「ディグディガ」元ネタ紹介:第14話
これは、漫画「ディグインザディガー」第14話公開に際して、原作の栄免建設と漫画の駒澤零(と、たまにゲスト)が淡々と元ネタ紹介をしていくコーナーです。
ゲスト:DÉ DÉ MOUSE
原作担当:栄免建設
◆JET SET Tokyo
JET SETは、1998年に京都で設立されたレコードショップ。
下北沢店のオープンは2002年で、現在の場所に移転したのは2009年。2000年からオープンしたオンラインショップは多くのユーザーを抱え、はじめとした各ジャンルで活躍するアーティスト、djによるチャートが定期的に更新されているなど、オールジャンルで国内外の最新の音楽に出会うことができる。
またレコード店としてだけではなく、自社で企画したレコードを制作もおこなうなど、多方面に音楽を発信し続けている。
中古レコードも取り扱っている。作中には登場させなかったが、取材時にはMerck Recordsのレコードを見つけて購入した。学生時代によく聴いていたレーベルだったが、今まで他のレコ屋では見たことがなかったので非常に驚いた。ゲストのDÉ DÉ MOUSEさんも思い入れがあるレコードショップだったので、今回取材できて本当によかったです。
◆Boards of Canada - Music Has the Right to Children
Warp Recordsを代表するエレクトロニックミュージックユニット、Boards of Canadaの1stアルバム。電子音を中心としながらもどこか有機的というか、温かみのあるサウンドで、聴く者をノスタルジーな気持ちにしてくれる。僕はインディーロックや2010年前後のChillwaveにも通じるものがあると思う。
Boards of CanadaはIDMの重要レーベルの一つ《Skam Records》からシングルをリリースした後、電子音楽の名門Warp Recordsに所属、同レーベルを代表するユニットとして活躍。本作『Music Has the Right to Children』の収録曲「Roygbiv」はWarpのファンの中でも高い人気を誇っている。
2006年リリースのEP「trans canada highway」をリリースしたのち暫くリリースはなかったが、2013年に4thアルバム『Tomorrow's Harvest』をリリース。僕が存在を知った時には既に活動休止していたので、リアルタイムで聴いた復活作としてはこれが初めて。個人的には一番思い入れの深い作品だ。
この後現在まで再びリリースはないが、現在のLo-Fiなサウンドブームにも刺さる楽曲も多い。是非また復活してほしい。
今回、表紙もゲストのDÉ DÉ MOUSEさんにいくつか候補を挙げていただきました。その中でも僕が特に好きな盤であったので、強くプッシュさせていただきました。
◆Getty - BLVST BEVT
日本のHardcore Technoを代表するアーティストの一人、Gettyの有名曲。空耳でも知られる。
Gettyは2010年台からUK Hardcoreを中心に、Bassの聴いたHardcoreサウンドを得意とするアーティスト。自身が副主催を務める《Kirara Records》をはじめ、《Lilium Records》、《HARDCORE TANO*C》など多数の人気レーベルから楽曲を発表。2021年には《Hifumi,inc》への所属も決まり、ますます多方面での活躍が楽しみである。
人柄もいいので非常に愛されキャラで顔がドアップで印刷された缶バッチが公式で販売されるなどネタに尽きない(?)。
本作は《HARDCORE TANO*C》の人気シリーズ、「HARDCORE SYNDROME 13」収録の楽曲で、Dropはシンプルながら攻撃的なBass Dropを楽しめる。多用される声ネタが「持ち回り 持ち回り」に聞こえることもあり、ある種のミームとしても有名。
漫画という音の表現が限られる場で、ワンフレーズで何がかかっているか伝わったら良いな!と思って選びました。
𝑩𝑬 𝑾𝑯𝑨𝑻 𝒀𝑶𝑼 𝑾𝑨𝑵𝑻 𝑻𝑶 𝑩𝑬, 𝑾𝑯𝑨𝑻 𝒀𝑶𝑼 𝑾𝑨𝑵𝑻 𝑻𝑶 𝑩𝑬.
