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大地震の直前、上空約60~1000kmにわたって広がる「電離圏」で「異常」現象を観測されてきた。

「電離圏」には、太陽からの強い紫外線で大気中に含まれる窒素や酸素の原子が電離して、電子やイオンが多く存在しており、特に上空300km程度で電子の密度が高くなる。

毎日新聞は2024年05月13日に、京都大の研究チームは、この異常が起こる物理的なメカニズムを解明したと発表した。と報告した。

https://mainichi.jp/articles/20240512/k00/00m/040/176000c

京都大学通信工学の梅野健教授によると、東日本大震災(2011年)や熊本地震(16年)、2024年01月の能登半島地震など、規模の大きな地震が起きる40分から1時間ほど前に、この電離圏に含まれる電子の密度に変化が生じる現象が見られてきたという。

北海道大学の研究チームも、いずれも大津波をもたらしたスマトラ沖地震(04年)、チリ地震(10年)などで、直前に震源域付近上空の電離圏に含まれる電子の密度が相対的に高くなっていたと2011年に報告している。

しかし、なぜそうした異常が起きるのかは分かっていなかった。

電離圏の電子数は、国土地理院が全国約1300カ所に設置しているGNSS(Global Navigation Satellite System/全球測位衛星システム)観測ネットワークを活用することでリアルタイムに把握できる。
GNSSの測位衛星から受信局に送信された電波は電離圏を通過する際にわずかに遅延を起こすため、その差を利用して電離圏内の電子の密度を測定することができる。
そこで梅野教授らのチームは、株式会社ケイ・オプティコム(K-OPTI.com)と共同で2017年07月03日に、地震先行現象検出技術の確立に向け、共同研究を開始した。

このような先行現象研究の一つとして、京都大学の梅野健教授の研究グループは、複数のGPS衛星観測局から地震発生前のデータのみを用いて電離圏電子数異常を捉えるデータ解析手法を開発し、東北地方太平洋沖地震や熊本地震の発生前においても電離圏の異常を捉えられることを理論づけ、1時間前から20分前の大規模地震検知(マグニチュード7以上)の可能性を示した。

ケイ・オプティコムは、この大規模地震における先行現象検出技術が実用化されることにより、家屋倒壊や津波といった危険からの早期避難のみならず、例えば病院での手術の中断、大型貨物クレーン作業や高所作業の中止など、地震被害の未然防止に対してより早い手立てが可能になると考えている。

この大規模地震の先行現象検出技術の確立に向け、GPS以外のデータを活用するなど解析手法を高度化し、電離圏異常との分析が未着手である過去大規模地震を解析することによる、大規模地震と電離圏異常との相関関係の立証
ケイ・オプティコムの通信局舎および京都大学施設へ受信機を設置し、GPS、GLONASS、Galileo、準天頂衛星などの衛星測位システムリアルタイムのGNSSデータを解析することによる、独自観測ネットワークの実現可能性の検証し、京都大学施設に電離圏の電子数など物理的な情報を取得可能なイオノゾンデを設置することによる、新たな観測手法が地震先行現象検出に資するかの検証を行う。
尚、共同研究で得られたデータは、一定期間経過後に公開するなどして、第三者による本先行現象検出技術の効果を科学的に検証ができる様にする予定であると報告している。

https://www.k-opti.com/press/2017/img/press35.pdf
https://researchmap.jp/chaosken


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