創業2年目のベンチャー企業が、上位校の優秀な学生を15名以上採用した長期インターンについて徹底解剖。
皆さんこんにちは!
株式会社DigHR 経営企画室の松下です。
ベンチャー企業では早くも24卒採用が開始している最中だと思います。
採用担当者の皆さんはこういった経験ありませんか?
・新卒採用媒体を契約しても、優秀層の人材になかなか会えない。
・採用競合に負けてしまい、優秀層の母集団形成に上手くいっていない。
・内定後の握りが弱く、他の企業に行ってしまう。
このnoteでは、こういった課題に対して解決する手法の一つとして「長期インターン採用」について解説できればと思います。
確固たるブランドもないスタートアップ採用やベンチャー採用の市場において、一般的に優秀層と言われている学生を採用し育成するためには、長期インターンがもっとも効率が良く、ROIの高い採用である。といっても良いのではないでしょうか?
私が採用に携わっている親会社のH&Kでも、このような優秀な人材が増え、その人材が成長するほど事業の拡大スピードが上がっていると実感しています!
Cheer×H&Kの共催ウェビナーでも、同様のトピックで話しておりますので、アーカイブ動画や資料が欲しい方は、私のTwitter宛に連絡をいただければと思います!
※優秀な人材=学歴が高い人材ではありません。
H&Kの採用実績をご紹介します。
《21卒》
慶應義塾大学
《22卒》
大阪大学、東京理科大学
《23卒》
東京大学、立教大学、北海道大学、Sunmoon University、青山学院大学(2名)、東京電機大学、法政大学、近畿大学、日本大学、金沢大学、立命館大学、京都大学、愛媛大学
採用している立場ですが、これだけのレベルの学生を創業2年目で集められたのは、今後の会社の成長とメンバーの成長が楽しみで仕方がありません。
それでは、このような学生を集めた長期インターンについて解説していければと思います!
長期インターンからの採用とは?
今までの新卒採用では、
母集団形成(企業説明会や数日や1週間にかけてのインターンシップ、カジュアル面談など) → 本選考への参加 → 内定 → 内定後フォロー
こういった流れが一般的でした。
しかし、学生側が在学中からビジネススキルを得るために、長期インターンシップに参加する傾向が増えたこと。
就職活動の早期化によって、他の企業が本選考を開始する前に就職活動を終える学生が増えたこと。
こういった状況から、優秀層を獲得するために、企業はより早期の段階で学生に接触する必要性が高まっています。
最近では長期インターンによって母集団を形成し、同時並行で選考や内定者フォローも行っていくという方法が広まりつつあります。
では、どのようにして長期インターン生を集めれば良いのでしょうか?
インターン候補者の4象限を理解する
まず初めに理解しなければいけないことは、インターン候補者は4象限に分けられるということです。それぞれの分類について詳しく見ていきましょう。
【タイプ①:顕在革新タイプ】(大学1.2.3年生)
・既にインターンの募集にエントリーしているor経験がある。
・インターン先の業界について実践的かつ網羅的に理解しておきたい。
・経験をもとに大手を目指すタイプとそのまま就職のパターンがある。
・成長意欲や好奇心が強い。
このタイプの学生は、既に長期インターンに向けて動き出している層です。
優秀な学生も多いですが、その分長期インターン募集を出している企業に複数応募しているため、他の長期インターンを募集している企業とバッティングする確率も増えます。多くの企業は、ここの長期インターン顕在層に対して、アプローチしているため、競合に負けてしまうということが多くなります。
【タイプ②:顕在保守タイプ】 (大学2.3年生)
・インターンに参加するか検討中。
・インターン先の業界について実践的、かつ網羅的に理解しておきたい。
・経験をもとに大手を目指すタイプとそのまま就職のパターンがある。
・自分のキャリアに対する興味・関心が強い。
このタイプの学生は、長期インターンを考えているもののあまり動き出せていない層になります。あくまで経験として、インターンを捉えている場合が多いため、研修メインで網羅的に教えてもらえるインターンを好む傾向にあります。
【タイプ③:潜在革新タイプ】 (大学3.4年生)
・就活中。(就活前or現在、熱中していることがある)
・経験をもとに大手を目指すタイプとそのまま就職のパターンがある。
・成長意欲や好奇心からインターンに参加しがち。
・今からでもビジネス・仕事に関わりたい。
このタイプの学生は、長期インターンを考えているわけではありませんが、ビジネスに関する興味が非常に高い傾向にあります。行動量も多く、インターンに参加した場合は高いパフォーマンスを発揮する場合が多いです。
【タイプ④:潜在保守タイプ】 (大学3.4年生)
・就活中。(一般的で王道の就活スケジュールで動いている。)
・選考フローの一環としてインターンに参加しがち。
