間接資材ECサイトMonotaRO、巨大インド市場制覇を目指す。
アジア経済ニュースNNA ASIAは2022年04月25日に、私も利用したことがある工具や消耗品など間接資材の企業間(BtoB)と消費者(BtoC)を担うEC(E-Commerce/電子商取引)サイトを手がけるMonotaRO(モノタロウ)の海外事業部門が、巨大インド市場制覇を目指していると報告した。
NNAは、MonotaROの海外事業部門の部門長西口誠治に単独インタビューを実施し、インド子会社が運営する間接資材ECサイトについて「インド最大の間接資材ECサイトを目指す。」と意欲を示したと伝えている。
日本と同様に、韓国、インドネシア、インドでも間接資材のECサイトを手がけている。
韓国は2013年01月に進出した。
韓国は金属加工業が多いなど日本と産業構造や商流が似ていて、日本の成功事例が適用できた。
2019年に黒字化し、その後も利益を拡大している。
https://time-az.com/main/detail/76725
インドネシアは2016年10月に進出した。現地の配送業者が商品をなくしたり、渋滞のせいで商品が目標時刻までに届かなかったりなどの問題があったので、ジャカルタ周辺は自社のバンを使っている。現地の配送業者と契約する日本、韓国、インドとやり方を変えている。まだ単年度赤字だが、最近はうまく回り始めている。
2018年02月、中国にも一度進出したが、Googleが使えず、MonotaROのECサイトを見つけやすくする自社ノウハウが生かせないなど、新規顧客を獲得するハードルが高かった。
2020年09月に撤退した。
中国は、浙江省杭州市の阿里巴巴集团(阿里巴巴集団/アリババグループ/Alibaba Group)などを利用しないと成功しにくいが、最近は北京政府からの引き締めもあり、厳しくなっている。しかし、アリババも知らない市場として、浸透する方法はある。
さらに北京政府からの引き締めを逃れるために、中国市場以外に市場を拡大している。
インド事業の売上高は2022年12月期に前期比5倍の15億3,000万円を目標にしていることや、インド国内の倉庫体制を現在の2カ所から早いうちに計4カ所にする方針も明らかにした。
MonotaROの海外事業はグループ全体の売上高のまだ4%程度で、2021年12月期の売上高でみると、韓国事業が66億4,000万円、インドネシア事業が3億9,000万円、インド事業が3億1,000万円で計73億4,000万円だという。
2022年12月期は韓国が78億8,000万円、インドネシアが5億4,000万円、インドが15億3,000万円で計99億5,000万円を目指している。
インドは2020年09月、US$1,500万(約19億円)を投じ、間接資材販売の地場エムテックス(Emtex)からオンライン販売事業を移管した会社(IBモノタロウ)の株式50%以上を取得すると決定して、インドに進出した。
インドの間接資材市場の市場規模は店頭販売を含めて5兆7,000億円ぐらい。MonotaROのインド子会社IB MONOTARO(IBモノタロウ)が「industrybuying(インダストリーバイイング)」という間接資材のECサイトを運営している。
インドは人口が増加しており、経済成長率が高く、市場規模も魅力的。まずは購買行動に関して中小企業をヒアリングしたり、商流を調べたり、事前調査を実施した。国土が広いので、中小企業は「買いに行く時間がもったいない」などの不満を持っており、MonotaROのネットを使ったソリューションで解決できるとという考えから、参入を決めたという。
参入に伴い、親会社MonotaROとしても、日本からIBモノタロウに駐在員1人を送り、新規顧客の獲得や商品の仕入れをサポートしてきた。
お客さまへの配送方法は、IBモノタロウがサプライヤーから商品をいったん仕入れて倉庫から配送するパターンと、サプライヤーから直接配送するパターンと二つのやり方がある。
ただ、インドのオンライン販売市場の特徴でもあるが、キャンセル率と返品率が高い。この二つが高い理由としては、サプライヤーに在庫がなく欠品しているとか、欠品しているので納期がかかってしまうとか、農村部のお客さまが住所をちゃんと明記していないとか。梱包(こんぽう)不備や商品の発注間違いもある。このあたりは今も課題として残っている。
自社で仕入れて配送するパターンの場合は、エリアごとに複数の地場配送業者と契約している。自社倉庫は元々、北部デリー(Delhi, India(に1カ所あったが、2022年4月に南部ベンガルール(Bengaluru/バンガロール/Bangalore)に1カ所開設した。
インドは国土が広い。自社倉庫から遠い場所に商品を送ると、納期がすごいかかる。そのような場所はお客さまに近いサプライヤーから直接配送してもらっている。
2022年02月、間接資材オンライン販売大手の地場インディアマート・インターメッシュ(Indiamart Intermesh)がIBモノタロウに資本参加した。IBモノタロウへの出資比率は、親会社MonotaROが51.6%、インディアマートが26.0%、エムテックスが22.4%になった。
インディアマートは、商品をサプライヤーからお客さまに直接配送するパターンの販売サイトを手がける会社である。インドでの販売サイト運営の知見を持っている上、サプライヤーの情報をよく知っている。インドの全サプライヤーがインディアマートの販売サイトに登録していると思うぐらい。
MonotaROは仕入れ先あっての商売なので、この点は大きい利点であった。
MonotaROの強みは、どうやってお客さまを集めて、どのお客さまに何を売るかのノウハウを持っているところで、データ収集やデータ分析とも絡んでくる。
また、インド人は「Made in Japan」に意外なほど弱い。
釘一本でも「Made in Japan」の刻印があると、良い釘になる国である。
インディアマートとMonotaROノウハウを組み合わせ、IBモノタロウが運営するインダストリーバイイングをインド最大の間接資材ECサイトにしたいと考えている。
これは、実現可能である。
今後の目標として、新規顧客の獲得コストなどで、現在のインド事業は単年度赤字だが、2026年12月期をめどに黒字化したいという。
さらに倉庫体制は今のデリー、ベンガルールの2カ所から、早いうちに他エリアで2カ所追加し、計4カ所にしたい。日本のように、自分たちで仕入れて売るパターンを増やしていく。自分たちで在庫を抱えてマネージした方が、欠品を回避したり、お客さまへの納期を短くしたりできる。確実に商品を届け、キャンセル率や返品率を下げることにつながる。
私がMonotaROを使った時、アイテムが多過ぎて、溺れてしまった。
MonotaROの考え方は、ヨーロッパで多く展開され、絶えず利用していたDoitYourSelfのオンライン版として。面白く感じた。
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