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「竜とそばかすの姫」感想

夏休みをとったので、「平日はすいているだろう」と思い、観に行った細田監督作品「竜とそばかすの姫」。

ちなみに、細田監督の作品では「おおかみこどもの雨と雪」が一番好き。宮崎あおいの切ない声の演技が良かった。

これはいつも思うことだが、本編が始まるまでの予告編が多すぎないか?せめて3本ぐらいにして欲しい。

「U」という仮想空間で、母の事故死から心を閉ざしていた高校生の主人公が、失っていた「歌」を通して、自分を取り戻していく物語。
(ざっくりいうと)

しかし、世界的にヒットしている仮想空間でも50億人は多すぎないか?専用デバイスも必要みたいだし。10億ぐらいが現実的だったと思うが。

主人公の分身であるベルが仮想空間の歌姫として成り上がっていく過程が短すぎて、どれだけ凄いのか実感できない。この辺を、もう少し時間を取って描いて欲しかった。(この辺は、親友役のYOASOBIのikura(幾田りら)のブレイクとダブって見える)

解像度が高く華やかな仮想空間と、自然は豊かだが、線が少ない高知の田舎。そして、仮想空間を揺るがすような騒ぎと並行して起こる、高校生の恋愛を巡る騒動の対比が面白い。

リアルな世界の駅での告白シーンが、線の少ないあっさりした画だったので、「もっとちゃんと描けばいいのに」と思っていた。ところが、その後の主人公が仮想現実の中でリアルな姿になって歌う場面で、それまでと打って変わって解像度の高い画になっていたのを見て、「前のシーンが伏線だったのか」と納得した。

ここの、「アンベール光線」は、相手が「打て!」というだけで打てるのか?ふと疑問に思った。

リアルな姿とベルの姿で歌う主人公。ここまで、ちゃんとした歌唱シーンが意外に少なかったのは、クライマックスへの伏線だったのか。この歌唱シーンは、映画らしいカタルシスがあって良かった。

「竜」の家庭の問題を解決するために12時間かけて移動する主人公。誰か大人が付いて行ってやればいいのに。

あと、これまでの3作品で、いい味を出していた麻生久美子さんの出演がなかったのが残念。(旦那さんの伊賀大介は、スタイリストとして参加していたのに)

50億人もいるのに、奇跡的な確率でリアルな知り合いと出会うとか、ストーリーのつじつま的に突っ込みたい部分も多いが、それを言うのは野暮ってものだろう。

仮想空間の見せ方とか、SNSを含めた表の顔と裏の顔のギャップとか、人間が誰でも持っている悩みや価値とか、いろいろな要素を盛り込んだ映画らしい映画だった。

映画館で見るべき映画だった。

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