デジタル田園タウン研究会_第9回(20230526)
デジタル田園タウン研究会(第9回)を開催しました。
当日の研究会の概要をご紹介いたします。
概要
日時:2023年5月26日
アジェンダ
各地域の取組状況について情報共有
香川県高松市の実例を基に、新旧システムの連携と活用方法についての講演。
各地域の取組状況
矢吹町
既存システムと新システムの連携
地理情報システム(GIS)の導入とオープンデータ化の取り組みについて言及。住民公開用GISの導入で地域情報の可視化を進めたが、数値情報の提供にはまだ課題があると述べました。
その他の地域について
小松市の事例は、統合型公開型GISの導入を進めており、既存システムとの連携が課題となっていると報告。副市長の指示で、DX推進体制を整え、今後のシステム連携を検討中と説明しました。小規模自治体でのデータ連携基盤導入に関するコスト問題に触れ、OSS(オープンソースソフトウェア)の活用を提案。これにより、自治体間での低コストなシステム導入が可能となると述べました。
民間視点
データフォーマットの統一とユースケースの蓄積が重要であり、実際のユースケースを増やしていくことで知見を集める必要があると強調しました。
講演内容
テーマ:スマートシティにおけるデータ連携基盤の役割 〜香川県高松市を例に〜
講師:南政樹氏(PwCコンサルティング合同会社 テクノロジー&デジタルコンサルティング)
高松市モデルの詳細
データ基盤の役割
高松市は、データ基盤を中心に据え、アプリケーションを作るための土壌を提供しています。信頼性の高いデータ基盤により、市民や企業が様々なアプリケーションを開発できる環境を整備しています。この基盤は、地理空間データを活用し、行政サービスの効率化や市民サービスの向上を図るためのものです。具体的には、行政が保有するインフラデータやリアルタイムデータを一元管理し、公開することで、地域の様々なサービスに活用されています。
ベクトルタイルの活用
高松市では、ベクトルタイルフォーマットを使用して地図情報を効率的に表示・共有しています。ベクトルタイルは、地図データをベクトル形式で保存し、ズームレベルに応じて必要なデータのみを表示する技術です。これにより、詳細な地図情報を軽量かつ迅速に提供できます。具体的には、以下のような活用が行われています:
地図情報の効率的な管理:GISデータやリアルタイムデータを一元化し、公開・活用。
災害時の迅速な情報提供:リアルタイムデータを利用して、災害時の避難経路や避難所情報を迅速に提供。
行政サービスの効率化:道路や公共施設の情報をベクトルタイルで管理し、行政業務の効率化を図る。
マイセーフティマップの導入
高松市は、災害時の避難誘導アプリ「マイセーフティマップ」を導入しています。このアプリは、ユーザーの現在地情報を元に、最適な避難経路を提供する機能を備えています。具体的な特徴としては:
リアルタイム避難誘導:ユーザーが現在地を入力すると、災害の種類や状況に応じて最適な避難経路を提示。
多機能な災害情報提供:洪水や地震など、異なる災害に対して適切な避難情報を提供。
利用者フィードバックの反映:リリース後、市民からの問い合わせやフィードバックを元に、機能改善を進めている。
高松市のデジタル施策
高松市は「フリーアドレスシティ高松」を掲げ、デジタル施策を推進しています。これには、オープンデジタルマップや地域通貨の導入が含まれます。具体的には:
オープンデジタルマップ:高松市内の地図を無償で提供し、誰でもアクセス可能な形で公開。これにより、地域のイベントやサービスの情報を簡単に取得・活用できる。
地域通貨の導入:地域経済の活性化を図るため、デジタル財布を利用した地域通貨の導入を進めています。これにより、地域内での消費を促進し、経済循環を支援。
データ基盤の信頼性
高松市のデータ基盤は、信頼性の高いデータを提供することで、市民や企業からの信頼を得ています。具体的には:
オーソライズされた情報提供:市が公式に認めたインフラデータや公共施設情報を提供。
APIの提供:外部の開発者が高松市のデータを利用してアプリケーションを開発できるように、APIを提供。
展望
高松市は、今後もデータ基盤の拡充とOSSの活用を進め、地方自治体のデジタル化を促進していきます。これにより、さらに効率的な行政サービスの提供を目指し、地域の発展を支援していきます。具体的な展望としては:
3次元地図の導入:ベクトルタイルを3次元地図に進化させ、より詳細な地理情報の提供を目指す。
データ連携基盤の高度化:さまざまなデータソースを統合し、より包括的なデータ連携基盤を構築。
質疑応答
質問1: セーフティマップの市民の反応はどうでしたか?
回答: セーフティマップのリリース後、市民からの問い合わせが増加した。具体的には、利用者からのフィードバックや利用状況をもとに、機能の改善を進めていると述べました。特に災害時の避難誘導に関する質問が多く、セーフティマップの実用性が評価されていることが分かりました。
質問2: セーフティマップのランニングコストについて教えてください。
回答: セーフティマップの維持費について説明します。具体的には、町内業務の効率化によるコスト削減効果を見込んでおり、維持費は合理的な範囲に収めることができるとしています。さらに、具体的な試算に基づいて事業計画を進めており、長期的な運用に関する費用対効果も考慮している。
質問3: 高松市のデータ連携基盤の技術的な側面について詳しく教えてください。
回答: 高松市のデータ連携基盤について技術的な説明をします。ベクトルタイルを使用することで、地図データを効率的に管理・表示できること、リアルタイムでのデータ連携が可能。また、GISデータやリアルタイムデータを一元化し、公開することで、行政業務の効率化と市民サービスの向上を図っている。
質問4: データ連携基盤の利用者に対するサービス提供の具体例は?
回答: データ連携基盤を活用した具体例として、災害時の避難誘導アプリ「マイセーフティマップ」があります。ユーザーが現在地を入力すると、最適な避難経路を提示する機能があり、災害の種類や状況に応じた情報提供が可能です。これにより、市民が安全に避難できるよう支援しています。
質問5: 民間企業との連携について教えてください。
回答: データ連携基盤の開発において、民間企業との連携が重要です。具体的には、民間企業が持つ技術やノウハウを活用し、高松市のデジタル施策を推進しています。特に、地図データの管理やリアルタイムデータの提供において、民間企業との協力が不可欠です。
以上