脊髄損傷者、脊髄移植による希望の兆し!
Nature Briefingは2022年02月09日に、脊髄の完全損傷で一度は麻痺した3人が、脊髄のニューロンを刺激する装置のおかげで、歩き、泳ぎ、自転車をこぎ、カヌーを漕ぐことさえできるようになった。
この装置は、下半身が通常脳と脊髄から受け取る信号を模倣して動きを制御するように特別に設計された最初のインプラントである。参加者はいずれも、インプラントを作動させてから1日以内に、体重を支えながらトレッドミルの上を歩くなど、ある程度の動きを回復した。
Nature Medicineは2022年02月08日に、EPFL(Swiss Federal Institute of Technology in Lausanne/スイス連邦工科大学ローザンヌ校)の神経科学者グレゴワール・コートリーヌ(Grégoire Courtine)とその同僚は、は2022年02月07日に『Nature Medicine』に発表した論文で、下半身が通常脳と脊髄から受け取る信号を模倣して運動を制御するよう特別に設計された初のインプラントについて述べている1。
References
1.Rowald, A. et al. Nature Med. https://doi.org/10.1038/s41591-021-01663-5 (2022).
Article
ただし、まだ初期段階で、同様の血球を開いている人たちが、この論文に意見を述べている。
また、現状では、怪我からそれほど時間を経過していない人を対象にしている。
しかし、色々な研究は確実に進んでいる。
https://time-az.com/main/detail/76215
脊髄が完全に切断されると、脳からの電気信号が遮断され、損傷部位の下半身にバランスと動きを伝えることができなくなり、通常、回復不可能な麻痺が生じる。しかし、切断部位の下にある運動ニューロンの連鎖は、しばしば無傷のまま残っている。いくつかの研究グループは、ニューロンに電流を流して慢性的な痛みをブロックするために設計された装置を再利用することによって、脊髄損傷者の動きをある程度回復させることに成功している。
グレゴワール・コートリーヌの研究グループは、磁気共鳴画像法とコンピュータ断層撮影法を用いて、27人の脊髄の神経細胞の大きさと配置をマッピングし、平均的な脊髄の予測モデルを作成した。これにより、患者の体のどこにインプラントの電極を設置すればよいかを外科医に示すことができた。そして、一人ひとりに合わせて電流を微調整した。
EPFLの神経外科医ジョセリーヌ・ブロッホ(Jocelyne Bloch)を含むチームは、脊髄が完全に切断され、下半身に麻痺が生じた3人の患者にこの装置を埋め込んだ。
植え込んだ後は、ボタンとタブレットを使って、それぞれの人が電気刺激のパターンをコントロールし、例えば、それぞれの足を上げたり下げたりすることができるようになった。3人の参加者全員が、インプラントを作動させてから1日以内に、体重を支えながらトレッドミルで歩くことができるなど、ある程度の動きを回復した。「最初の数歩は信じられないほどで、夢が実現しました!」と、治療を受けた一人、ミッシェル・ロカティ(Michel Roccati)はプレスリリースで述べている。また、自転車を漕ぐ、スクワットをする、カヌーを漕ぐなど、あらかじめプログラムされた動作で筋肉を誘導し、体を安定させるなどの活動も行うことができたという。
カリフォルニア大学ロサンゼルス校の運動生理学者であり、脊髄損傷者のための電気刺激に取り組んでいるレジー・エドガートン(Reggie Edgerton, an exercise physiologist at the University of California, Los Angeles)は、この論文の詳細さに感銘を受け、特定のニューロンをタイミングよく活性化するという「ミクロ(micro)」の要素と身体全体が動きに同調するようにするという「マクロ(macro)」のスケールとをうまく統合したアプローチだと述べている。「脚だけで歩いているわけではないのです」と彼は言う。
エドガートンが開発した方法は、皮膚に電極を貼り付けて脊髄ニューロンを外部から活性化させるもので、侵襲性の低い解決策になるかもしれない。あるいは少なくとも、負傷者が永久的な装置を埋め込むまでの応急処置になるかもしれないという。次の問題は、長期間にわたって刺激を与え続けることによって、運動ニューロンが正しい結合を獲得し、刺激を与えなくとも運動ができるようになるかどうかである、と博士は言う。
ミネソタ州ロチェスターのメイヨークリニックで理学療法士をしているメーガン・ギル(Megan Gill, a physical therapist at Mayo Clinic in Rochester, Minnesota)は、脊髄損傷用の電気刺激装置の研究をしている。ギルは、この研究に参加した人々は治療後1日で完全に「歩行」できるようになったわけではないことを指摘している。
また、メイヨークリニックの神経外科医であるピーター・グラーン(Neurosurgeon Peter Grahn, also at Mayo Clinic)は、この装置が従来のように連続的にではなく、戦略的にさまざまなニューロンを刺激できることから、研究者が脊髄の信号伝達のダイナミクスを理解するのに役立つと述べている。これは、上半身の動きを失った人たちの動きを回復させるという、より複雑なプロセスを理解するのに役立つだろう。
グレゴワール・コートリーヌは、スマートフォンで操作できるように技術を簡素化したいと述べている。同チームは、FDA(Food and Drug Administration/米国食品医薬品局)から、このシステムをより多くの人を対象にした米国での臨床試験を行う承認を得ている。ネズミを使った実験では、怪我をした直後から刺激を与えると、より動きが回復する傾向があることが分かっているため、研究者たちは怪我をしたばかりの人に焦点を当てる予定だとグレゴワール・コートリーヌは述べている。また、脊髄を刺激する機械に直接精神的な指示を与える脳インプラントのテストも行っている。この装置によって、脊髄損傷で失われがちな膀胱の制御や性的機能などの他の機能が回復する可能性がある。
この研究は、脊髄損傷者の多くに「多くの希望を与える理由」になるだろうとレジー・エドガートンは言う。
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