ダニは、バクテリアのおかげでコウモリに噛みつくことができる。
米国のNSF(National Science Foundation/全米科学財団/国立科学財団)は2021年08月17日に、媒介性疾患の他の感染経路との重要な類似点として、吸血性のハエは、コウモリであっても皮膚のバクテリアが作り出す化学物質を追いかけているのかもしれないと報告した。
虫刺されの心配をしなければならない動物は人間だけではない。
何千種もの昆虫が哺乳類や鳥類を専門に食べるように進化してきたが、科学者たちは、これらの虫がどのように種を区別して好ましい獲物を探し出すのかをまだ解明できていない。
https://time-az.com/main/detail/75026
NSFの助成を受けて『Molecular Ecology』誌に発表された研究によると、コウモリを専門に食べる吸血性のハエは、コウモリの皮膚に付着したバクテリアが作り出す化学物質の匂いをたどって、好ましい宿主を探している可能性があることがわかったと報告した。
Associations between Afrotropical bats, eukaryotic parasites, and microbial symbionts
Holly L. Lutz 1,2,3
Jack A. Gilbert 1,2
Carl W. Dic 3,4
1Department of Pediatrics, University of
California San Diego, La Jolla, CA, USA
2Scripps Institution of Oceanography, University of California San Diego, La Jolla, CA, USA
3Negaunee Integrative Research Center, Field Museum of Natural History, Chicago, IL, USA
4Department of Biology, Western Kentucky University, Bowling Green, KY, USA
Correspondence
Holly L. Lutz, Department of Pediatrics, University of California San Diego, 9500 Gilman Drive, La Jolla, CA 92161, USA. Email: hllutz@health.ucsd.edu
Funding information
National Science Foundation, Grant/ Award Number: 1611948
この論文の筆頭著者であるホリー・ルッツ(Holly Lutz)は、蚊がある人を好むという過去の研究結果から、このプロジェクトを思いつiた。シカゴにあるフィールドミュージアムの研究者であるルッツは、「蚊の引きつける方法の違いは、皮膚のマイクロバイオーム（皮膚に生息するバクテリアの独自のコミュニティ）と関連しているという考えを裏付ける研究結果があります。」と述べている。「ある人は他の人よりも蚊に惹かれるということを念頭に置き、昆虫があるコウモリには惹かれるが、他のコウモリには惹かれないのはなぜだろうと考えた。」
「コウモリバエが実際にどのようにしてコウモリを見つけ出すのかは、謎のようなものでした。」と、フィールド博物館とウェスタン・ケンタッキー大学(Field Museum and Western Kentucky University)の科学者で、本研究の共著者の1人であるカール・ディック(Carl Dick)は「しかし、ほとんどのコウモリバエは1種類のコウモリだけを食べて生きているので、どうにかして適切な宿主を見つけていることは明らかです。」と付け加えた。
これは、複雑なシステムであり、蚊による人間へのマラリアやウイルス感染など、他の媒介者による病気の感染経路と重要な類似点があると科学者たちは言う。
これまでの研究では、皮膚に付着しているバクテリアの種類や、個々の人間の病気の状態が、血を求める蚊の餌の好みに影響を与えることがわかっている。
-- NSF広報、Researchnews@nsf.gov