人間やロボットが触覚の摩擦を把握するための新たな物理の法則を発見。
米国のNSF(National Science Foundation/全米科学財団/国立科学財団)は2021年05月13日に、パターン化された表面間の摩擦による滑りは、ソフト・マテリアルの触覚工学(haptic engineering of soft materials)において基本的かつ実用的に重要である。
また,遠隔手術(remote surgery)やソフト・ロボティクス(soft robotics)などの新しい応用分野では,固体表面間の薄い流体膜が,固体の変形と流体の散逸の間のマルチフィジックス結合(multiphysics coupling)を引き起こす。
ここでは、パターン化された表面上の弾性流体潤滑の摩擦ピーク値を支配するスケーリング法則(scaling law that governs the peak friction values of elastohydrodynamic lubrication on patterned surfaces)を報告した。
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これらのピークは、滑らかなトライボペア(smooth tribopairs)には見られないもので、潤滑剤の流れにおける長さのスケールが分離しているために生じる(arise due to a separation of length scales in the lubricant flow)ものである。
柔らかいトライボペアの形状、弾性、流体特性(geometry, elasticity and fluid properties of soft tribopairs)を変化させ、トライボレオメーターで潤滑摩擦を測定(measuring the lubricated friction with a triborheometer)することで、このフレームワークを作成した。
このモデルは、バイオインスパイアされたロボットの指先(bioinspired robotic fingertip)や人間の指(human fingers)の弾性流体力学的な潤滑摩擦(elastohydrodynamic lubrication friction)を正しく予測する。
このモデルの広範な適用性は、現実的な条件下でのロボットハンド(robotic hands)やグリッパー(grippers)の将来の設計に役立つだけでなく、摩擦を触覚信号に符号化(encoding friction into haptic signals)する新しい方法を切り開くことにもなる。
ロボット機器は、組み立てラインから医療まであらゆる分野で使用されているが、ロボットが物体をつかむ際に発生する摩擦を考慮することは難しく、特に湿った環境ではその傾向が顕著である。NSFの助成を受けた研究者たちは、この種の摩擦を説明する物理法則を発見し、さまざまなロボット技術の発展につながる可能性を示した。
ノースカロライナ州立大学の化学・生体分子エンジニア(a chemical and biomolecular engineer at North Carolina State University)で、本研究に関する論文の共同執筆者であるリリアン・シャオ(Lilian Hsiao)は、「今回の研究は、遠隔手術や製造業などの用途において、より信頼性の高い機能的なデバイスを作るための扉を開くものです。」と述べている。
問題となっているのは、EHL(ElastoHydrodynamic Lubrication)摩擦と呼ばれるもので、2つの固体表面が、その間にある薄い流体の層に接触するときの摩擦である。
これは、2つの固体表面がそれらの間にある薄い流体の層と接触するときの摩擦で、指先をこすり合わせるときの摩擦も含まれる。また、油を塗った物体を持ち上げるロボットの爪や、人間の体内で使用される手術器具などにも適用される。
摩擦が重要な理由の1つは、人間が物を落とさずに持つことができることである。
この論文「Elastohydrodynamic friction of robotic and human fingers on soft micropatterned substrates(ソフトなマイクロパターン基板上でのロボットおよび人間の指の弾性流体力学的摩擦)」は、「Nature Materials」に掲載されている。
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Published: 29 April 2021
Elastohydrodynamic friction of robotic and human fingers on soft micropatterned substrates
Yunhu Peng,
Christopher M. Serfass,
Anzu Kawazoe,
Yitian Shao,
Kenneth Gutierrez,
Catherine N. Hill,
Veronica J. Santos,
Yon Visell &
Lilian C. Hsiao
Nature Materials (2021)Cite this article
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NSFの化学・生命工学・環境・交通システム部門(Division of Chemical, Bioengineering, Environmental and Transportation Systems)のプログラムディレクターであるウィリアム・オルブリヒト(William Olbricht)は、「この研究は、人間がパターン化された表面をどのように掴むかに影響を与える要因についての新しい知識を提供するものであり、様々なロボット技術に応用することができる。」と付け加えている。
同様の研究は、多くの大学で研究している。また、そのための特殊マテリアルの研究も行われている。
昔、日経BPで、そのような研究の掘り起こし雑誌を作ろうと話したことがある。
朝日新聞では、坂根厳夫記者(当時/その後、慶應大学の教授になった)が「美の座標」で、私は雑誌グラフィックデザインで掘り起こしていた。また、掘り起こしながら、横の連携を模索するお見合い屋さんまで何度か成功した。