デジタル田園タウン研究会_第6回(20230226)
デジタル田園タウン研究会(第6回)を開催しました。当日の研究会の概要をご紹介いたします。
開催概要
日時: 2023年2月26日
場所: オンライン
参加者: デジタル田園タウン研究会メンバー
アジェンダ
各地域の課題共有
一般社団法人コード・フォー・ジャパン(以下、CfJ) 酒井 一樹 様
次回開催についての議論
各地域の課題共有
行政は公共の利益の為に努めているが、どうしても対応しきれないところもある。シビックテックがその解決策となる事を期待。ユニークな人材が関わる事で、行政では浮かばなかった発想の下、イノベーションが起こると思料。(矢吹町)
これまでの住民-行政の関係はお固いイメージがあったが、シビテックはよりラフで活発なコミュニケーションを生むきっかけとなり得る。(矢吹町)
将来を担う子供たちが行政、エンジニア、様々な方々と関わり、主体的にまちづくりに関係していく為の足掛けとしたい。(矢吹町)
市のDX、ICT化についてはこれまでも検討してきたが、地域のニーズを把握した住民との協力により変革が生まれる事を期待。市内にはまちづくりの為に自主的に活動されている方達もいらっしゃるので、そのような方々と連携するきっかけにもしたい。(狛江市)
塩尻市で「スナバ」という施設を建て、様々な人材を集め、新しい取り組みが生まれる場とした。スナバから複数の会社が生まれている。(塩尻市)
例1)非常に重労働だった水田除草を、IoT活用によって自動化する企業。
(https://xtech.nikkei.com/atcl/nxt/column/18/00001/07599/?n_cid=nbpnxt_mled_nws )AIでサル等害獣を感知するシステムをエッジコンピューティングで実現する企業。
行政の枠に留まらず、社会全体に視野を広げて解決策を導き出してくれるのがシビテックと考える。自治体DXも同様で、自治体だけでなく社会の中で運用されていかなければならない。(塩尻市)
講演内容詳細
「シビックテックと自治体の取組の現状と今後」
講師:一般社団法人コード・フォー・ジャパン(以下、CfJ) 酒井 一樹 様
2016-2021年に経産省で最初のデジタル化推進マネージャーとして勤務し、GovTechを内外で推進。
現在はCfJにてMake our City(MoC)プロジェクトの統括PMを担当。
CfJのビジョン:「共に考え、ともに作る社会」。
住民と行政の関係性を改め、様々な立場の人々が垣根を越え、オープンな繋がりの下に、共に考え、共に作る社会を目指す。
シビテックとは、市民が技術を使って、地域のまちづくり、課題解決に向けて行動する事。CfJは市民がシビテックに取り組めるような場づくりをする団体。
課題に対する解決法は一つではない。まずは「対話」し、完璧でなくとも多くの合意を生んでいく事が大切。
これまでのルールにとらわれず、時代に合わせて考え直す事が必要。個々の違いを尊重しながら、公平で過ごしやすい社会を作っていく。
シビテック事例
「新型コロナウィルス感染症対策サイト(東京都)」
国内外300人のエンジニアが協力し、短期間で開発された。その後、国内に一気に拡散された。シビテックという考え方を日本中に広めるきっかけとなった取り組み。
「おうちで時間割」
CfJの取り組み例
シビテック活動の場・機会を提供
1. ソーシャルハックday:
参加者が自由にプロジェクト持ち込み、サービス開発をするハッカソンを定期的に開催。
2. シビテックチャレンジカップ(学生向け):
コロナで就活がままならなかった学生エンジニア達の為に、制作物を発表する場。テクノロジー企業も協賛金を出資している。
3. シビックテックアクセラレータプログラム:
サービス実現に向けた支援活動。
4. NPテック:
テクノロジーにに詳しくない方々向けの支援活動。
ブリゲード(Code for X)との連携:
ブリゲードは、団体名にCode forの名を持ち、シビテック活動の推進をする団体。Xには自治名が入る事が多い(例:Code for Sapporo)。ブリゲードはCfJの傘下組織ではなく、CfJ含め全ての組織は並列関係にある。夫々の組織が夫々の課題解決に向かって取り組んでおり、ブリゲードのネットワークをCfJが繋いでいく。
