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イギリス政府、再生エネ補助金入札。洋上風力発電の応札なし。

ヨーロッパ経済ニュースEUROPE NNAは2023年09月11日に、イギリス政府が実施した再生可能エネルギー発電事業向けの補助金入札で、過去最多となる95件のプロジェクトが支援対象に選ばれた。政府が2023年09月08日に公表した最新の入札結果で明らかになった。ただ洋上風力発電については応札がなく、2030年までに洋上風力発電の設備容量を50ギガワットに拡大する政府目標の達成が危ぶまれている。

イギリス政府は、電力の市場価格が一定水準を下回った場合に差額を保証する「CfD(Contract for Difference/差額決済契約)」を実施しており、今回行ったのは同スキームの5回目の入札となる。

予算は£2億2,700万で、合わせて容量3.7GW(ギガワット)相当のプロジェクト95件に支援を行うことが決まった。

これは200万世帯の電力需要に等しい。

支援対象となるプロジェクトの内訳を見ると、設備容量換算で半分を太陽光発電が占めた。

陸上風力発電は1.5ギガワット相当で、プロジェクト件数は2022年に行われた前回入札の10件から24件に増えた。潮力発電は11件で、設備容量では50メガワット相当となる。今回は地熱発電のプロジェクトも初めて支援対象に選ばれている。

洋上風力発電で応札がなかった背景には、政府の提示した差額保証の上限額が前回入札の1MW(メガワット)時当たり£46から£44に引き下げられたことがある。洋上風力発電ではインフレやサプライチェーン(供給網)の問題で開発コストが急増しており、発電事業者はこの価格では採算が取れないと判断したとみられる。

開発費約40%拡大が値上がりし、補助金額が下がった。

イギリス政府は、現実を無視した。

ドイツのエネルギー大手RWEやスウェーデンの電力大手バッテンフォール(Swedish power giant Vattenfall)などによると、洋上風力発電プロジェクトのコストは約40%拡大。バッテンフォールは2023年07月、イングランド東部ノーフォーク州沖の洋上風力発電プロジェクト「ノーフォーク・ボレアス(Boreas)」を断念する決断を下した。

前回入札では合わせて約11ギガワット相当のプロジェクト93件が選ばれており、このうち7ギガワット相当は洋上風力発電だった。

https://europe.nna.jp/news/show/2564697
https://www.gov.uk/government/news/record-number-of-renewables-projects-awarded-government-funding
https://www.reuters.com/sustainability/climate-energy/latest-uk-renewables-auction-fails-attract-offshore-wind-bids-2023-09-08/
https://www.nytimes.com/2023/09/08/business/no-bidders-in-british-offshore-wind-auction.html
https://www.theguardian.com/business/live/2023/sep/08/uk-renewable-auction-contracts-offshore-wind-energy-stock-market-business-live
https://group.vattenfall.com/who-we-are/about-us/history
https://jp.reuters.com/article/vattenfall-investments/update-1-swedish-vattenfall-accelerates-power-grid-investments-in-coming-years-idUKL8N3AK196
https://www.oedigital.com/news/507878-latest-uk-renewables-auction-fails-to-attract-offshore-wind-bids

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