次世代エンジンを手がけるRELが破綻。
ヨーロッパ経済ニュースEUROPE NNAは2024年11月04日に、ジェットエンジンとロケットエンジンの技術を組み合わせた極超音速機向け航空エンジン「SABRE(Synergetic Air Breathing Rocket Engine)」を開発していたイギリスのオックスフォードシャーのクルハム(Culham, Oxfordshire)に拠点を置くREL(Reaction Engines Limited/リアクション・エンジンズ社)が管財人の管理下に入ったと報告した。
管財人に指名された大手会計事務所PwC(PricewaterhouseCoopers/プライスウォーターハウスクーパース)が2024年10月31日明らかにした。報道によると、従業員208人のうち173人はすでに解雇されている。
RELは経営難のために約£2,000万の運転資金を確保する必要があり、当初はUAE(United Arab Emirates/アラブ首長国連邦)の政府系ファンドのSDF(Strategic Development Fund/戦略開発基金)と協議を進めていた。
その協議は、2024年10月に交渉が決裂し、同社に出資する航空・防衛大手BAEシステムズ(BAE Systems)や航空エンジン大手ロールス・ロイス(Rolls-Royce)なども救済には動かなかったために、破綻が決まった。
RELは、1989年にアラン・ボンド(Alan Bond)によって設立され、ジェットエンジンとロケットエンジンの技術を組み合わせた極超音速機向けエンジン「SABRE」を開発していた。SABREはエンジンの前部にヘリウムガスを使った冷却装置「プリ・クーラー(Pre-cooler)」を備えており、この技術はドイツの自動車大手メルセデス・ベンツ・グループ(旧ダイムラー)のレーシングカー用エンジンにも採用されている。このため、RELの破綻で自動車レース「フォーミュラ1(F1)」にも影響が及ぶ可能性があると伝えている。
しかし、時代的にもこの方向の開発は古くなっている。
https://europe.nna.jp/news/show/2723582
https://www.pwc.co.uk/services/business-restructuring/administrations/reaction-engines-limited.html
https://www.theregister.com/2024/11/01/reaction_engines_administration/