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森林が攪乱を受けて再生する能力は、種子生産に依存することが判明。
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米国のNSF(National Science Foundation/全米科学財団/国立科学財団)は2022年05月17日に、森林が山火事や干ばつなどの災害を受けた後に再生できるかどうかは、種子の生産量に大きく依存している。デューク大学の研究者が主導するNSFの2つの研究から得られた知見は、どの樹種がより多くの種子を生産するか、またその生産性が場所によってどのように異なるかに関する新たな指針を森林管理者に与えることにより、これらの災害後の回復と再植林を促進する可能性が明らかになったと報告した。
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「どの種がどのような生息地でより多くの種子を生産するかを知ることは、特に米国西部のように種子が限られている地域において、種子樹の管理方法と森林再生の最適化について理解を深めるのに役立ちます」と、Nature CommunicationsとEcology Lettersの両論文の責任著者であるジェームズ・クラーク(James Clark)は述べている。
https://time-az.com/main/detail/76915
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今回の研究は、気候変動によって頻発するようになった干ばつや山火事から森林が回復する能力について、また、木材やその他の木材製品に対する人間の需要の増加に対応するための伐採の増加について、懸念が高まっているときに行われたものである。
NSFの環境生物学部門のプログラムディレクターであるベッツィ・フォン・ホレ(Betsy Von Holle)は、「この研究は、森林保護への影響に加え、地域社会規模での種の共存や、地球上の種の多様性に関する我々の理解にも変化をもたらすでしょう」と語っている。
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ジェームズ・クラークは、「今回の研究結果は、樹木の種子生産における世界的なパターンを確立し、異なる条件下で異なる種がどれだけの種子を生産するかを定量化した最初のもので、世界中の森林管理および再生構想に非常に有用である」と付け加えている。
この研究は、熱帯から亜寒帯までの700種以上の種子生産に関するデータを統合したもので、木の繁殖力と種子供給が、異なる気候帯の森林再生と生物多様性にどのように貢献しているかについて新しい光を当てていると、ジェームズ・クラークは述べている。このような知見は、森林種の進化や、森林種の損失への対応を理解する上で不可欠なものである。
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最も意外な発見のひとつは、湿潤熱帯地域の樹木は、乾燥した北方林の樹木に比べて250倍もの種子を生産していることである。湿潤熱帯地域にはより多くの巨木があり、それらは平均して、北方地域の同じ大きさの木の100倍の種子を生産している。このことは、熱帯林で種の相互作用が非常に激しい理由を説明している、とジェームズ・クラークは述べている。
もう一つの重要な発見は、種子生産が種子の大きさに制約されないということである。このことは、「大きな種子を生産する種は、それに比例して生産量も少なくなり、その結果、損失が大きくなる。」という一般的な思い込みを覆すものである。
このような情報を知ることは、最近の山火事で焼け野原となったアメリカ西部の森林の再植林や管理の指針になると、ジェームズ・クラークは述べている。