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第41回デジタル進化生物セミナー

第41回デジタル進化生物セミナーを開催します。

2024年10月11日(金)15時〜
豊田賢治博士(広島大学)
「眼からウロコ!? 比較生理学から迫る甲殻類の性差構築メカニズム」

ホームページ内の「参加申込」からお申し込みください。

エビ・カニの眼元から出るホルモンを調べることで、新規に見つけたペプチドや生理機能について紹介いただきます。そんなところでホルモン作ってるの!?!?

また、佐渡島や能登半島の臨海実験所でのフィールド調査についても紹介いただきます。

要旨

「カニ」の姿をイメージしてください。きっと多くの方が立派なハサミをもったカニを思い描くだろう。それと同時に少なくない方が「眼が飛び出している」姿を想像しているに違いない。今日のセミナーではこの飛び出した眼(正確には複眼とそれを支える基部である眼柄)の話を中心に私の最近の研究について紹介したい。眼柄の中にはサイナス腺と呼ばれる内分泌組織があり、そこから実に多様なペプチドが合成・分泌されている。甲殻類はこの眼柄ペプチドによって血中グルコース濃度、脱皮、卵成熟、体色調節、性分化など実に様々な現象を制御している。にもかかわらず、実は眼柄ホルモンの研究は水産重要種と言われる甲殻類(クルマエビ、イセエビ、ズワイガニ、ケガニなど)でもその研究は十分行われていない。そこで私たちは現在、国内の水産重要種の甲殻類10種を対象に眼柄ホルモンの網羅的な比較解析を進めており、新規ペプチドや新規生理機能の発見に成功している。 

 また、2020-2024年3月までに佐渡島や能登半島にある臨海実験所で職を得た直近4年は、自然豊かなフィールドでの調査に魅了され、実験室でピペットマンを握っていた生活から野外で生き物調査に勤しむ生活に変わった。現職を得た今でもその研究スタイルは継続しており、フィールド調査から野外の生物が示す生命現象を自ら記載し、その現象の背景にある分子メカニズムを明らかにしていく研究スタイルを固めつつある。セミナーの後半ではこのような生理生態研究の最近のトピックとして満月・新月の夜に海岸に集まるカニ、寄生虫に体を乗っ取られて去勢されて性転換される散々なカニ、ヤドカリとタコの攻防などなど、好奇心の赴くままに突き進めてきた研究を紹介したい。

参考

https://sites.google.com/site/toyotadaphnia/home

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