・4月から社会人として頑張ろうと思っているタイプ。
このタイプの学生は、一般的な就活生です。
なぜH&Kが優秀な人材の採用に成功しているのか?についてですが、
【タイプ③:潜在革新タイプ】 (大学3.4年生)
このタイプの学生に対してアプローチを行い、「長期インターンをやりたい!」と思ってもらえるような訴求を行っているためです。
もちろん他のタイプの学生に対してもアプローチを行っていますが、H&Kのインターン生で最も割合が高いのが、【タイプ③:潜在革新タイプ】 の学生になります。
【タイプ③:潜在革新タイプ】の学生は、インバウンドによる集客つまりはインターンの募集記事からの応募などでは出会うことができません。
後ほど詳しく説明していきますが、画像の5ステップで説明しているような、ダイレクトリクルーティングで母集団を形成し、自社の採用要件に合った人材に対して、長期インターンの顕在層フェーズに遷移させる仕組み作りが必要となります。
採用媒体の運用フローについて
優秀な人材を獲得するための採用媒体運用に必要な5つのステップがあります。
まずそれぞれのステップの概要をお話しし、具体的にそれぞれのステップについて解説していきます。
【ステップ1:ペルソナ設計】
→自社が求める採用ペルソナを再定義。採用したい人物像が明確になり、社内でターゲットを共有します。
【ステップ2:自社コンセプト設計】
→自社コンセプトを再定義。自社の強みを活かした採用活動が可能となる。
【ステップ3:募集記事作成】
→【ステップ1:ペルソナ設計】【ステップ2:自社コンセプト設計】をもとに募集記事を作成。
【ステップ4:スカウト文章作成】
→【ステップ1:ペルソナ設計】【ステップ2:自社コンセプト設計】をもとに募集記事を作成。
【ステップ5:運用(PDCA)】
→作成した、募集記事・スカウト文章の運用を行い、募集記事・スカウト文章の質を高める。
【ステップ1:ペルソナ設計】
◆ペルソナ設計のポイント:具体化
ペルソナ設計の目的は、【①自社の求める人材を採用するため】【②自社で採用候補のイメージを共有するため】の2つです。
採用ペルソナと採用ターゲットの違いは、特定の個人か集団か、という違いになります。
採用ペルソナに関しては、具体的な人物をイメージすることで、施策の解像度が上がりやすいように特定の個人にフォーカスします。自社の採用要件にあっている人材や、ペルソナの設計に迷った場合はすでに採用している優秀な社員をペルソナに立てる作りやすいかと思います。
採用ターゲットに関しては、自社の採用要件に合った人材の集団のことを指します。過去の経験、年齢、職業などでセグメント分けをすると良いでしょう。
採用ターゲット:年齢、性別、職業、職種、業界が似たような採用候補 → 抽象的
採用ペルソナ:趣味、性格、行動パターン(休日の過ごし方など)、顔の雰囲気、を設定した採用候補者
【ステップ2:自社コンセプト設計】
◆自社コンセプト設計のポイント:KSFを捉えての言語化
自社コンセプトを設計するには、【自社の強み】と【ターゲットのニーズ】を明確にする必要があります。これらを明確にすることで、 【自社の強み】と【ターゲットのニーズ】が重なり合う【ニーズの合致範囲】を捉えることができます。
この【ニーズに合致範囲】をKSFとし、ターゲットに刺さる形で言語化しましょう。これが採用ターゲットに最も刺さる自社コンセプトとなります。
※KSF→ Key Success Factorの略で、日本語では、重要成功要因といい、ここでは採用ターゲットに刺さるコンセプト作りにおける重要成功要因のことを指します。
【ステップ3:募集記事作成】
◆募集記事作成のポイント:インターン募集記事しか作らないのはNG!
【ペルソナ設計】と【自社コンセプト設計】が完了したら、それらをもとに募集記事を作成します。【ペルソナ設計】をしておくことで、募集記事から集まる候補者との採用のミスマッチを減らすことができます。また、【自社コンセプト設計】により、最もターゲットに刺さる募集記事の作成準備はほとんど完了していると言えます。+αで競合調査をもとに募集記事を作成できると候補者が集まりやすくなります。競合調査というと、他社の方法を丸パクリすると思われがちですが、本質は「なぜ他社が成功しているのか」という要因を見つけることにあります。表面的な部分ではなく、より深い成功要因を研究することで、「自社でどのように活用できるのか」というのがより明確になると思います。
募集記事作成において、絶対にしてはいけないことがあります。絶対にしてはいけないことは、「インターン募集記事しか作らない」ということです。これは、「インターン候補者=インターン希望者」ではないためです。どういうことかというと、インターンに参加する可能性がある候補者というのは、実際にインターン募集記事から応募してくる学生以外にも存在しているためです。実際、H&Kの採用パターンとしては、「新卒採用の募集記事から流入してきた学生が、インターンに参加する」というパターンも非常に多いです!
