アメリカのモノマネ
アメリカ化、が、言いづらいので日本がアメリカに倣い、マネすることを「アメリ化」と呼ぶ。
①なるほど納得、停滞ジャパン
20年間でGDPがマイナス20%
☆20年間(1995→2015)GDP増加率
世界平均:+139%
日本:−20%
中国:+1,414%
インド:+490%
アメリカ:+140%
ドイツ:+30%
家計消費は、10年間伸びてない
2019年:237兆円
2009年:234兆円
お金は蔵に入ったっきり
家計の金融資産:1900兆円
企業の金融資産:1240兆円
上がる国民負担率
→税金と社会保障費(※)の国民負担割合
※:年金/健保/介護保険
24.3%:1970年
31.2%:1980年
38.9%:2009年
44.6%:2020年
②マネー(金融)が支配するアメリカ
アメリカ企業の配当率
1970年代:40%
2008年:80%
アメリカのCEOと平社員の給与格差
42:1(1980年)
525:1(2008年)
アメリカのGDP比の金融業界保有資産
55%(80年)
95%(00年)
アメリカ企業の利益の伸び率(1980→2005)
金融:800%
非金融:250%
ついでに、家計資産に占める株の割合もアメリカは大きい。
③日本のアメリ化
安い労働力確保のための法改正
1999年:労働者派遣事業を製造業除き自由化
2004年:製造業にも解禁
非正規社員が大幅に増加した。
安価な給与で働く不安定層の増大。
株価至上主義へ
ストックオプション制度導入(1997年)
→もらえる人は株価に執着
自社株買いも可能になった。取締役会決議にて。
2014年8月に経産省「ROE8%がグローバル水準」と語る。
これに躍起になると自己資本を減らす/配当増/自社株買い
「利回りばかりを気にする投資家」を気にする上場企業経営陣
日経平均 :2.57%
ジャスダック: 2.08%
REIT :3.80%
投資家が求める配当利回りは3%以上が基準。
下回ると経営陣はぶっ叩かれる。
経営者が株価ばかりを気にする時代へ
外資がぞくぞくと参入
2003年:商法改正→社外取締役制度
2005年:会社法制定→株式交換制度を外資解禁
すると外国人持株比率が上昇
90年半ば:10%
06年:25%
19年:29%
企業が投資家の言いなりへ
ISS(議決権行使助言会社)
「過去5年の平均ROEが5%を下回る企業には総会でトップ交代を要求せよ」
と機関投資家に推奨
どんどん投資家の言いなりになっていく
④平成日本の歩み
アメリ化を進めた結果、
日本企業への外資圧力の増加、
株主/投資家の顔色を伺う経営が加速、
労働力を安価にすべく
非正規雇用を増やし、
雇用不安定化させ、
賃金が上がらず、
格差を拡大させた。
⑤国民性を無視した制度は、うまくいかない
制度だけ変えても、規範や慣習が変わらないと、システムは上手く機能しない。
アメリカの制度は、アメリカの文化や慣習/国民性とセットで上手く回っている。日本がアメリカの制度を真似しても上手くいかない。
しかも、ストックオプションや大量解雇などの雇用流動性、はアメリカにおいても景気改善効果を確認できてないそうだ。
⑥平成の歩みで得られた結果
「投資家と経営者が得をする世の中の仕組み」ができあがった。
→トリクルダウンは達成できず。
→格差拡大を助長。
⑦市場経済の盲点
市場経済は、誰かが勝つと、誰かが負ける。
儲けようとすると、ごまかしとか詐欺まがいのことも起きる。
サプブライムからのリーマンショックがそれ。
競争は一人は勝つが、一人は必ず負ける。
グローバル競争もしかり。
どこかの国が儲ければ、どこかの国は損をする。
だから、政府の介入/規制やルールが必要で、
税制による所得再配分や社会保障の整備が必要。
でないと、格差はますます拡大するばかり。
大勝ちする富裕層と、そうでない人々の2極化
格差上等社会へ突っ走るのか
それとも
1億・総中流社会を再び目指すのか
ニッポンのミライは、20代、30代の政治家次第
参考図書及び一部引用:奇跡の経済教室(中野剛志著)/武器としての経済学(大前研一著)