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次期日銀総裁の予想を覆す「ダークホース」。初の経済学者で元日銀審議委員の植田和男。

日経新聞が2023年02月10日夕に、政府は日銀の黒田東彦総裁の後任に、経済学者で元日銀審議委員の植田和男と、人事を固めたと報告すると、ドルが131円半ばから130円半ばへ大きく下落した。

国会に2023年02月14日提示される日銀の正副総裁人事の内容次第で、円は値幅を伴って動く可能性があると伝えている。

最終的に、衆参両院の同意を経て内閣が任命することになる。

副総裁には氷見野良三前金融庁長官、内田真一日銀理事を起用する。

現在の雨宮正佳、若田部昌澄両副総裁の任期は2023年03月19日まで、政府は黒田総裁の後任総裁として雨宮副総裁に打診したが、岸田文雄首相のアドバイザーの一人は、指名が決まったと思い込むことに警告を発していた。「ダークホース的な候補が出る可能性はまだある。」と彼は言ったと伝えている。

雨宮正佳自身が岸田首相のオファーを断った後、植田和男を推薦したという。

イギリスの経済新聞「FT(フィナンシャル・タイムズ/Financial Times)」は、岸田文雄首相は、黒田東彦総裁が10年間務めた日銀の総裁を辞任するのに伴い、従来の候補者の中から次期総裁の継続者を選ぶと予想されていた。

その代わりに、日本の指導者は伝統を破り、日本の政策と政治体制にとってアウトサイダーである経済学者の植田和男を選んだという報道を受けて、金曜日に世界の市場に衝撃を与えた。

もし国会が予想通り、MITで経済学の博士号を取得した東京大学名誉教授植田和男の指名を承認すれば、戦後日本で初めて学者が中央銀行総裁に就任することになる。
この役職はこれまで日銀と財務省の役人が交代で務めてきた。

植田和男は、1998年から2005年まで中央銀行の理事を務め、1990年代後半にゼロ金利政策を採用した際にフォワードガイダンスの導入に貢献した人物である。

しかし、日本の超低金利政策の早期解除を警告してきた金融政策の専門家として尊敬を集めている植田和男は、アジアで最も進んだ経済を金利正常化に向けて舵取りするという重大な任務に直面することになる。

植田和男抜擢の報道後、円は一時1%ドル高になり、10年物日本国債利回りは日銀の取引上限である0.5%に達した。

政府関係者によると、人選は厳重に守られたという。

岸田文雄首相の側近のごく一部だけが、先月行われたと思われる最終的な人選を知っていた。

「日銀総裁問題には箝口令が敷かれ、誰もそれについて話すことができなかった。」と与党自民党のある国会議員は語ったという。

アナリストによれば、この極秘のプロセスは、10年にわたる超緩和政策からの転換に取り組む上で、政治を超越できる総裁を選ぶという首相の決意を浮き彫りにしたものだという。

岸田内閣は、故安倍晋三元首相が率いていた自民党会派から、日銀の超金融緩和政策を支える「アベノミクス」プログラムから逸脱しない候補者を指名するよう強い圧力を受けていた。

しかし、植田和男は、大規模な金融緩和を支持するリフレ派には属さない。

金曜日に植田和男の選出が報道された後、植田和男は記者団に対し、日銀の現在の金融政策は適切だと考えていると述べた。

「今のところ、緩和策を続けることが必要だと思う」と述べた。「私は長い間学者だったので、様々な判断を論理的に行い、分かりやすく説明したい。」と述べた。

しかし、植田和男は、FTのさらなるコメント要請を拒否した。

岸田文雄首相は、日銀総裁の人選が自民党内の政治的配慮に影響されることに疑問を感じ、黒田東彦総裁の方針を引き継ぐ可能性の高い雨宮副総裁ではなく、経済学者を選んだ」と言われている。

議論に詳しい関係者によると、岸田文雄首相はまた、元金融庁長官の火野良三と、日本の金融政策の形成に中心的な役割を果たしてきた日銀幹部の内田伸一を副総裁に指名する見込みだという。

60歳の内田真一日銀理事は、世界の銀行界とつながりがあり、日銀内部のスターであり、将来の総裁候補と目されている。日銀関係者によると、71歳の植田和男は金融政策を練る上で内田に大きく依存する可能性があるという。

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