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イギリスとフランスの海底送電網計画が復活。
ヨーロッパ経済ニュースEUROPE NNAは2023年01月26日に、イギリスとフランスの海峡に新海底送電ケーブルを敷設する総工費£13億5,000万の民間プロジェクト(UK-France power cable project/Channel electricity cable project/The UK and France's undersea power grid programme)が再始動する可能性が出てきたと報告した。
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政府は2022年01月にイギリスとフランスの海底送電網計画プロジェクトの承認を拒否したが、今回、イギリス高等法院がこの決定を覆す判決を下したため、政府は承認申請の再審査を行うことになると、プロジェクトを運営するアクインド(Aquind)が2023年01月24日に発表した。
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このプロジェクトは、イングランド南部ポーツマス近郊のラブディーン(Lovedean)とフランス北部ルアーブル(Le Havre)の間に、送電容量2GW(ギガワット)の海底送電ケーブルを敷設するもので、完成すれば、両国間で年間16TW/h(テラワット時)の電力の相互融通が可能となり、イギリスは電力需要の最大5%をフランスから調達できることになる。
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このプロジェクトは2016年に始動し、2019年には承認申請が行われていたが、ポーツマスの住民や環境保護団体が反対運動を展開したことを受け、当時のクワシ・クワーテング民間企業・エネルギー・産業戦略省(Kwasi Kwarteng, Minister for Private Enterprise, Energy and Industrial Strategy)は2022年01月に承認申請の却下を決めた。アクインドはこれを不服とし、2022年03月に高等法院に提訴していた。
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今回の判決を受け、グラント・シャップス民間企業・エネルギー・産業戦略相(Grant Shapps, Minister for Private Enterprise, Energy and Industrial Strategy)は改めて同プロジェクトの承認審査を行うことになる。イギリスの経済新聞「FT(フィナンシャル・タイムズ/Financial Times)」によると、プロジェクトは既に審査基準7項目のうち3項目を満たしているため、再審査ではあと1項目に合格すれば承認が得られる。
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アクインドを巡っては、与党・保守党に総額£150万の献金をしてきたことが取り沙汰されていた。
また、共同設立者はいずれもイギリス籍を取得しているものの、ロシアとつながりがある。うち、ウクライナ出身の実業家アレクサンダー・テメルコ(Alexander Temelko by Aquind)は、ロシアの石油会社ユコス(Russian oil company Yukos)の元トップ。ロシア出身でロシアの石油業界の実力者ビクトル・フェドトフ(Viktor Fedotov, a powerful figure in the Russian oil industry)として知られる。
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イギリスには、多くのロシア人実業家が住んでいる。
また、このチャンネル・プロジェクトは、テレグラムの時代から利用されてきた重要なプロジェクトが乱立している。
最大の問題は、関係者にロシアの実力者が多いことである。
https://europe.nna.jp/news/show/2471583
https://www.ft.com/content/6fe6ee17-18d7-43e2-a3fc-a7e377218bb9
https://www.reuters.com/markets/europe/uk-must-review-decision-block-uk-france-power-cable-project-court-ruling-2023-01-24/
https://www.marketscreener.com/news/latest/UK-must-review-decision-to-block-UK-France-power-cable-project-court-ruling--42801058/
https://www.hampshirelive.news/news/hampshire-news/council-vows-fight-plans-power-4583606