「ディグディガ」元ネタ紹介:第9話
これは、漫画「ディグインザディガー」第9話公開に際して、原作の栄免建設と漫画の駒澤零(と、たまにゲスト)が淡々と元ネタ紹介をしていくコーナーです。
原作担当:栄免建設
レコードコンビニとは、「ヤマザキYショップ 上総屋店」の別称。
ヤマザキYショップはフランチャイズのコンビニながら、オーナーの意向が活かされるためかなり店舗によって個性的が出る。本店は、そこでレコードを取り扱うことにしたという、かなり特殊な店舗だ。
レコードフリマにもちょくちょく出店しており、レコード音リンピック(第6話)にも出店、枚数や売り上げで金メダルを取ったとか。
主力商品は 7inch で、陳列数は2000枚以上。7inch 愛を感じる公式グッズも多数販売されている。価格は安いもので100円からと、手軽に購入できる盤も多い。店の奥、地下にはDJブースが設置され、イベント開催もされている。レコード音リンピック主催・岸野雄一セレクトの棚もあり。
他にも配信や盆踊り会場になったりと、コンビニとは思えないほど自由な空間なので、ぜひ一度訪れてみてほしい。
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◆Eric Clapton - 461 Ocean Boulevard
ギタリスト、Eric Claptonの1974年発表ソロアルバム。ローリング・ストーン誌の「史上最高のギタリスト100人」で2位、ギブソンの史上最高のギタリストトップ50で4位と、世界で最も影響力のある存在と言っても過言ではない。本アルバム収録のBob Marley & The Wailers「I Shot The Sheriff」のカヴァーは全米1位となり、レゲエが世界的に広まった要因の一つと言われる。
ちなみに、ゲーセンでDanceDanceRevolutionを遊んでいた人は聞き覚えがあるかもしれない。というのも、『I Shot The Sheriff』をサンプリングしたEPMDの楽曲『Strictly Business』のMantronix Remixが収録されていた時期がある。(DDR2ndMixのアーケード版のみで、家庭用には未収録)
◆ヴァニラアイス
レコードコンビニにはEric Claptonの所属バンドの一つ、Creamの写真が飾ってある。実は漫画『ジョジョの奇妙な冒険』の3部に登場するヴァニラ・アイスのスタンド、クリームの元ネタである。最近新作アニメも出ましたね。
さらにヴァニラ・アイスの元ネタはMCのVanilla IceでQueenとDavid Bowieの共作「Under Pressure」をサンプリングした大ヒットシングル「Ice Ice Baby」。こちらも初期のDDRに収録されていた。
本作のリリース元は、映画『スターウォーズ』(1977)や、『Saturday Night Fever』(1977) などのサントラをリリースするRSO Records。レーベルのロゴマークは日本は会津の郷土玩具「赤べこ」がモチーフになっている。
◆The Fools - Psycho Chicken
Talking Headsのデビューアルバム、『Talking Heads '77』収録の名曲「Psycho Killer」のパロディ楽曲。世界各国で発売されてそれぞれジャケが違うようなので他の国を探してみるのも面白いかも。
◆Luke Slater - Freek Funk
80年代から活躍するテクノアーティスト、Luke Slaterの3rdアルバム。ダンスミュージックに最も影響のあるメディアの一つ、Mixmagによる「90年代の優れたテクノアルバム」では、5位と高い評価を得ている。
僕はテクノ系にあまり詳しくないのだけど、本作の印象的なジャケは名作として覚えていたので購入。アルバムとしてはそれぞれはミニマルな基調だが、ハードテクノよりのアグレッシブなビートから、エレクトロなダウンテンポよりの楽曲など、曲構成の幅はけっこう広い作品だと思う。
最近 TREKKIE TRAX の seimei がハードテクノ周辺をプレイしてたりと、最近聴く機会が多いので、個人的に勉強にいいタイミングかもと思いました。Spotifyがおま国っぽい…。
◆Quill / El Nudo - Okra Split
日本のFastcoreバンド2組による、スプリットEP。FastcoreやGrindcoreなど、この手のジャンルは1曲1曲が短く、有名どころだとNapalm Death「You Suffer」は1.316秒。ギネスに最も短い曲として掲載されている。
こちらの作品は7インチ。普通なら1曲を収録する長さにもかかわらず、Quillサイドは5曲、El Nudoは6曲も収録されている。
思わずジャケ買いしてしまったこちらはバナナのジャケが特徴的な名盤
「The Velvet Underground and Nico」のパロディ。
◆冨田ラボ - 冨田魚店 (feat.コムアイ) / 鼓動 (feat.城戸あき子)
冨田ラボ(=冨田恵一)は80年代から活動するミュージシャン、プロデューサー。キリンジやMISIAの大ヒット曲「Everything」をはじめ、数々の名だたるアーテイスト・プロデュースを行っている。
本作は2016年にリリースされた冨田の5thアルバム「SUPERFINE」からの先行シングルで、500枚限定でアナログ・リリースされた。『鼓動』には2019年解散したCICADA・城戸あき子が Voと作詞で参加、『冨田魚店』にはVoにコムアイ、作詞にケンモチヒデフミと、水曜日のカンパネラのメンバー(コムアイは今年脱退)が参加している。
◆Dead Or Alive - My Heart Goes Bang (Get Me To The Doctor)
