イギリス財務相、歳出削減策を発表。前政権予算は「£220億超過」
イギリスのChancellor of the Exchequer(財務大臣): Rachel Reeves(レイチェル・リーブス)は2024年07月29日に、緊急の歳出削減策を発表した。保守党前政権から引き継いだ今年度予算は£220億の歳出超過になると指摘した上で、今年度に£55億、来年度に£81億削減する方針を示している。2024年10月30日には、追加の削減策を盛り込んだ秋季予算案を発表する予定だ。
今回の削減策には、高所得の年金受給者に対する暖房費の補助の支給を停止することで年間約£15億を節減する案が含まれる。また、各省庁のコンサルタント契約の見直しなどで£30億を絞るほか、ボリス・ジョンソン(Bolis Johnson)元首相が打ち出した2030年までに病院40カ所を新設する計画については、「財源の裏付けがなく、スケジュールも実現不可能」として大幅に変更することを決めた。
さらに、一部の道路建設を取りやめるほか、来年から高齢者の介護料金に上限を設ける計画も不可能と判断。また、不法移民のルワンダへの移送計画を中止することで、今年に£8億、来年に£14億の支出がカットできるとしている。
一方、歳入の拡大に向けては、公約通り2024年01月から私立の教育機関にVAT(付加価値税)を課す。石油・ガス会社を対象とした超過利潤課税は、2024年11月01日から税率を3ポイント引き上げて38%とするほか、投資控除のルールを厳格化し、課税期間も30年3月末まで延長する。また、未公開会社の経営幹部や、非居住者扱いの富裕層への課税の取り締まりを強化する計画も進める。
新政権は若手医師や教師、警察官、刑務所職員などの賃上げを予定しており、これにより£94億の追加負担が生じる見通しだ。
秋季予算案については、リーブス財務大臣は「歳出、福祉、税金で難しい決断を下すことになる。」と述べた。
これに対し、前政権の財務相だったジェレミー・ハント影の財務相(shadow finance minister Jeremy Hunt)は、£220億の歳出超過との指摘は「偽り」と批判。新政権が国民に増税を受け入れさせるための手段だと批判している。ただ、OBR(Office for Budget Responsibility/予算責任局)のリチャード・ヒューズ局長(Richard Hughes, Director of the OBR)は、2024年03月にOBRが財政見通しを作成する際にハントが提出した情報は「透明性と信頼性に懸念がある」とした上で、予算案発表時の財政見通しの策定手順を見直す方針を示した。
どこもかしこも予算案は、つじつま合わせだけかもしれない。
2024年07月30日---ロンドン証券取引所、上場簡素化30年ぶり大幅変更し、新ルール開始。
2024年07月04日---イギリス総選挙、きょう投開票。14年ぶりに労働党政権誕生へ
2024年05月10日---イギリス、ほぼ3年ぶりの急速な成長で不況から脱却。2024年第1四半期0.6%プラス。
2024年03月07日---イギリス政府、予算案公表。減税強調、国民の税負担増加。
https://europe.nna.jp/news/show/2687919
https://www.gov.uk/government/news/chancellor-i-will-take-the-difficult-decisions-to-restore-economic-stability
https://www.instituteforgovernment.org.uk/comment/chancellors-statement-spending-review
https://www.itv.com/watch/news/shadow-chancellor-jeremy-hunt-defends-billion-pound-public-finance-black-hole/9zlrkvr
https://www.reuters.com/world/uk/new-uk-finance-minister-accuse-last-government-multi-billion-pound-cover-up-2024-07-28/
https://www.reuters.com/world/uk/uk-public-finances-show-22-billion-pound-spending-hole-new-finance-minister-2024-07-29/
https://www.nytimes.com/2024/07/29/business/britain-budget-spending-rachel-reeves.html
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