インターン希望者ではない就活生もインターン候補者であるということというのを念頭におき、インターン募集記事と新卒採用の募集記事両方を出す、というのをやっていきましょう。
【ステップ4:スカウト文章作成】
◆スカウト文章作成のポイント:キーワード選定
【ペルソナ設計】と【自社コンセプト設計】が完了したら、それらをもとにスカウト文章を作成します。募集記事と同様、魅力的な文章を作成する必要があります。基本的には、自社コンセプトを押し出しつつ、ターゲットに刺さるキーワードを選定しながら、文章作成を進 められると候補者からの返信率が高くなる傾向があります。
【ペルソナ設計】で採用要件を定義することで、より効率的にスカウト送付を進めることができます。これは、採用要件を明確にし、採用要件を社内で共有すれば、誰でもスカウト送付できる状態になるためです。
優秀層の採用に関して一番重要なのは、「スカウトを送付(ダイレクトリクルーティング)すること」です。
優秀な学生というのは、大手企業、外資系企業、メガベンチャー、スタートアップなど全企業が、こぞってアプローチするような人材です。※企業によって差異はありますが。
こういった状況のなかで、自社がその優秀な人材を獲得するためには、「こっちからガンガンアプローチしていく。」これしかありません。基本的に募集記事を出して、待ちの姿勢では、なかなかエントリーは得られないと思います。
「スカウトを送付する」これは必須でやっていきましょう。
【ステップ5:運用(PDCA)】
◆運用(PDCA)のポイント:競合調査
作成した【募集記事】【スカウト文章】の効果を測定しながら媒体の運用を行います。媒体の選定が終わったら、それぞれの媒体で、それぞれの【募集記事】【スカウト文章】からどのくらい面接につながっているか、採用につながっているのかの効果測定を行います。
より効率的な運用のために、必ずと言っていいほど競合調査は必要です。自社コンセプトはすでに完成しているフェーズなので、自社と似たコンセプトの会社で、なおかつ採用を獲得している会社の【募集記事】【スカウト文章】を徹底的に分析しましょう。このような会社が自社にとっての競合となるので、成功要因を分析して、活用できる部分は活用しつつ、文章に入れるキーワードも工夫しながら運用を進める必要があります。
長期インターンへ誘致するカジュアル面談
優秀な人材とアポイントが取れたら、次はカジュアル面談のフェーズになります。
カジュアル面談というと、
①候補者の紹介や企業の説明をして終わり
②本選考への参加を誘致する
という流れになりがちですが、
①の場合候補者が次のフェーズに動くCTAがないため、カジュアル面談の工数に対して得られる効果が薄い。
②の場合、温度感が上がりきっていない状態で選考に参加するため、選考自体や内定自体のリスクが高まる。(方法としては、選考段階で温度感を上げるコンテンツを入れる方法もあります)
そのため、カジュアル面談後のCTAとして、長期インターンもしくはインターンへの誘致を設定する方法があります。
しかし、前述した通りメインとなる学生がタイプ③の学生なので、企業への興味 → インターンへの参加という形でフェーズを遷移させる必要があります。
では、どのようにしてインターンへの誘致を進めれば良いのでしょうか?
カジュアル面談前とカジュアル面談中2つについてやるべきことを話していきます。
カジュアル面談前に準備するものは?
私の意見ですが、「面接は営業」だと考えています。
特にBtoBの営業で働かれていた経験のある方は想像しやすいと思いますが、基本的に商談相手は購入前提で来てもらう方が稀です。
顧客の要望や課題を聞き、それに対して最適なソリューションを提供する。
そして、ボトルネックとなり得る部分を潰していき、最終的に受注に繋げる。
同様に、採用に関しても最初から入社前提で面接に来ている学生は少ないと思います。そのため、事前準備をしっかり行って優秀な学生が来た時に逃さないようにする。これが必須条件です。
面接前に準備する必要があるのは以下の内容になります。
・面接タイムテーブル
・会社紹介資料
・インターン候補者情報
・マニュアルシート
◆面接の質を高める面接タイムテーブル
上図のような面接の流れを把握できるタイムテーブルの作成を行う。このタイムテーブルを準備する目的は、
面接全体のシュミレーションを行うこと。タイムテーブルを作成することで、何を、いつ、どのように伝えるかを
シュミレーションできる。このシュミレーションを繰り返すことで、面接の質の向上が望める。
面接タイムテーブル作成のポイントは、「何を、いつ、どのように伝えるか」を明確にしておくこと。また、その構成にした意図を言語化できる状態にしておくこと。こうすることで、面接タイムテーブルのPDCAサイクルを回すことができる。
◆インターン候補者情報を活用するのは主に【アイスブレイク】と【ヒアリング】
