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NASAのハッブル望遠鏡とスピッツァー望遠鏡は、2つの太陽系外惑星がほとんど水である可能性を発見。

NASAのカリフォルニア州パサディナにあるJPL研究所(Jet Propulsion Laboratory in Pasadena, Calif.)が公開している「NASA's Jet Propulsion Laboratory Day in Review」は2022年12月15日に、望遠鏡では惑星の表面を直接観測することはでき無いが、その密度は、岩石の世界よりは軽く、ガスが支配する世界よりは重いことを示唆していると報告した。
モントリオール大学(University of Montreal)の研究者が率いるチームは、赤色矮星の周りを回る2つの太陽系外惑星は、惑星全体の大部分を水が占める「水の世界」である証拠を発見した。これらの惑星は、218光年離れたこと座の惑星系にあり、太陽系に存在するどの惑星とも異なっている。

しかし、その水が塩水なのか淡水なのかなどの詳細は、わかっていない。

モントリオール大学iREx(Institute for Research on Exoplanets/太陽系外惑星研究所)のキャロライン・ピアウレ(Caroline Piaulet)率いる研究チームは、ケプラー138(Kepler-138)と呼ばれるこの惑星系の詳細な研究結果を、本日、学術誌『Nature Astronomy』に発表した。

Article
Published: 15 December 2022
Evidence for the volatile-rich composition of a 1.5-Earth-radius planet

https://www.nature.com/articles/s41550-022-01835-4

Caroline Piaulet,
Björn Benneke,
Jose M. Almenara,
Diana Dragomir,
Heather A. Knutson,
Daniel Thorngren,
Merrin S. Peterson,
Ian J. M. Crossfield,
Eliza M.-R. Kempton,
Daria Kubyshkina,
Andrew W. Howard,
Ruth Angus,
Howard Isaacson, L
auren M. Weiss,
Charles A. Beichman,
Jonathan J. Fortney,
Luca Fossati,
Helmut Lammer,
P. R. McCullough,
Caroline V. Morley &
Ian Wong

Nature Astronomy (2022)Cite this article

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ピアレらは、NASAのハッブル宇宙望遠鏡と引退したスピッツァー宇宙望遠鏡で太陽系外惑星「ケプラー138c」と「ケプラー138d」を観測し、この惑星の大部分が水で構成されている可能性を発見した。この2つの惑星と、より恒星に近い小さな伴惑星ケプラー138bは、NASAのケプラー宇宙望遠鏡によって以前に発見されていた。今回の研究では、4番目の惑星の証拠も発見された。

ケプラー138cとdでは水は直接検出されなかったが、惑星の大きさと質量をモデルと比較することにより、天文学者は惑星の体積のかなりの部分(最大で半分)が、木星などのガス惑星を構成する水素やヘリウムよりも重い、岩石よりも軽い物質でできているはずだと結論づけたのである。その候補物質の中で最も一般的なのが「水」である。

この研究の共著者でモントリオール大学宇宙物理学教授のビョルン・ベンネケ(Björn Benneke, study co-author and professor of astrophysics at the University of Montreal)は、「これまで我々は、地球より少し大きな惑星は、地球の縮小版のような金属と岩石の大きな球だと考えており、そのためスーパーアースと呼んでいました。」「しかし今回、ケプラー138cとdという2つの惑星は性質がまったく異なり、全体の体積の大きな部分が水で構成されている可能性が高いことが明らかになりました。これは、天文学者によって長い間存在すると理論づけられていたタイプの惑星である水の世界について、これまでで最高の証拠となります。」と説明する。

体積は地球の3倍以上、質量は2倍もあるのに、cとdは地球よりもずっと密度が低い。これまで詳しく研究された地球よりわずかに大きい惑星のほとんどは、私たちと同じ岩石質の世界であるように思えたので、これは驚くべきことだった。研究者によれば、最も近い比較対象は、太陽系外縁部にある氷の月で、その大部分は岩石の核を取り囲む水で構成されているとのことであった。

「木星や土星の周りを回る水の豊富な衛星であるエウロパ(Europa)やエンケラドス(Enceladus)を大きくして、恒星の近くに持ってきたと想像してください。」「氷の表面の代わりに、大きな水蒸気の包囲を持つことになるでしょう。」とピアウレは説明した。

研究者達は、惑星が地球のような海を直接持っていないかもしれないと警告している。「ケプラー138dの大気の温度は、おそらく水の沸点以上であり、この惑星には水蒸気でできた厚くて濃い大気が存在すると予想される。ただ、その水蒸気大気の下には、高圧の液体の水、あるいは超臨界流体と呼ばれる高圧で発生する別の相の水が存在する可能性があります」とピアウレは語った。

2014年、NASAのケプラー宇宙望遠鏡のデータにより、天文学者はケプラー138を周回する3つの惑星を検出したと発表した。これは、惑星が彼らの星の前を一瞬通過するときに、星明かりが測定可能なディップになったことに基づくものだった。

ベンネケと同僚のニューメキシコ大学のダイアナ・ドラゴミール(Diana Dragomir, from the University of New Mexico)は、2014年から2016年にかけてハッブル宇宙望遠鏡とスピッツァー宇宙望遠鏡で惑星系を再観測し、惑星系の第3惑星であるケプラー138dの通過をさらに捉えてその大気を研究することを考え付きました。
太陽系内の新しい太陽系外惑星
ケプラー138cとdは、ハビタブルゾーン(habitable zone/恒星の周囲で、岩石質の惑星の表面に液体の水が存在できる温度領域)に位置していない。しかし、ハッブル宇宙望遠鏡とスピッツァー宇宙望遠鏡のデータから、研究者はさらにこの星系の新しい惑星、ケプラー138eがハビタブルゾーンにある証拠を発見した。

この惑星は小さく、他の3つの惑星よりも恒星から遠く、1周するのに38日かかるという。しかし、この惑星は恒星を通過しないため、その性質は未解決のままである。この惑星が通過する様子を観測できれば、その大きさを知ることができるはずである。

ケプラー138eが見つかったので、これまで知られていた惑星の質量を、通過タイミング変動法(transit timing-variation method)という方法で測定し直した。

研究者たちは、もうひとつ驚きの事実を発見した。
ケプラー138cという2つの水の惑星は、これまで全く異なると考えられていたが、大きさも質量もほぼ同じ「双子」惑星であることが判明した。一方、より近い位置にあるケプラー138bは、火星質量の小さな惑星であることが確認され、これまで知られている太陽系外惑星の中で最も小さい惑星の一つであることが分かった。

「今後、観測装置の感度が上がり、恒星から遠い惑星を見つけることができるようになれば、このような水の惑星がもっとたくさん見つかるようになるかもしれません」とベンネケ教授は結論付けている。

ミッションの詳細
スピッツァーは、カリフォルニア州パサデナにあるカリフォルニア工科大学のIPACにある赤外線科学アーカイブで、その生涯で収集されたすべての科学データを一般に公開している。NASAのジェット推進研究所はカリフォルニア工科大学の一部門であり、ワシントンにあるNASAの科学ミッション本部でスピッツァーのミッション運用を管理した。

科学運用は、カリフォルニア工科大学のIPACにあるスピッツァー科学センターで行われた。
探査機の運用は、コロラド州リトルトンのロッキード・マーチン・スペース社で行われた。

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