Dead Or Aliveは、英リヴァプールで結成されたPete Burnsのワンマン・バンド。80年代、のちにユーロビートブームにも繋がるHi-NRG(ハイエナジー)というムーブメントを牽引した存在である。
2009年に全米で大ヒットしたFlo Rida「Right Round (feat. Ke$ha)」のサンプリング元としても知られる。これはDead Or Alive最大のヒット曲「You Spin Me Round」のサンプリング。
また、4.5話で登場した KC & The Sunshine Band のヒット曲『That's The Way (I Like It)』のカヴァーもしている。調べてみると色々面白いかもしれない。
このレコードは、先ほど紹介した『You Spin Me Round』も収録の2ndアルバム「Youthquake」(1985) からのシングルカット。カップリングは同AL収録の『Big Daddy Of The Rhythm』のライブバージョンとなっている。
◆Line Renaud - Line Renaud Dans Plaisirs ( Extraits De La Nouvelle Revue Du Casino De Paris "Plaisirs" )
1946年から現在も活躍するフランスの女優、Line Renaudの1959年作「Au Casino De Paris Dans Plaisirs (Super Revue D'Henri Varna)」からのシングル。
Line Renaudは、ラジオ・ルクセンブルグの日曜朝の番組で歌ったことで全仏ブレイク。「Ma Cabane au Canada」でGrand Prix du Disque(フランスのレコード大賞)を受賞するなど活躍します。この作品は作詞家/ショーマンのHenri Varnaが企画したミュージカル・ショー「Plaisir de Paris」に寄せたもの。彼女は4年間にわたって本作品を演じ続けました。
◆Neil & Iraiza - Nancy
日本のポップ・デュオ「Neil & Iraiza」のRemixシングル。
Neil & Iraizaは、CUBISMO GRAFICO(第4話登場)の松田岳二と、SINGER SONGER、pupa、the HIATUS、Cornelius、LOVE PSYCHEDELICOと鍵盤担当・サポートとして活躍する堀江博久の2人組。
本作は3rdアルバム「Juliet」の楽曲のセルフリミックスが収録。渋谷系やCornelius系統のエレクトロニカが好きな人には大きく刺さると思うし、何よりアナログでしか入手できない音源である。是非探してみてほしい。
◆孤独のグルメ
原作・久住昌之、作画・谷口ジローによる漫画『孤独のグルメ』第15話(単行本版)のセリフ。今回は投稿タイトルも本作を意識。
漫画担当:駒澤零
◆Yes - Flagile
イェーイ!今回1枚も選んでないけどプログレサークルのOGなので解説書きます!(本当はLine Renaudも勝手に加筆しましたすみません)
誰もが知るプログレバンド・Yesの多分一番有名な盤「Flagile(邦題:こわれもの)」。おそらくジョジョオタクの方々はRoundaboutで知ったことでしょう。特徴的なハーモニクスの音から始まるこの曲は、まさにこのバンドの代表曲として知られています。私も好きすぎて家でずっとコピーしてた…。
Yesは、イギリス出身のロックバンド。1969年デビュー。Jon Andersonの結成したバンドにChris Squire、Clive Bailey、Peter Banksが合流し、そこに音楽雑誌でのメンバー募集の広告を見たBill Brufordが加わる形で始まった。そしてBanksの案で「Yes」というバンド名が決定する。
本作「Flagile」は、1971年にリリースされた4thアルバムで、同バンドの代表作として名高い。デビューからこの間、キーボードにTony Kayeが加わったり解雇されたりギターのBanksが解雇されたりと、メンバー変遷を経た末にRick Wakemanが加入し、制作されたアルバムだ。
ちなみに、ジャケットにはじめて、現在に至るまで多数のYesのアートワークを務めるRoger Deanが起用された作品である。ちなみにDeanは他にもAsiaやSteve Howeのアートワークや、XTCやMike Oldfield (4.5話)、Roxy Musicも所属していたヴァージンレコードの初期ロゴなどを制作してるよ!すごいね!
◆忌野清志郎+坂本龍一 - い・け・な・い ルージュマジック
忌野清志郎と坂本龍一とのコラボレーションシングル。1982年リリース。2ヶ月で50万枚のセールスを記録し、オリコン1位を獲得した。RCサクセションのフロントマンであった忌野のソロデビュー作品でもある。
元々は「資生堂1982年春のキャンペーンテーマ曲」としてコラボのオファーがかかり、実現したもの。資生堂より提示されていた仮タイトルは「すてきなルージュマジック」だったが、坂本と忌野の二人が独断で「いけないルージュマジック」に変えてしまったため、資生堂専務を説得するのに一悶着あったとか。82年のレコード盤リリース後、1992年に8センチCDとカセットテープ、2009年にデジタル配信と、何度か形態を変えて再発されている。
[家の7インチ写真]
栄免さんが取材時に「あったよ~」って教えてくれたので描きました。
◆西山(パソコン音楽クラブ)
「アイス買ってるの、誰なんだ!?」と何人かに言われておりましたが、西山さんです。この前お会いしたとき読んでくださってると聞いて、普通にめちゃくちゃ嬉しくて描きました。生活が漫画に反映されておりますね。
着ているのはパ音の新作グッズのフーディです。機会があればぜひ!