行政からの依頼により、各種レポート作成業務を行う。
CfJには元自治体職員、元中央省庁職員も多く所属しており、そのノウハウを活用した研修等、人材育成・組織強化(DX研修)にも取り組んでいる。それ以外にも各種ワークショップ、イベント。企画など実施。
1. データアカデミープログラム
(ア)5日間のプログラムで、様々な人が集まり、データの裏付けや政策立案などを進める。
(イ)取り組みの懸念点として、参加する企業人の中には自分の業務に関連付けた題材を扱う人も多く、それが自由な発想の疎外になってしまう可能性がある。なるべく住民方が中心になり、自由な発想で考えて頂きたい。
(ウ)各グループの取り組みをグラフィックレコーディングで納めている。費用は50万/日×5日=250万円程。
(エ)同じ自治体から依頼があった場合、2回目以降はCfJが中心として運用するのではなく、現地のブリゲートや自治体職員を主体にすることで、地域内の内製化を図る。(酒井)
2. デジタルシチズンシップ「市民ワークショップ」:
子供たちも一緒になってまちづくりを考えていくイベント。
3. Decidim(福島県西会津町):
市民参加型の合意形成の場。自治体の予算形成にも活用できるような内容。
4. 官民共想型ワークショップ(浜松市):
市民のwellbeing指標工場に向け、市民と行政が一緒になって考える。
Make or City:自分主体のまちづくりを促進
1. 日本人は自分の考えを発信する事が苦手な傾向があるが、まちづくりを行うにあたっては、積極的にやりたい事を発信するべきである。人によって幸せは異なる為、自分がどのように考え、何を求めているのかを他に共有できなければならない。
2. そもそも、自分がやりたい事がない人もいるかもしれないが、自分の幸せについて考える事が出来なければ、家族や知人、国や世界の幸せについて考える事は出来ない。
3. 万人にとって良い事を追求するときりがない。全員ではなくとも誰かの為になる新しい取り組みが次々に生まれ、またそれが社会の流れに伴って変化していく事を容認できる世界であるべき。
都市OS・データ連携基盤の導入について、現時点で約60都市、2025年度までに100都市に達すると見込まれている。CfJでもデータ連携基盤の提供を行っている。
MoC、スマートシティとは、シビックテックそのものである。シビックテックそのものがまちづくり。
シビックテック実現の3ステップ
町の色々なところに、夫々の「変えたい」がある。
「わたし」をまちの主役として、自分がやりたい事を考える。
「わたしから始めるスマートシティ」
ステップ1「見つける」:変えたいを見つける=課題発見。
ステップ2「話す」:まちのみんなと意見を交換する
ステップ3「試しにつくる」:企業、行政も協力し、テクノロジーを活かして解決策を現実にする。初めから正しいものである必要はなく、失敗から作るくらいの気持ちで取り組む。
質疑応答、フリーディスカッション
研究会メンバーや、関係自治体でデータアカデミープログラムを受講する事は可能か。
1. 自治体向け政策立案に特化した内容になっており、企業の方々との取り組みはこれまでない。また、プログラムの効果を最大限高める為、5日間連続での実施を基本条件としている。詳細なカスタマイズについては別途相談。(酒井)
データ連携基盤について、CfJと日本電気㈱で包括連携協定を結んでおり、日本におけるFIWARE導入についても関係している。
DSA推奨モジュールは以下3つ
1. APIゲートウェイ:Kong Gateway
2. ブローカー(非パーソナル):NGSI v2 FIWARE Orion
3. ブローカー(パーソナル):パーソナルデータ連携モジュール
NGSI v2 FIWARE Orionがデータの管理を行うが、データの蓄積には別モジュール必要。FIWAREモジュールは多々あり、世界では普及が広がっている。日本でも情報提供が徐々に進んでいる。(酒井)