新NISAにあやかった資産形成系YouTube動画の違和感

どうもどうも、久しぶりに投稿します。
今日は、来月から始まる新NISAに絡む話です。
私自身、何年も前から投資はしているのですが、1月からは非課税で投資ができる枠が大幅拡張されるということで、今までしたことがない方も始めるきっかけになっていることでしょう。

多くの人が気になる話題があればそこに飛びつくのがYouTuberと詐欺師です。
とはいえ、転がっている投資解説の動画はだいたい真理を伝えていると思うので詐欺ではないでしょう。
じゃあ何が違和感なのかというと、彼らはスタートラインの時点で貯金額が1000万円近いところにいるのです。
SNSをみれば、「月10万円で積立予約完了!」「5年で1800万円使い切る予定!」「毎月配当金2万円生活!」と口を揃えて囀っています。

冷静に考えてください。
毎月10万円を塩漬けにできる環境の人間がどのくらいいますか?
年360万円を塩漬けにして、なおかつ生活が不自由なくできるくらいの収入がありますか?
いや、むしろチャンネル登録者数10万人いたら月にいくら動画収益が入ると思いますか?

まあそういうことです。
投資というのは元本の大きさがほぼ全てです。
投資に裏技はありません。
本当に「資産形成してハッピーな人生にしましょう」ということであれば、彼らがすべきなのは、チャンネル登録者10万人を確実に達成する方法を懇切丁寧に行うことです。
動画本数にもよりますが、10万人いれば月にざっと100万円くらい入ってくるわけですから。
年360万円投資すると将来ハッピーになれるよ!と当たり前のことを新発見のように語っている投稿ばかりですが、年360万円投資できる状況ならあなたはもうハッピーになっています。

dodaの調べによると35歳の収入の中央値は400万円だそうで、月換算すると33万円です。
そこから水道光熱費、住宅費、自動車ローン、各種税金、年金、健康保険、生命保険、学資保険、人によっては奨学金の返済も。
もちろん食費やら交通費やら色々かかってきますから、月に3万円も積立てたら何も残らないでしょう。

年360万円投資する人から「年間360万円は頑張って切り詰めて投資しているんだ!」と反論されるかもしれませんが、
仮に月15万円で生活しているとしても、360万円塩漬けならば年収540万円で中央値からかけ離れています
誰に向けた発信をしているんでしょう。

そもそも月15万円では家賃と光熱費と食費交通費で終わりでしょう。
趣味とか無いんでしょうか。

投資をしたことがない人はまず投資金額と生活防衛資金の割合を、数字では知っていても肌感覚として理解していないし、株価が100円落ちた時にどのくらいのダメージを喰らうのかを知らずに理想論で最大リターンを取りに行ってしまいます。
基本的には世界経済は成長し続けるので、長期でインデックス保有すればいずれ右肩上がりになる、というのが定説ですし、私もそう思います。
ただ、一旦下がる時期というのがいつくるのかわからないし、何年続くのかもわからないのです。
最終的に上がるとしても、それまで資金を塩漬けし続ける握力があるのか適切に損切りできるのかが最も重要なのです。

個人的には投資活動をすることはとても良いことだと思っています。
お金を市場に晒すのはとても怖いことですが、日本政府の悪政によって日本は先進各国のように経済成長できていおらず、
例えばドル換算すると、国内の銀行にただ入れているだけでお金が減っているのが現実なので、
生活防衛できる範囲で投資をする方が良いのです。

働いて得られるお金には限りがありますし、働ける時間も体力も、病気や出産などで時間を取られてしまったら減ってしまったり、人生には色々な事件が起こります。
私のように個人事業主をしていると、常に仕事がある状態ですらないわけです。収入が入らない月も当たり前のようにあります。
「今月稼ぎがないなあ」と落ち込んでしまうときでも、投資をしていれば、実際にチャリンチャリンと現金が入らなくても含み益という形で数字が上がるのを見て精神安定剤にできます。

投資はすべきです。
ただ、巷に溢れる「月10万円投資」「貯金1000万円」が当たり前だと思い込んでしまうと、中途半端にお金に余裕がある初心者ほど無理をしてしまうのでは無いかと危惧しています。

この手の動画を出している人間は最後に必ず言います。
「投資は自己責任です!」「リスクを取ろう!」

登録者10万人の人にとっては月10万円の投資にリスクはありませんが、私たち庶民にはリスクがあります。 新NISAの非課税という魔法の言葉に浮き足立たず、冷静に投資を楽しみましょう

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