◆柴田(パソコン音楽クラブ)
これも結構大ゴマ。2話で長谷川白紙くんを大ゴマで描いた前科があるので絶対元ネタあるだろうな、と思った方もいたでしょうか。いないね。正直柴田さん単体で描いても(画力の問題で)絶対わからない気はしましたが、好きが勝ったので描きました。
かれこれ3,4回元ネタにさせて頂いてるため、ディグディガの読者にパソコン音楽クラブを知らない人はいないと思いますが(横暴)、なんやねんと思った方のために最新の映像を貼っておきます。好きだ~~~~~!!!!!
ハヒ~
◆imai
画像フォルダ見返しても後ろ姿のimaiさん一枚もなかったので記憶を頼りに描いたら意外と似てうれしかったです。
group_inouのトラック担当として、2003年から精力的に活動。2016年のユニット活動休止を機に、翌2017年より本格的なソロ活動を開始。
トレードマークはKORGの名機「ELECTRIBE」。制限も多いこの機材を駆使しながら制作を行うため、なんと自宅には20台近くあるとか。ソロ名義では、イノウ時代のエキセントリックで中毒性の高いサウンドは健在のまま、より豊かで幅広いジャンルの楽曲が聴けると思います。
あとimaiさんといえばとにかくライブ。ご本人も「自分はライブで刺激を受けて、お客さんの顔や反応を見ることでどんどん制作が進んでいくタイプ」だと、何度かお伺いしたことがありますが、本当に彼のライブは段違いに楽しい。ライブというものの性質上、人を爆音で熱狂させることは構造的に可能ですが、imaiさんのライブはいつ行っても元気になるというか、踊ることや音楽の楽しさを心から感じられるもののように思います。ライブハウスに行くと、よく「この曲だ!」と分析的になったり、セットリストをメモする人を見かけたりしますが、もうそんな余裕がない。無意識に踊ってしまう、シームレスな熱狂を作り出せる本当に唯一無二の存在だと思っています。
ちなみに橋本麦が手がけた「Fly feat.79,中村佳穂」のMVはVimeoの「Staff Picks」選出、『新千歳空港国際アニメーション映画祭』の観客賞を受賞、香港の『ifva awards』で特別賞を受賞するなど高い評価を得ています。
麦さんMVとしてはgroup_inou「EYE」のMVも第19回「文化庁メディア芸術祭」エンターテインメント部門新人賞と「アジアデジタルアート大賞展」動画部門優秀賞を受賞してますね。これ本当に素晴らしいのでお勧めです。
imaiさんは現在新作ALのクラウドファンディング中!ぜひぜひそちらもチェックしてみてください。
◆さよひめぼう
日本のトラックメイカー。ネットを拠点に活動し、アメリカの〈PLUS100〉、〈BusinessCasual〉といったVaporwave~Experimental系レーベルからリリースを重ね、日本ではMaltine Records からEP「深圳DIVA」、〈NewMasterpiece〉からカセットをリリースしている。
昨年P-VINEより全国流通盤『ALIEN GALAXY MAIL』をドロップし、ラジオ番組出演など一気に露出が増えている。ブレイクビーツに乗せた飛び跳ねるようなキャッチーなサウンドと予測不能なネタの数々が魅力。
もうね。ヤバいんですよ。このお方は……正直謎に包まれすぎてて作られている音楽以外何もわからないんですが、パ音がイベントに出演オファーするたびに「さよひめさんはわれわれが発掘したんで…」という顔をしているのが好きです。実際あまり表立った活動はしてこなかったらしいのですが、個人的にはライブが好き。Vaporwave周辺ってそんなにライブに重きを置いていないイメージがあるんですが、すごく身体性の高いライブパフォーマンスをされる方だと思います。
今月はW展示で新作22点制作した後の執筆で発狂するかと思いましたが、頑張ったら4日で完パケできることがわかって良かったです。追いつめられると愚直に背景を描くbotにしかなれませんね。そして1週間経ったいま、もう辛かった感覚が消えています…(笑)。
そういえば、2ヶ月連続でパ音元ネタですね。作業中、寝ないために友達と通話してたのですが、「ディグディガアニメ化いつですか?」と訊かれたのでパソコン音楽クラブさんが主題歌を担当してくださったらいいですね、と寝ぼけまなこで回答してしまった(は?)くらいには好きです。あうう。
今回のプレイリストはこちら。
以上、ディグディガ9話の元ネタ紹介でした。ありがとうございました!