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【最近見た映画レビュー】Netflix3本と田中みな実初主演作

休みの日は、巣ごもりに逆戻りして家で映画を観る日々。今年に入って観た映画の感想を書く。

『ドント・ノレック・アップ』

無名の科学者が、直径5km程度の小惑星が地球に衝突することを発見し、アメリカ政府に報告するものの大統領を含めた首脳陣に信用されない。TV番組で警告しても変人として笑い者になる。ところが、政府のスキャンダルの目眩ましとして急に認められ、核爆弾による破壊または進路変更プロジヱクトが動き出す。

ここまでは、風刺を含みながらも「ディープインパクト」や「アルマゲドン」と同じパターンで進む。ところが、スティーブ・ジョブズかイーロン・マスクみたいなIT長者が「小惑星はレアメタルの宝庫だ」と横やりを入れ計画は中止される。

世界は(少なくともアメリカは)、「空を見るな」(これがタイトルの由来)をスローガンに小惑星の存在を信じない人たちと、終末を信じる人たちで分断され、大混乱に陥る。衝突するデモ隊の上空に小惑星がはっきりと見える場面のうすら寒さ。

要は、小惑星は地球温暖化で、頑迷な大統領と否定派は「フェイクニュースだ!」が決まり文句だったあの人(この映画では女性になっているが)とその支持者を皮肉っているのだろう。

こんなドタバタを経て、地球に接近した小惑星をIT長者発案のドローンで分解しようとするものの、計画通りには進まず、人類滅亡が迫る。(そして、大統領とIT長者含めたセレブ達は宇宙船で逃げ出す)

結局、人類は自らの愚かさにより救われないまま終わるという、通常のディザスタームービ一とは正反対の結末となる。

小惑星接近を訴えた人たちが、部屋でパーティーを開き楽しい思い出を語っているときに、窓の外に迫る衝撃波の描写は、静かな場面であるだけに恐ろしさを感じる。この辺は、普通の市民の平和な日常と溶岩のように溶けた東京を対比することで、核兵器の恐ろしさを描いた東宝の1961年の特撮映画「世界大戦争」に通じるものがあると思う。

ディカプリオやジェニファー・ローレンス、メリル・ストリープといった大物俳優と良くできた特撮のリッチな映画だが、結末の虚しさから劇場で観たいとは思ない映画。

『タイラー・レイク命の奪還』

危険な任務も難なくこなす傭兵が、誘拐された麻薬王の息子を救出する。ところが、代金の未払や裏切り、誘拐した組織の反撃により孤立し窮地に陥る。

ビジネスであれば、少年を見捨てて逃げるべきだが、正義に目覚めた(?)傭兵は、並みいる敵をバンバン撃ち殺し自分も深手を負いながら少年を送り届ける。そして、意識を失って橋から落ちて安否不明になる。

主人公の傭兵はマーベルの「ソー」の人。

アクションは凄いが、観終わって何も残らない映画。

『オールド・ガード』

大昔から活動してきた不死身の兵士の物語。

現代では傭兵として、人質や迫害されている人たちを救う任務をこなす彼らが、生物学的価値を見出した敵(不死身の兵士を人工的に作る陰謀)から狙われる。

新たに不死の能力を手に入れた兵士や裏切り、不死身であるが故の悲しみを描きつつ、最後の悪の組織との決戦まで、ストーリーがテンポ良く進む。

主役のシャーリーズ・セロンを含めてアクションは凄い。

最後に、彼らの活動に大きな意味(過去に救った人々が、その後、人類に貢献する事でより多くの命を救えた事)を明示しているのが、観ている方としても救われて良かった。

続編が作れそうなラストだったが、どうなるんだろうか?

『ずっと独身でいるつもり?』

田中みな実初主演作品。

私は宇垣美里が好きだが、別に田中みな実が嫌いなわけではない。(田中みな実の支持者には宇垣美里が嫌いな人が多い気がする)

新しい分野に挑戦する人は応援したいので、この映画も観に行こうと思っていたが、愛媛県では上映されないままアマゾンプライムに上がっていた。

映画のタイトルが表示されるのは、なんとポメラ(DM200)の画面。

10年前に書いた「都会でたくましく生きる独身女性」への応援歌的なエッセイを書き大ヒットした後、鳴かず飛ばずのライター(36歳)が田中みな実。

ネット配信の番組に出演して、10年前とは違った弱気な発言をする。それを見ている、3人の女性。独身のOL(市川実和子)、インスタのフォロワー20万人超えの主婦(徳永えり)やパパ活しているパリぴ(松井珠理奈)の日常を通じて、都会の片隅で懸命に生きる女性を描いている。

一見順調そうな登場人物も、それぞれに葛藤を抱えている。「結婚は?」「子供は?」「仕事は?」…、男性は聞かれない無神経な言葉の数々。それを発する男性陣が絶妙に嫌な人ばかり。

遂に感情が爆発し、市川実和子が自転車で、松井珠理奈が裸足で、叫びながら走るシーンを含めて、2001年の映画「tokyo.sora」を連想させる。あれから20年以上経っても、女性の生きづらさは変わっていないのかもしれない。

4人の女性が、それぞれに新しい一歩を踏み出すラストは、予定調和ではあるが、すがすがしい。

「人が幸せになる条件は多様化している」と言うのがテーマなのか。

90分程度のやや短い映画だが、その分中だるみがなくて、いいペースで観られた。

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