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台湾のTSMC、年内に、「3ナノ品」の半導体量産を始める。

日本経済新聞 電子版は2022年04月14日に、ファウンドリー(半導体の受託製造)世界最大手のTSMC(Taiwan Semiconductor Manufacturing Company, Limited/台灣積體電路製造公司/台湾積体電路製造)は年内に、台湾の新工場で世界最先端の「3ナノ品」の半導体の量産を始める。さらに先端の「2ナノ品」の新工場建設も、年内に台湾で始めることを決めたと報告した。

世界の先端半導体の92%の生産は、台湾で行われ、今後さらに重要な半導体の生産が台湾に集中する。

TSMCは現在、米国のアップルのスマートフォン「iPhone13」向けなどに、先端の半導体「5ナノ品」を供給するなど、技術力で群を抜く。そのTSMCは、年内に、さらに先をゆく「3ナノ品」を量産する。

もはや唯一のライバルとも言えた韓国サムスン電子とも、大きな技術差が付いた。この業界は、一度ついた技術差を埋め合わせることは不可能と言われている。

世界最先端に君臨して来たインテル(Intel)も落ちた。

https://time-az.com/main/detail/76651

米国のインテルの最高経営責任者(CEO)パット・ゲルシンガー(Pat Gelsinger/Patrick Paul Gelsinger)も2022年04月07日、プライベートジェット機で台湾を訪れた。

報道陣をほぼ完全にシャットアウトしたお忍びの訪問だったが、狙いは明確。3ナノ品や2ナノ品の調達についての交渉だったと言われている。

この交渉に失敗すると、インテルが消える。

インテルの強力なライバルである米国半導体大手AMD(Advanced Micro Devices/アドバンスト・マイクロ・デバイス)を率いるのは、台湾出身のCEOリサ・スー(Lisa Su/蘇姿豊)であり、台湾人脈を生かした調達力でのしあがった。

インテリは自前生産にこだわり、AMDはTSMCから大量の先端半導体を調達し、パソコン性能を一気に引き上げ、インテルの半導体シェアを奪った。そしてインテルが限界に達した。

リサ・スーは、まさにその調達力でのしあがった。半導体の自前生産にこだわるインテルをよそに、TSMCと太いパイプを築き、TSMCから大量の先端半導体を調達し、パソコン性能を一気に引き上げ、今では売上高ベースで、TSMCの主要顧客リストの第2位になり、結果的にTSMCとともにインテルの半導体シェアを奪った。

さらに同じインテルのライバル、米国のエヌビディア(NVIDIA)の経営トップのジェンスン・ファン(Jensen Huang/黄仁勳)は、台湾出身で、AMDのリサ・スーの親戚である。

さらに、スマホ向けの半導体で知られる米国のクアルコム(Qualcomm)も例外ではなかった。
ライバルであった台湾企業聯発科技(MediaTek/メディアテック)はTSMCからの調達力を武器に一気に商品力を上げ、ついに2020年、スマホ向けの半導体で、クアルコムのシェアを抜き、世界首位となった。
メディアテックのシェアは約4割、クアルコムが3割弱にまで差は広がった。

世界の半導体は、TSMCを中心に回り始めている。

TSMCが今後、海外ではなく、日本の九州ほどの面積しかない台湾の新竹、台南、高雄と、台湾全土で相次ぎ最先端の新工場を建設し、稼働する。

中国からの統一圧力が強まる台湾では、世界に大きな影響力を持つTSMCは今や数少ない外交カードになっている。

台湾当局もTSMCに6%強を出資する大株主で、TSMCの半導体工場をそう簡単に海外へ新設する判断はできない。蘇貞昌行政院長(首相)は2022年04月11日の院内会議でも「(半導体などの)ハイテク産業は、台湾を世界に知らしめる生命線。」と強調した。

しかし、それでは危険すぎる。

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