ドイツのウィンターシャル、露撤退で、€53億減損。
ヨーロッパ経済ニュースEUROPE NNAは2023年01月19日に、ドイツの石油・ガス会社ウィンターシャルDEA(Wintershall DEA)は2023年01月17日に、ロシア事業から撤退すると発表した。
ロシアでの合弁事業は政府に収用された状態にあり、これ以上の継続は難しいためとしている。
撤退に伴い、約€53億の減損会計を行う。
ウィンターシャルDEAの最高経営責任者(CEO)マリオ・メーレン(Mario Mehren)は、「ロシアのウクライナ侵攻は当社の価値観と相いれず、ロシアとヨーロッパの協力関係は崩壊した」と指摘した。ロシア政府が西側諸国の資産に制限を設け、合弁事業などに干渉していることで、事業運用が不可能になったと説明している。
今後は適用される法律や規制を順守しつつ、秩序ある方法で完全撤退する方針を示した。
ウィンターシャルのロシア事業には、ロシア産天然ガスをバルト海経由で欧州に輸送するパイプライン「ノルドストリーム(Nord Stream)」の権益15.5%や、現在はドイツ政府の管理下にあるエネルギー大手SEFE(旧ガスプロム・ゲルマニア/Gazprom Germania)との合弁事業WIGAトランスポート(WIGA Transport)が含まれる。
シベリア西部にあるユジノルスコエ(Yuzhno-Russkoye)・ガス田の権益35%と、同地域のアキモフ(Achimov)・ガス田の合弁会社の株式50%も保有する。
ウィンターシャルは、ドイツの化学大手BASFが72.7%、ルクセンブルクに本社を置くロシア系投資会社レターワン(L1)グループが27.3%をそれぞれ出資する。うちBASFは2023年01月17日に、ウィンターシャルのロシア事業撤退に伴い、約€73億の評価損を計上すると発表した。これにより、2022年12月通期は純損失が€13億7,600万となり、前期の€55億2,300万の黒字から赤字に転落する見通で、同社は2023年02月24日に通期決算を発表する。
ウィンターシャルと同様にロシア事業を展開するオーストリア石油大手OMVは2023年01月18日に、ロシアに保有する資産については最終決定を下していないと明らかにしている。
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