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爬虫類の5種に1種以上が絶滅の危機に瀕している。
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米国のNSF(National Science Foundation/全米科学財団/国立科学財団)は2022年05月11日に、爬虫類の5種に1種以上が絶滅の危機に瀕している。しかし、その多くは他の動物を救う努力によって利益を得ている可能性が高いと報告した。
https://time-az.com/main/detail/76869
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ネイチャーサーブ(NatureServe)などの科学者が主導する新しい研究によると、他の動物の保護活動が、多くの爬虫類の保護に役立っている可能性が高いことが分かったた。科学雑誌ネイチャー(Nature)誌に掲載されたこの研究は、国際自然保護連合の絶滅危惧種レッドリスト(Union for Conservation of Nature Red List of Threatened Species)に掲載されている爬虫類について、初めて包括的な絶滅リスク評価を行った分析結果である。その結果、世界の全爬虫類種のうち、少なくとも21%が絶滅の危機に瀕していることがわかった。
この研究を支援したNSFの環境生物学部門のプログラム・ディレクターであるモーリーン・カーニー(Maureen Kearney, a program director in the U.S. National Science Foundation Division of Environmental Biology, which supported the study)は、「全爬虫類種の5分の1が失われる可能性があるということは、地球の生物多様性がいかに消失しつつあるかを思い起こさせるもので、この危機は人間を含むすべての種を脅かしています」と述べている。
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6大陸24カ国からなる研究チームは、哺乳類、鳥類、両生類と比較して、10,196種の爬虫類の保護ニーズを分析した。爬虫類には、カメ、ワニ、トカゲ、ヘビ、そして約2億〜2億5000万年前の三畳紀に進化した系統の唯一の現存種であるトゥアタラ(tuatara/ムカシトカゲ)などが含まれている。
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その結果、絶滅の危機に瀕している哺乳類、鳥類、両生類を保護するための取り組みが、絶滅の危機に瀕している多くの爬虫類にも利益をもたらす可能性が予想以上に高いことが明らかになった。爬虫類は砂漠や低木林などの乾燥地帯に生息しているが、ほとんどの爬虫類は森林に生息しており、他の脊椎動物と同様に伐採や農業への転換などの脅威にさらされている。
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この調査では、森林に生息する爬虫類の30%が絶滅の危機に瀕しているのに対し、乾燥地帯に生息する爬虫類の14%が絶滅の危機に瀕していることが明らかになった。
また、この研究は、私たちが爬虫類の保護に失敗した場合、何を失うことになるのかも明らかにしている。絶滅の恐れがある1,829種の爬虫類がそれぞれ絶滅した場合、地球は合計156億年の進化の歴史、すなわち多様な環境で生きるための無数の適応策を失うことになる。
著者らは、最も脅威にさらされている爬虫類、特に外来捕食者の脅威にさらされている島固有のトカゲや、人間の影響をより直接的に受けている種を保護するためには、緊急で的を絞った保護対策がまだ必要であると述べている。例えば、カメやワニにとって、生息地の改変よりもむしろ狩猟が主な脅威であり、その半数は絶滅の危機に瀕している。