、2012年に発表したEDM要素を全面に出した楽曲「Gangnam style」は、現在Youtubeで45億再生されている。
他にもSnoop Doggを客演に招いたHANGOVERなどリリースするなど、現在のK-popブームの先駆け的なアーティストの一人である。
元々楽曲でユニークなキャラを押し出してることもあってネタ的な存在に思っている方も少なくないかもしれないのだが、今回取り上げたNew Faceでは、マイアミベースへのリスペクトが随所に見られてわかる人にはかなり刺さる楽曲になっている。
まずわかりやすいところでは2分24秒あたりからのコール&レスポンスは
先述の2 Live Crew の「We Want Some P***y」がサンプリングされている。
またマイアミベースは80年代のエレクトロファンクというジャンルにの影響を受けているのだが、その代表曲であるCybotron - Clearのようなフレーズがサビで聴くことができる。
他にも1分11秒あたりからのフレーズもマイアミベースではありがちなシャウトだったりと、マイアミベースを知れば色々と気づく部分が多い。
マイアミベースが今のベースミュージックに影響を与えているものの、マイアミベース自体は、あまり聞かれない現行のシーンにおいて2017年にここまでマイアミベースを感じられる楽曲をリリースしていることは非常に面白いかつ、素晴らしいことだと思い今回取り上げました。
◆Lil Jon & The East Side Boyz - I Don't Give A @#&%
King of Crunk、Lil JonとThe East Side Boyzが、MystikalとKrayzie Bone客演を招いた楽曲。Crunkといえばこの人、Lil JonがユニットLil Jon & The East Side Boyzとして2002年にリリースしたシングル。なおI Don't Give Aに続く単語は放送禁止用語でPVでも聞こえないようになっているせいで盛り上がりが欠けてしまっているので、是非正式版(Dirty)も聴いてほしい。「知ったこっちゃない」という意味のスラング。
Lil Jonというアーティストを知らなくてもこの楽曲を聞いたら「あ!聞いたことある声」となる人は多いのではないだろうか?その印象的なシャウトはHiphopに限らず、EDMなど幅広いジャンルのクラブミュージックにボイスサンプルが使用されている。客演も多い。
他にも4.5話で取り上げた E-40 - My Ghetto Report Cardでは、西海岸発祥のHyphyの楽曲をプロデュースするなど他ジャンルでも活躍を見せる。
マイアミベースはサウスのHiphopに大きな影響を与えたため、その一つであるCrunkでレコードで持ってる作品を描いてもらいました。
ちなみに第5話の舞台であるダウンタウンレコーズで購入。
後半:駒澤零(漫画)
マジで潰れちゃってますがこっそり元ネタがあったので書きます。
◆NTsKi - Orca
2021年8月にEm records x Orange Milkダブルネームでリリースした、NTsKiさんの最新アルバム。
先日わたしと米澤柊が一緒に企画したイベント「自然の中で起きている美しい現象すべて」にも出演していただいたアーティスト。
ウィスパーな歌声とポップながらハイコンテクストな楽曲が特徴的で、その唯一無二の世界観は坂本慎太郎や坂本龍一などからも高い評価を得ている。
◆Telematic Visions - bluespring
若干17歳にして〈OMOIDE LABEL〉や〈brutshits〉〈Fogpak〉を始めとした多くのレーベルからリリースしてきたテレマビくんのアルバム。
メキシコのレーベル〈Stupid Decisions〉よりリリースされていたEP『Bluespring』が、ディスクユニオン傘下の《Sad Disco》からLP&CDでリリース。マジで潰れてしまって申し訳ないのですが…お祝いの気持ちを込めてこっそりと描きました。
今回のプレイリストはこちら。
以上、ディグディガ17.5話の元ネタ紹介でした。ありがとうございました!