香港で、観光客消え、宴会も激減し、老舗飲食店が続々閉店。
アジア経済ニュースNNA ASIAは2022年08月16日に、新型コロナウイルスの流行で観光客が消えて2年半たち、地元客の夕食や宴会の需要も回復しないことが原因で、香港で観光客に人気があった広東料理店や、香港式大衆カフェ「」の老舗の閉業が相次いでいる。
「茶餐庁」を助けるために、飯田橋の『香港贊記茶餐廳』に行こう。
直近の1カ月では、九龍地区・油麻地の茶餐庁「美都餐室(ミドカフェ)」、香港島・中環(セントラル)のワゴン式飲茶店「蓮香楼」、香港島・湾仔で地元客に親しまれた「大栄華囲村菜」が閉業を決めた。
1950年に開業した「美都餐室」は2022年07月中旬、1918年創業の「蓮香楼」は2022年08月08日に閉業した。
湾仔で1955年から営業してきた「大栄華囲村菜」は、2022年08月28日にその歴史に幕を閉じる。
「美都餐室」はレトロな内装や「菠蘿油(メロンパン風の菓子パンにバターを挟んだもの)」といった香港式のメニューで地元客や外国人観光客に愛された。
「蓮香楼」は、今では珍しくなったワゴン式飲茶の店。店員が蒸したての点心を載せたワゴンを推して店内をまわり、客がその中から食べたい点心を選ぶ昔ながらのスタイルで外国人にも広く名を知られた。
https://time-az.com/main/detail/77525
2店の閉業には、現地に住む日本人からも「海外から知人が来るたびに連れて行っていた店。なくなってしまいさみしい」という声が上がる。
「美都餐室」は閉業の理由を明らかにしなかったが、長引くコロナ禍が影響したとみられる。
香港では新型コロナが流行してから海外や中国本土からの観光客が消え、今年に入ってからは感染爆発で3カ月以上、夜間の外食(飲食店の店内利用)が禁止になったため地元客の足も一気に遠のいた。
「蓮香楼」は、交流サイト(SNS)上で「コロナに打ち勝つことができなかった」と説明した。
香港の新聞「星島日報(Sing Tao Daily)」によると従業員は直近の数カ月は給与を受け取っておらず、未払い給与は計HK$(香港ドル)80万~100万(約1,360万~1,700万円)に上るとされる。
「大栄華囲村菜」は、地元メディアに数多く露出し、香港人に「食神」と呼ばれ親しまれる料理人梁文韜が率いる店だ。「囲村菜」と呼ばれる香港の田舎料理を売りにし、昼は飲茶も楽しめる。
梁文韜は香港の新聞「明報」など地元紙に対し、2022年01月に夜間の外食が禁止されたことが閉業の決定打になったと語る。
大規模デモが起こった2019年から売り上げが減り始め、2020年以降は観光客がいなくなったことでさらに経営が苦しくなった。
それでも自社が持つ物件を貸し出すことで店の赤字を補塡(ほてん)し、営業を続けてきたが、夜間外食の禁止で売り上げはさらに激減。自社物件も借り手がつかなくなり、営業継続は不可能と判断した。
「大栄華囲村菜」は、「栄華」ブランドの月餅で知られる香港栄華餅家が運営する。
2021年までは新界地区・元朗、九龍地区・九龍湾、湾仔で3店を営業していたが、香港の新聞「大公報(Ta Kung Pao)」によると九龍湾店は2021年末時点で閉店。元朗の本店だけは、今後も営業を続けるという。
飲食業界団体HKFORT(Hong Kong Federation of Restaurants & Related Trades Limited/香港餐飲聯業協会)の黄家和(Simon Wong/サイモン・ウォン)会長は、夕食と宴会の需要が戻らないことが飲食店を閉業に追いやっていると分析する。夜の外食禁止は2022年04月21日に解除されたが、市民の消費・生活習慣は長引くコロナ禍で変化し、客足は完全には戻っていない。1卓に座れる人数は8人まで、宴会の開催は120人までという規制が現在も続いていることから、宴会の需要も回復しないままだ。
そういった中で、飲茶を提供するような伝統的な広東料理店は店舗面積の広さから家賃が高く、従業員も多いため「他のジャンルの飲食店よりも経営が苦しい」と黄家和は指摘した。売上高に夜営業が占める割合は7割だが、夜の売り上げがコロナ前の1~2割に落ち込んだままの店も少なくないという。
黄家和によると、広東料理店の夜間の客単価はHK$200~250であるのに対し、昼はHK$100以下だ。
「大栄華囲村菜」の梁文韜も湾仔店について、昼の営業は悪くないが「夜の客が少なすぎる」とコメント。「昼の営業に頼って営業を続けることはできない。」と語っている。
香港では2022年07月、半世紀にわたり世界の観光客を魅了してきた水上レストラン「珍宝海鮮舫(ジャンボ・フローティング・レストラン)」が香港島・香港仔(アバディーン)の海上から姿を消したばかりである。
ジャンボや「美都餐室」、「蓮香楼と」いった老舗飲食店は香港文化の象徴でもあり、相次ぐ閉業は観光資源の消失を意味する。
域外からの観光客が本格的に回復する時期が見通せない中で、もともと観光客を引きつけていた老舗飲食店が消えつつあることは、香港の観光業に長期的に打撃を与えることになりそうだと伝えている。
このようなレストランには歴史があり、一丁一旦ではできない。
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