インターン候補者の情報を事前に把握しておくことで、【アイスブレイク】→【ヒアリング】をスムーズに行える。一般的には、ダイレクトスカウトを行う場合でも、履歴書を送ってもらう場合でも、事前に候補者の情報を獲得できる。面接当日までに【アイスブレイク】【ヒアリング】で話す内容・聞く内容を事前情報をもとに、以下のように整理すると良い。
【アイスブレイク】→自分や社員、インターン生と候補者の共通点など
【ヒアリング】→志望職種、キャリア、ガクチカ、性格の長所・短所、など
◆会社紹介資料を活用するのは主に【会社説明】
会社説明資料は【会社説明】のときに必要。ほとんどの企業は、会社説明資料を用意しているが、
採用のための会社説明資料(採用ピッチ資料)の作成ができているとなお良い。
自社の強みに合わせて、資料の構成の工夫は必要となるが、以下の内容は入れるべき。
・会社概要 ・事業紹介 ・社員紹介 ・インターン生紹介 ・キャリア紹介 ・働く環境について
・選考フローなど
◆マニュアルシートを活用するのは主に【逆質問】【クロージング】
マニュアルとは、クロージングマニュアルのこと。あらかじめ、インターン候補者の特徴に合わせたクロージング
マニュアルを作成することで、候補者に適したクロージングができる確率が上がる。結果、インターン参加率の
向上を期待できる。
例)
パターンA:候補者がインターンに対する安心感を求めている場合は、共通点のある前例の紹介を意識したクロージング
パターンB:候補者がインターンに対して成長を求めている場合は、優秀な社員・インターン生の紹介を意識したクロージング
どうやってインターンに参加してもらう面接内容にするのか?
学生が特定の企業のインターンに参加する理由はいくつかありますが、
・自分と同じようなバックグラウンドの学生が参加している
・自分の理想とするキャリアに対して、良い経験となる
・自分がやりたかった仕事内容である、もしくは近しい内容である
以上の内容がマスを占めていると思います。
そのため、これらの理由に対してインターン参加のきっかけづくりをするために、就活生に訴求する内容について紹介していきます。
・インターン生紹介
インターン生紹介とは過去のインターン生や現在インターン生として活躍している学生を紹介することです。前例を紹介することでインターンに参加するハードルを下げることができます。インターンの成長例を紹介し、インターン候補者に未来の姿を想像してもらうことで、「自分もこんな姿になりたい!」と思ってもらえるようにします。
インターン生紹介のタイミングとしては、基本的には【クロージング】の時です。インターンに参加する意思を確かめる際に、似た境遇のインターン生の紹介をするとインターンへの参加率が高まります。
◆インターン生紹介のポイント
①過去、現在のインターン生との共通点(大学・バイト経験など)を強調すること。
→インターンに参加することに対するハードルが下がり、参加しやすくなる。
②優秀なインターン生を紹介すること。
→成長の欲求が強い学生は、優秀な人と働ける環境を求めている。
・キャリア設計
キャリア設計とは、インターン候補者のキャリアの希望をヒアリングし、それをもとに自社で目指せるキャリアの提案を行うことです。これは、自社に対する安心感を感じてもらうことや、自社でのインターン、就職後のキャリアをイメージしてもらうために行います。基本的には【クロージング】の時に行います。【会社紹介】の時に、軽く自社の一般的なキャリアに触れ、【クロージング】時に、インターン候補者個人に寄り添ったキャリア設計を行います。
◆キャリア設計のポイント
・ヒアリング→インターン候補生個人のキャリア設計となるので、ヒヤリングは重要。ただ、多くの学生は自分のキャリアを明確にできて
いないため、「このようなキャリアはどう?」という形で、キャリアの提案・紹介をしながら、設計を進める必要が出てくる。
・頭の中で映像化できるくらいの具体性。
・タスク内容の紹介
タスク内容の紹介とは、募集記事に掲載していた、募集でどのような業務を実際に行っていくのか具体的に説明することです。これは、インターン参加中のインターン候補者自身をイメージしてもらうこちゃインターン業務から得られる成長・スキルをイメージしてもらうために行います。タスク内容の紹介のタイミングとしては、基本的には面接日ではなく、後日の【インターンキックオフMTG 】の時に行います。しかし、面接中のインターン生の様子を見て、【クロージング】時に成長欲求が強めの学生に対しては、インターン業務内容を説明し、そこから得られるスキル等を紹介します。
◆タスク内容の紹介のポイント
インターン候補者のタイプ判断
→ここまでで、面接中のインターン候補者のタイプがある程度把握できているため、
そのタイプに適したタスク内容の紹介が必須。そこで、紹介できるタスク内容や
そのタスクをこなすことで得られるスキル等を整理しておく必要がある。
以上が、「優秀な長期インターンを集める方法」についてでした。