
ドイツ政府、€1,000億の国防基金で野党と合意。
ヨーロッパ経済ニュースEUROPE NNAは2022年05月31日に、ドイツの連立政権は2022年05月30日に、最大野党の中道右派CDU(Christlich Demokratische Union/キリスト教民主同盟)と、姉妹政党のCSU(Christlich Soziale Union/キリスト教社会同盟)の保守連合と、国防費向けに€1,000億の特別基金を設置することで合意したと報告した。
ロシアによるウクライナ侵攻を受けた措置で、国防費をGDP(Gross Domestic Product/国内総生産)の2%に拡大する狙いであり、昔のヒトラー台頭時代を思い出す。
ただし、幸にも現在の国防相は、ヒトラーにはなれない。
https://time-az.com/main/detail/76985

ドイツの新聞「DW(Deutsche Well)」によると、同基金は借入金を財源とする。憲法では借り入れの上限が定められているため、基金の設置に向けてはこれを上限の適用外とする必要がある。
憲法改正には議会で議席の3分の2以上の賛成が必要となるため、政府はCDU・CSUとの事前合意を目指していた。
ドイツのオラフ・ショルツ(Olaf Scholz)首相は今回の合意について、「ドイツとヨーロッパの安全保障のための極めて大きな一歩」と評価。
「これにより、国防省はこれまで以上に防衛の任務を遂行できる」としている。
また、SPDのクリスティーネ・ランブレヒト国防相(SPD-Verteidigungsministerin Christine Lambrecht)もこれを歓迎し、夏季休暇までにこの基金を法制化する方針を示した。
連立政権とCDU・CSUは、同基金により2026年末までの国防費を補う方針。
ただ、その後もNATO(North Atlantic Treaty Organization/北大西洋条約機構)が必要と見なす水準の国防費を維持するとしている。
両者はこのほか、軍事機器の調達手続きの迅速化や、政府予算によるサイバーセキュリティーの強化などでも合意した。
ショルツ首相は、ロシアがウクライナに侵攻した直後の3月上旬、2022年度予算で連邦軍に€1,000億を拠出し、国防費をGDP比で2%に拡大する方針を打ち出していた。NATOは加盟国の国防予算について、対GDP比2%とする目標を掲げる。ただドイツは第2次世界大戦の歴史的経緯や根強い平和主義を背景に、毎年1.5%程度にとどまっていた。
2022-03-29---ドイツは、軍事費を何に使っているのか
2022-03-14---国防費と武器取引。
2022-02-28---ドイツの軍事費はこうして発展してきた。
2022-02-27---ドイツ、ロシア侵攻で歴史的な方針転換。国防費をGDP比2%に拡大。