期待の経口薬第一号「COVID」の裏側。

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Nature Briefing、米国の新聞「ニューヨークポスト(New York Post)」、日本経済新聞 電子版は2021年10月12日に、初のコロナの抗ウイルス剤としての飲み薬「モルヌピラビル(molnupiravir)」を米国の製薬大手のメルク(Merck/米国とカナダ以外ではMSDと呼ばれている)がFDA(Food and Drug Administration/米国食品医薬品局)にEUA(Emergency Use Authorization/緊急使用許可) of its COVID-19 pillを申請したと発表したことから、複数のメディアが一斉に、これが認められれば新型コロナ向けに開発された飲み薬としては世界初となると報告した。

https://time-az.com/main/detail/75365

製造元のMerck社とリッジバック・バイオセラピューティック(Ridgeback Biotherapeutics)社は、新たにCOVID-19と診断された人の入院や死亡のリスクを半減させることが明らかになったと、発表した。

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この薬は、SARS-CoV-2が人間の細胞内でどの複製を妨害し、変異させて死に至らしめるというものである。この治療法は錠剤であり、レムデシビルのようなCOVID-19に作用する抗ウイルス剤の注射に比べて大きな利点がある。しかし、この臨床試験の成功例が、パンデミック対策における世界的なゲーム・チェンジャーになるかどうかは、これからの結果に期待されることで、まだ明らかではではない。

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ニューヨークポストは、2021年10月初めに発表された第3相臨床試験のデータによると、「モルヌピラビル」と呼ばれるこの薬は、軽度から中等度のCOVID-19患者の入院または死亡のリスクを、後期段階の試験で約50%削減した。

メルク社のCEOであるロバート・デイビス(Merck’s CEO Robert Davis)はステートメントで、「今回のパンデミックの並外れた影響により、我々はかつてないほどの緊急性を持って行動する必要があり、我々のチームはデータを受け取ってから10日以内にモルヌピラビルの申請をFDAに提出した。

メルク社は、臨床試験で初期の成功を収めた後、独立したデータ委員会とFDAのスタッフと相談して、試験を早期に終了し、緊急使用の認可を求めることを決定した。

FDAがメルク社にEUA for the pillを付与すれば、COVID-19にとって初の経口抗ウイルス剤となる。

Ridgeback Biotherapeutics社のCEOであるウェンディ・ホルマン(Wendy Holman)は、「COVID-19と診断された直後に、自宅で服用できる経口抗ウイルス薬の恩恵を受ける可能性のある人々に『モルヌピラビル』を提供するために、今回のFDAへの申請は重要なステップである。」と述べています。

同社は、FDAから認可を受けた場合、約170万コースの治療薬を米国に供給することですでに合意しているという。

この薬の5日間の投与で、連邦政府が負担する費用は患者一人当たり約US$700とされており、COVID-19患者のために特別に展開された他の治療法よりも安い。

しかし、この価格は薬の製造コストの約40倍であり、必要とする患者全員に行き渡らない可能性があると、公正な価格設定を求める人々は指摘している。

日本経済新聞によれば、日本でも申請され、米国で緊急使用許可が出れば、日本政府も国内審査を経たうえで年内にも承認する方針と伝えた。岸田文雄首相は2021年10月08日の所信表明演説で「経口治療薬の年内実用化を目指す」と言及した。

世界中で開発競争から、実用化競争に切り替わる。

これまで、すでにワクチンを接種してきた人は、「COVID」に感染しても、ほとんどの場合、軽度から中等度であり、経口治療薬で治療可能になり、死ぬことも急減すると言われ、これまでの医療負担も軽減できるとも言われている。

メディアによって、記事の内容に違いがある。

2021-10-03---香港では世界初のCOVID-19錠の調達を検討中。
2021-09-14---ノーベル賞の季節。紆余曲折を経たmRNAワクチンの歴史。
2021-01-26---ワクチン開発に変化。

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