デジタル田園タウン研究会_第3回(20221117)
デジタル田園タウン研究会(第3回)を開催(Zoom)しました。
当日の研究会の概要をご紹介いたします。
日時:2022年11月17日(木)13時~@Zoom
参加者(敬称略):狛江市(東京)、矢吹町(福島県)、三菱商事、読売新聞、コード・フォー・ジャパン、コミクリ、フューチャリズム
第3回アジェンダ
次のアジェンダで進行を行いました。
・各地域・参加者のWeb3・ブロックチェーンへの関心状況
(フリーディスカッション)
・講演:
川本栄介様(株式会社アトノイ代表取締役、Web3コンサルタント)
「地方自治体におけるWeb3・トークンエコノミー導入の留意点」
・質疑応答・ディスカッション
・今後の予定
各地域・参加者のWeb3・ブロックチェーンへの関心状況
矢吹町役場では、企画総務課では認識がされているものの、他の課についてはそれほど進んでいない。首長レベルには概要説明済みであり、一部理解を得ている。住民についてはほとんど認識がない状況。但し町の若手経営者は一定興味を示しており、今後の協業の芽となるかもしれない。(矢吹町)
矢吹町同様、市役所では情報政策課内での認識に留まっている。副市長(CIO)に対しては取り組みについて説明しており、理解を得ている。議員の一部でメタバースやNFT取り組みへの関心が広がっている。(狛江市)
ブロックチェーンを活用した分散型ID作成についてはパートナー企業と具体会話を進めており、今後データ連携基盤との連携を検討している。(MC)
ブロックチェーンをまちで広げていくステップとして、まずは行政組織の中で技術を理解し、承認を得て、市民の方々にその利便性を説明し、理解して頂く事が重要。(金子)
ブロックチェーンのマイナスイメージは海外の事例が多く、日本ではそのようなイメージが蔓延していない印象。
ボランティアなどの参加証明としてブロックチェーンを利用する、「MintRally」というOSSを開発している。(CFJ)
川本栄介様(㈱アトノイ代表取締役社長)web3.0ご講演
ブロックチェーンは手段に過ぎない。ブロックチェーンで何を証明したいのかがはっきりしないのであれば、ブロックチェーンの活用の必要はないと言える事が多い。
ブロックチェーンによって情報の改ざんを不可とすることで、個人の思いや熱量を自身に帰属させることが可能になる。それを可視化し、ポートフォリオとする事で、他の人に自分を知ってもらう事ができる。
GAFAのようなプラットフォーマー(信頼のおける第三者)に情報を預けている時代から、第3者を介さずに個人間で確実にやり取りが出来る時代に変遷していく。あらゆるものをプラットフォームではなく個人に帰属させる事で、全てのプラットフォームをフラットに扱えるようになる。個人に帰属したものが改ざんされない仕組みをブロックチェーンが技術的に実現する。
NFTを買った後にどのように活用するのか、という事が検討されている。
ブロックチェーンによってポートフォリオを公開した場合、各人のある種ヒエラルキーが可視化される。行政は平等にサービスを提供する事に重きを置いている為、ヒエラルキーの可視化を不平等ととらえる事もある。しかし真の平等とは、全員に同じものを提供するのではなく、一人一人に適したものを提供する事と考え、ヒエラルキーの可視化は重要と捉えている。
今後、「コト」と「コト」の交換ができるようにしたい。クエスト形式で、市民が自治体に対して貢献した時にそれをNFTとして示し、リターンとして自治体から何かを提供する、という仕組みづくり。
事例:【けっぱれ小樽】小樽に貢献(運河清掃、市内宿泊、特定の場所への訪問などのクエスト約30個)すると「タル(ポイント)」がもらえて、一定数集めると雪花火イベントの特等席が与えられる取り組み。お土産屋やクーポンとの交換も考えられたが、お金に換算できない、小樽でしか体験できないものに交換すべきであると判断し、このような景品となった。
コミュニティは外部から見るとブラックボックス化しており、新規で参入する際は不安に感じられるが、そのコミュニティの活動やメンバーについて見える化有れていれば、事前にコミュニティについて理解を深め、参入障壁をなくすことができる。
ブロックチェーンやweb3.0など新しい取り組みは、地域課題解決に熱量が高い人たちに対して優先的に導入し、ユースケースを作り、ボトムアップで広げていく方法が良いと考える。行政はそこに対して資金を集中して投じる。拡大するとマーケットが生まれる3rパーティが参入し、さらに拡大が進む。
ブロックチェーンフットボール
プロになりたい人の活動(試合結果、プレー、トレーニングなど)をNFTとして記録・公開する。それを海外のチームが確認して、スカウトするといった、新しい形のオファー方法を検討中。現状限られたルートからしかオファーを取れず、スカウトが俗人的になっているが、人を介さず個人に帰属した情報からたどる事ができる。
得意な事をポートフォリオで見える化する事で、課題を解決したい時、誰に頼ればよいのか、あるいは自分がどんな課題解決に寄与できるかを、記録から誤解なくマッチングする事ができる。
ネット社会では関係性が疎遠になり、互いについて十分に知る事が難しくなった為、この技術が役立つはず。
個人に情報を帰属させる事はブロックチェーンの中で完結するが、DIDが何かを証明した為に生じる付加価値に対して金が支払われるようなマネタイズを検討していくひつようがある。アプリケーション側の工夫が必要。
質疑・ディスカッション
個人情報と熱量の違いについて、自分自身を特定できるか否かで線引きができる。特定できるものについてはブロックチェーンに載せるのは避けた方が良い。
例えばイベントに参加した事にNFTを与えると、その分野に興味がある人である事を示す事ができる。自分のポートフォリオを見せる事で、自分の興味関心を理解してもらう事ができる。将来的にポートフォリオがライセンス的な扱いになるかもしれない。
トレンドを追うのではなく、ニッチな分野でも、自分が活躍できる事(自分のトークングラフにマッチする事)に力を注ぐ世界を実現したい。
インフルエンサーが何百万人に対して希薄な関係で影響していく事よりも、規模の経済的な視点ではなく、少人数でも本当に熱量のある影響を与える事の方がよいのかもしれない。
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