脊髄損傷に対する有望な治療法をもたらす可能性。
米国のNSF(National Science Foundation/全米科学財団/国立科学財団)は2022年03月31日に、NSFの助成を受けたラトガース大学(Rutgers University)の研究者たちが、脊髄損傷による組織の損傷を回復・再生させる酵素を安定化させたと報告した。
https://time-az.com/main/detail/76574
AI(Artificial Intelligence/人工知能)とロボット工学(robotics)を駆使し、損傷した脊髄組織の修復を助ける治療用タンパク質を調合した。研究成果は『Advanced Healthcare Materials』に掲載された。
First published: 02 February 2022
https://doi.org/10.1002/adhm.202102101
研究チームが安定化させた酵素であるChABCは、揮発性があり、臨床条件下での保存期間が短い。この化合物は、瘢痕組織分子を修復し、再生を促進することはできるが、高額な輸液を何度も行うための物流と費用の問題から、その効果は限定的であった。ChABCを安定化させることは、安価で機能的な治療アプリケーションを開発するための鍵となる。
「今回の研究は、人工知能とロボット工学を利用して、高感度な治療用タンパク質を調合し、その活性をこれほどまでに大きく拡張した初めての例です。」と、研究代表者のアダム・ゴームリー(Adam Gormley)は述べている。「この治療法は、いつの日か人々が脊髄の傷跡を軽減し、機能を回復するのに役立つかもしれない。
脊髄損傷の後遺症として、二次的な炎症により高密度の瘢痕組織が形成され、組織の再生が阻害されたり、禁止されたりすることがある。
この研究の成果として開発された治療法は、脊髄外傷の一次および二次的影響を緩和し、より利用しやすく、安価で持続可能な治療法を実現する可能性がある。
NSFのマテリアル研究部門のプログラムディレクターであるジョン・シュルーター(John Schlueter)は、「この感動的な結果は、マテリアル・ゲノム・イニシアティブ(Materials Genome Initiative)と NSFの未来を革新する材料設計とエンジニアリング(Designing Materials to Revolutionize and Engineer our Future)プログラムの研究理念が見事に実践されていることを示しています.」と語りました。「データ駆動型の最適化、ロボットによるポリマー合成、ハイスループット試験を統合することで、この研究者たちはアクティブ・ラーニング(active learning)を3回繰り返した後、保持される酵素活性を大幅に改善しました。」と述べている。
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