排水中のオピオイド代謝物を高速で検出するグラフェンセンサーを開発。
米国のNSF(National Science Foundation/全米科学財団/国立科学財団)は2022年03月24日に、廃水中のオピオイド副産物を、現在一般的に使用されている方法よりも迅速かつ安価に検出するセンサーを、NSFの助成を受けた研究者が開発と報告した。
https://time-az.com/main/detail/76524
このグラフェン電界効果トランジスタデバイス(graphene field effect transistor device)は、4種類の天然および合成オピオイドを同時に検出することができる。研究チームは、この研究を『ACS Nano』誌に発表した。
この装置は、現在進行中のオピオイド危機への対応で最大の懸念事項であるプライバシーを侵害することなく、オピオイドの使用を監視するために使用できる。
この装置は、最近コロナウイルスのレベルを測定するために展開されている、成長中の廃水ベースの疫学分野の新たな応用例である。
「この新しいセンサーは、廃水中のオピオイドを迅速かつ安価に測定することができます。」と、報告書の主執筆者であるボストンカレッジのケネス・バーチ(Kenneth Burch of Boston College, a lead author of the report)は述べている。「このセンサーの感度と携帯性により、プライバシーを確保しつつ、ブロックごと、寮ごとといったローカルなスケールで、廃水ベースの疫学を行うことができるようになった。
「廃水検査は、個人の薬物検査に伴う制限やスティグマを打ち破り、近隣レベルでの薬物使用のより客観的な尺度を提供できる新しい戦略です。」と、このプロジェクトの共同リーダーでマサチューセッツ州ニュートンのGiner Labsの先端材料担当副社長アヴニ・アーガン(Avni Argun, a co-leader of the project and vice-president for advanced materials at Giner Labs in Newton, Mass.)は述べている。
ヨーロッパでは排水検査が広く行われているが、米国ではまだ数件しか行われていない。
この研究チームの装置は迅速かつ携帯可能であるため、低コストで地理的解像度の高い大規模な集団検査が可能になるとが考えられる。
今回の取り組みは、グラフェンおよびグラフェンを用いた電界効果トランジスタを廃水の分析に用いて複数の代謝物を検出する初めての試みとなる。
「また、このプラットフォームが、ウイルス感染や廃水中の病原体の有無を家庭で迅速に検査するなど、他の用途にも利用できることを確認中である」と、ケネス・バーチは述べている。