イギリス水道6社で下水放出問題、法定審問開始
ヨーロッパ経済ニュースEUROPE NNAは2024年09月25日に、イギリスの競争審判所(UK Competition Tribunal)で2024年09月23日に、水道会社6社の下水放出問題を巡る集団訴訟の法定審問が始まった。
各社の顧客を代表する原告は、水道最大手テムズ・ウオーターを含むこれら6社が下水放出による河川・海洋汚染の現状を当局に過少報告した結果、不当に高い水道料金の請求を許されたと訴えている。各社が敗訴すれば、顧客に総額£数億の料金が払い戻される可能性もある。
この集団訴訟は、環境コンサルタントで元大学教授のキャロリン・ロバーツ(Professor Carolyn Roberts)が起こしたもの。テムズ・ウオーター(Thames Water)のほか、ヨークシャー・ウオーター(Yorkshire Water)、アングリアン・ウオーター(Anglian Water)、セバーン・トレント(Severn Trent)、ノーザンブリアン・ウオーター(Northumbrian Water)、ユナイテッド・ユーティリティーズ(United Utilities)の各社が被告となっている。
ロバーツ側はこの日の審問で、これら6社が2015年以降、市場での支配的地位に乗じて下水処理を怠り、河川や海洋に未処理の下水を繰り返し放出したと主張。水道業界の監督機関Ofwatと環境庁には下水放出回数を実際より大幅に少なく報告し、本来ならOfwatが認めなかったはずの高い料金を顧客に請求したとし、総額£8億~£15億を顧客に返還するよう求めた。
イングランドで水道会社に対する集団訴訟が起こされるのは、これが初めて。イギリスでは15年に成立した消費者権利法(UK Consumer Rights Act)により、消費者が企業に対し競争法に基づく集団訴訟を起こすことが可能となっていた。
イギリスでは雨水と下水が同じ下水管に流れ込むため、大雨の後に下水管が逆流してあふれることを避けるため、河川や海洋に未処理の下水を放出することが認められている。ただ近年はこれが頻繁になり、環境汚染や公衆衛生上の問題が深刻化。民営化された水道会社が利益を優先して下水道への投資を怠り、違法な下水放出を行っているとの批判が強まっている。
つまり、環境問題以前のイギリスの栄光「産業革命時代」の法律がまだ生きていた。
この問題を巡っては、環境庁とOfwatも調査を進めている。
ただし、起訴されても、法律で守られているので、どうする気なのだろう。
イギリスには、このような問題が多い。
https://europe.nna.jp/news/show/2709132
https://www.reuters.com/world/uk/british-water-companies-fight-2-billion-lawsuits-over-sewage-pollution-2024-09-23/
https://utilityweek.co.uk/six-water-companies-refute-highly-speculative-800m-sewage-claim/
https://www.rpclegal.com/press-and-media/claims-against-water-companies-start-in-the-competition-appeal-tribunal/
https://www.mywatercase.co.uk
https://www.leighday.co.uk/news/news/2024-news/five-uk-water-companies-appear-in-court-for-the-first-time-in-relation-to-allegations-of-underreporting-pollution-incidents-and-overcharging-customers-as-a-result/
https://consumervoice.uk/utilities/first-court-appearance-for-five-uk-water-companies/
https://www.bbc.com/news/articles/cv2gmx8d51xo
https://www.monckton.com/new-opt-out-class-action-claims-against-water-and-sewerage-companies/