(訳: もし酒を奢ってもらったなら、あなたも奢ってあげなさい。)
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ゲスト:DÉ DÉ MOUSE
◆BENEE - HEY U X
『Supalonely』で大ブレイクしたニュージーランドの新世紀の歌姫、BENEEの1stアルバム。
去年買い物をしていたお店で「Snail」が流れてきて、一気に彼女の虜に。アンニュイな歌声、ディスコ、オールドスクールライクなヒップホップ、メロディックトラップからフォークトロニカ調まで幅広い楽曲のチョイスが、20世紀末の音響系なんて言われていた頃のポストロックのローファイでサイケデリックな夢をそのまま現代にアップデートしたようなアルバム。
ぼくとしては「Snail」の歌とラップの間を自由に踊っているようで、聴くだけでどこでも踊りたくなってしまうくらい大好き。
何よりこの声と歌が、今の自分をそのまま受け入れていいんだって思わせてくれる、不思議な魅力がある。
関係ないけどDebutの頃のBjorkに似たルックスも、これからセンスいいことやってくれるんだろうなって思わせてくれて、そこも大好き。
◆DÉ DÉ MOUSE
遠藤大介によるソロプロジェクト。作曲・編曲家、プロデューサー、キーボーディスト、DJ。また、自身の曲のプログラミングやミックス/マスタリング、映像と多方面に活動し、他作品のプロデュース/楽曲提供/remixも行う。
2007年に1stアルバム「tide of stars」でデビュー。サンプリングされたボーカルを再構築するメロディカットアップのキャッチーで不思議なメロディを武器に、多くの人の耳を掴み、ノンプロモーションながら爆発的なヒットとなる。この作品で確立されたメロディカットアップの手法は、煌びやかなシンセサイザーサウンドと、独特な和音構成も相まって、国内外問わず多くのフォロアーを生み、以降のシーンに一つの発明とも呼べる功績をもたらす。
ライブの追求にも早い段階から積極的であり、2008年からはバンドを従え、フジロックやタイコクラブなど、毎年多くのフェスやイベントに出演。海外でも活動を定期的に行い、これまでイギリス, ドイツ, フランス, カナダ, アメリカにてツアーを成功させている。
台風一過の夕暮れを舞台にした和風VAPER WAVE「sunset girls」(2008)、FFTのデザイナー吉田明彦を起用し話題となった代表的アルバム「A journey to freedom」(2010)、多摩ニュータウンをテーマにしたカラフルなPCMエレクトロニカ「sky was dark」(2012)、全てプログラミングによる、遊園地で繰り広げるシネマティックジャズ/オーケストラ「farwell holiday!」(2015)、他にも90sブレイクスを先取りした「youth 99」(2015)、盆踊りのリズムをモチーフにした「summer twilight」(2016)等、先見性と、一聴してデデマウスだと分かるオリジナリティ、遊び心溢れる作品をリリースし続けている。
最新シングル
DÉ DÉ MOUSE & YonYon「Step in Step in」
DL&streaming : https://ultravybe.lnk.to/stepinstepin
Streaming DJ event
DÉ DÉ MOUSE Nulife Groove 053
2022年5月2日 23時開始予定
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漫画担当:駒澤零
◆DÉ DÉ MOUSE & ぷにぷに電機 - Midnight Dew
イギリスのプロデューサーTANUKIとコラボした「Neon Lightの夜 feat. 一十三十一」から続くコラボレーション・シングルのアナログ第2弾。
ネット発シンガー&プロデューサー・ぷにぷに電機とのコラボとなる本作は、前作から続く "極上のポップス/シティポップを作る" というコンセプトの元、ニューディスコビートの上に乗ったストリングスと艶やかな歌声、どこかセンチメンタルなリリックが魅力的なミディアムナンバー。
曲の空気感は本当に癖になり、執筆中、投稿後問わずわたしもヘビロテしています…。レコードのB面にはデデさん本人によるDance Mixを収録。こちらも必聴です。
◆Delphi - Unleashed Tapes Vol. 3
イタリアのカットアップ・ディスコ・デュオ、Tiger & Woodsの一人・Delphiによる3枚目のEP。当初は覆面コンビで知られていた。
タイガーのイラストがトレードマークの主宰レーベル《Editainment》から多くのクラブユースなトラックをリリースしており、DJ Harvey、Theo Parrish、Soul Clap、Mark Eをはじめとした数多くのトップDJにプレイされているそう。2011年にはGerd Janson擁するドイツの名門レーベル《Running Back》から1stアルバム『Through the Green』をリリース。
結成はレコードショップのdig中に、とんでもないレア盤を見つけて取り合っていたら店主が値段を釣り上げて割り勘で買うことにしたから、というもの。2014年、2016年に来日していたそう。
レーベルロゴが総柄でプリントされたジャケの可愛さとニューウェイブ風味のサウンドという煽り文で、店頭で見かけてかなり気になっていたが、目の前で知らないお客さんが買っていかれました。JET SETは本当にレコードの回転が速いです。
タイトなミニマルディスコを6曲収録したEP。bandcampでも購入可能なので、よければチェックしてみては。
◆モヤイ像
渋谷にある石像。
「忠犬ハチ公」像に次ぐ待ち合わせスポットとして密かに有名で、携帯電話の普及前はよくここに人がたむろしていたそう。ハチ公はいまでも減益だが、モヤイ像はサラリーマンのチルスポットという感じが否めない(それを逆手にとって、わたしは友人の待ち合わせに使ったことが数度ある)。
モヤイ像はその名の通りイースター島の「モアイ」をモデルにした石像で、伊豆諸島新島村の名物として知られている。原料には新島で採掘される抗火石という珍しい石材を使用しており、軽いうえに加工しやすいという特徴をもつ。そんなものがなぜ渋谷にあるかというと、1978年に、新島の東京移管100年を記念して竹芝と渋谷に寄贈されたらしい。なおモヤイがあるのは渋谷だけでなく、蒲田駅前やお台場などにも後に寄贈されている。
今回のプレイリストはこちら。
以上、ディグディガ14話の元ネタ紹介でした。ありがとうございました!